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スパイ狩り(2)妨害
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追って来る車は、グレーの普通車だった。行儀よく3台並んで走っていたが、交通量の少ない道へ入って行くと、後ろからぶつけてくる。
「うわっ!」
ハンドルが取られそうになった。
グレーの車はその隙にとアクセルを踏んで横に並び、こちらを道の外へ押し出そうというかのようにぶつけるそぶりを見せる。
「セレ、気を付けろ!事故ったらまずい!リクに追わせればいいから、抜かさせろ!」
モトが言うので、セレは軽くブレーキを踏んだ。
それでグレーの車が前を行き、白い車に近付いて行った。
「何だよ、あいつらは!?」
セレは後を追いながら、イラッとして言った。
『あの車は、CIAのものだよ』
「CIAだあ?じゃあ、あのスパイはアメリカさんか?」
モトが言うが、グレーの車は執拗に白い車を追い、攻撃している。
「違うな。やっぱり、出張先の例の国だろ」
『あの情報を狙ってるのかな』
「いや、あのスパイ本人か、バックかもな」
モトが言い、だんだんと落ち着いて来たらしい。
「こんな所警察に見られたら一発免停だな。
まあ、僕には関係ないけど」
言いながら走る先では、グレーの車が白い車に執拗に嫌がらせのような事を仕掛け、高速に乗れず、国道にも出られず、気付けば、郊外の人気の途絶えた山道へと入っていた。
『この先注意だぜ』
「何がある?」
緊張して聴き返すモトは、
『お化けの出るトンネルとお化けの住む廃遊園地だよ』
というリクの楽しそうな声に、
「は?」
と目を丸くした。
白い車とグレーの車は、派手なブレーキ音をさせながら廃遊園地に滑り込んだ。ぶつかりそうになるのを避けて、ここに入り込んで行ったのだ。
それでもグレーの車は錆びた門にぶつかり、門を壊してエアバッグを出していた。
白い車の方は車をボコボコにさせながらもどうにか停まり、Uターンして走りかけたが、セレたちの車が走って来たのが邪魔で、諦めたらしい。
スパイは車を下りて園内に駆け込んだ。
「車が邪魔でこのまま行けないな。下りるぞ」
モトは言いながら車のドアを開け、セレも車を降り、やや迷ったが、用意してきたバッグを背負った。
エアバッグを忌々し気に払いのけながら、ケントとクリストファーは車を下りた。
「フォックスの野郎どこへ――あ、あいつら!」
セレとモトが、門が壊れて無くなった園内へ走って行く。
「園内に逃げ込んだか」
「行くぞ!」
ケントとクリストファーも追いかけ始めた。
園内は広い。人がいないので余計にそう感じる。しかも遊具のせいで、死角が多くなる。
「どこだよくそ!ああ!」
モトが見回して言う。
「分かれようか」
「よし。俺はあっちだ」
二手に分かれて進むと、欧米人が目の前に現れる。
モトの前に現れたのは先程まで殴り合いをしていたケントの方で、ケントも驚いたような顔をした。
そしてどちらからともなく、殴りかかった。
突き出された拳をかわし、自分も拳を突き出し、かわされる。不意を突いて足を出してみるが、ガードされた。
そして、頬に1発くらう。
モトはニヤリと笑い、
「おもしれえじゃねえか」
と言うや、苛烈に攻撃を仕掛けて行った。
セレはグルリと回転木馬の周りを回り、同じように走って来たクリストファーと鉢合わせした。
お互いにギョッとしたのは一瞬で、同時に拳銃を抜いて向け合う。
撃つ、隠れる、手だけ出して撃ち、隠れる。そんな繰り返しが続く。
お互いに盾にしているのは体の幅程度のゴミ箱で、出たら撃たれるのは間違いない。セレだって撃つ。
(どうしよう)
お互いにそう考え、焦れて来た。
そんな時、響いて来たその音が、膠着状態を破った。
「うわっ!」
ハンドルが取られそうになった。
グレーの車はその隙にとアクセルを踏んで横に並び、こちらを道の外へ押し出そうというかのようにぶつけるそぶりを見せる。
「セレ、気を付けろ!事故ったらまずい!リクに追わせればいいから、抜かさせろ!」
モトが言うので、セレは軽くブレーキを踏んだ。
それでグレーの車が前を行き、白い車に近付いて行った。
「何だよ、あいつらは!?」
セレは後を追いながら、イラッとして言った。
『あの車は、CIAのものだよ』
「CIAだあ?じゃあ、あのスパイはアメリカさんか?」
モトが言うが、グレーの車は執拗に白い車を追い、攻撃している。
「違うな。やっぱり、出張先の例の国だろ」
『あの情報を狙ってるのかな』
「いや、あのスパイ本人か、バックかもな」
モトが言い、だんだんと落ち着いて来たらしい。
「こんな所警察に見られたら一発免停だな。
まあ、僕には関係ないけど」
言いながら走る先では、グレーの車が白い車に執拗に嫌がらせのような事を仕掛け、高速に乗れず、国道にも出られず、気付けば、郊外の人気の途絶えた山道へと入っていた。
『この先注意だぜ』
「何がある?」
緊張して聴き返すモトは、
『お化けの出るトンネルとお化けの住む廃遊園地だよ』
というリクの楽しそうな声に、
「は?」
と目を丸くした。
白い車とグレーの車は、派手なブレーキ音をさせながら廃遊園地に滑り込んだ。ぶつかりそうになるのを避けて、ここに入り込んで行ったのだ。
それでもグレーの車は錆びた門にぶつかり、門を壊してエアバッグを出していた。
白い車の方は車をボコボコにさせながらもどうにか停まり、Uターンして走りかけたが、セレたちの車が走って来たのが邪魔で、諦めたらしい。
スパイは車を下りて園内に駆け込んだ。
「車が邪魔でこのまま行けないな。下りるぞ」
モトは言いながら車のドアを開け、セレも車を降り、やや迷ったが、用意してきたバッグを背負った。
エアバッグを忌々し気に払いのけながら、ケントとクリストファーは車を下りた。
「フォックスの野郎どこへ――あ、あいつら!」
セレとモトが、門が壊れて無くなった園内へ走って行く。
「園内に逃げ込んだか」
「行くぞ!」
ケントとクリストファーも追いかけ始めた。
園内は広い。人がいないので余計にそう感じる。しかも遊具のせいで、死角が多くなる。
「どこだよくそ!ああ!」
モトが見回して言う。
「分かれようか」
「よし。俺はあっちだ」
二手に分かれて進むと、欧米人が目の前に現れる。
モトの前に現れたのは先程まで殴り合いをしていたケントの方で、ケントも驚いたような顔をした。
そしてどちらからともなく、殴りかかった。
突き出された拳をかわし、自分も拳を突き出し、かわされる。不意を突いて足を出してみるが、ガードされた。
そして、頬に1発くらう。
モトはニヤリと笑い、
「おもしれえじゃねえか」
と言うや、苛烈に攻撃を仕掛けて行った。
セレはグルリと回転木馬の周りを回り、同じように走って来たクリストファーと鉢合わせした。
お互いにギョッとしたのは一瞬で、同時に拳銃を抜いて向け合う。
撃つ、隠れる、手だけ出して撃ち、隠れる。そんな繰り返しが続く。
お互いに盾にしているのは体の幅程度のゴミ箱で、出たら撃たれるのは間違いない。セレだって撃つ。
(どうしよう)
お互いにそう考え、焦れて来た。
そんな時、響いて来たその音が、膠着状態を破った。
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