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連続放火事件(2)運命的出会い
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事件はいつも深夜に発生。住宅街のゴミ集積場に置かれたゴミや不法投棄のゴミが燃えている。そしてその現場は、一定範囲内に集中していた。
「半径1キロ圏内か」
地図に順番を示す数字と共に現場の位置に印を付け、皆で覗き込みながら、ヒロムが言った。
「この範囲内に関係する魔術士をピックアップしてみよう」
ブチさんが言って、ちょっとパソコンに入力すると、出て来た。
「登録されてるのは3人。高校生と、27歳の会社員と、31歳の専業主婦。
まずはこの3人にあたろう」
「でもさあ、ブチさん。もしかしたら、この区域に恨みがあるやつかも知れないぜ」
「この区域に恨み?それはどんなシチュエーションですか?」
「地区の野球大会で負けたとか?」
「別の校区の子とか保護者とかが、部活の試合で負けたのはここの何々中学のせいだ、とか」
ヒロムとあまねが言い、しばらく皆で想像し、
「まあ、その可能性も無くは無いか。それも一応調べながら、夜はしばらくパトロールしよう」
そう決まり、4班は動き出した。
ブチさんとマチ、あまねとヒロムのコンビに分かれ、範囲を2つに分けてパトロールを行う。
「専業主婦はもうすぐ生まれるって事で、実家に帰っているらしいし、会社員は残業続きでストレスが満タン。高校生は品行方正な生徒会長様らしいじゃん。会社員で決まりか?」
ヒロムが言うのに、あまねが応える。
「帰り着くのが精一杯でバタンキューかも知れないし、高校生だって学校の顔とは別の顔があるかも知れないじゃないか。
それに、ここを校区にしている中学校の合唱部が、合唱コンクールの地区大会で優勝してたぞ。あと、水泳部にインターハイ出場を決めた生徒がいるらしいし。
予断は禁物」
言い合いながら歩く。
「あるとしたら、そろそろ時間だぜ」
「あと1時間何も無ければ、ブチさんと相談して一旦引き上げようか」
「そうしよう。うん」
住宅街をグルグルと歩いていく。
と、明るい何かが視界の隅に踊った。
「あまね!」
やや離れた所にある四つ角付近で、炎が上がっていた。
生ゴミの袋がいくつかと「大型ゴミは回収できません」という紙の貼られたベッドがあり、それらが燃えていた。
「うわ、水!水!」
「う、うん!」
あまねは魔銃杖を向けて水を燃えるゴミにかけて回った。
「こっちに出た!場所は3丁目の集会所の角!
お?」
ブチさんに連絡を入れていたヒロムが、素早く逃げ出す人影を見付けた。
「あいつ!」
「行け!僕はこれを消すから!」
「了解!」
言うや、ヒロムは身体強化をかけ、人影を追って走り出した。
角をいくつか曲がり、飛び出したところで、危うく人にぶつかりそうになってヒロムは足を止めた。
高校生くらいの女の子が、路上に座り込んでいた。
「大丈夫!?」
彼女はビクッとしてヒロムを見た。
「は、はい。すみません」
逃げた何者かは、遠ざかっている。向こうも身体強化を持っているのだろうと思った。
「いたか!?」
あまねが追いついて来た。
「逃げられたぜ」
「彼女は?」
2人の視線を受けて、彼女はたじろいだようだった。
「失礼。我々は警察です」
言いながら警察手帳を出し、パタンと開いてバッジと身分証を示す。
それを見て、彼女はまず驚いたように目を見開き、体をキュッと緊張させて縮こまった。
(何だ?)
あまねとヒロムは、そっと目を合わせた。
反応が予想と違う。
「あの、何かあったんですか」
不安そうに訊く彼女にヒロムが手を貸して立ち上がらせる。
「放火だよ。こっちに誰か逃げて来たんだけど。見なかったかな?」
ヒロムに訊かれ、彼女は視線をさ迷わせ、両肩を抱きしめるようにして小さな声で言った。
「放火?そんな」
明らかに彼女の様子はおかしかった。
「半径1キロ圏内か」
地図に順番を示す数字と共に現場の位置に印を付け、皆で覗き込みながら、ヒロムが言った。
「この範囲内に関係する魔術士をピックアップしてみよう」
ブチさんが言って、ちょっとパソコンに入力すると、出て来た。
「登録されてるのは3人。高校生と、27歳の会社員と、31歳の専業主婦。
まずはこの3人にあたろう」
「でもさあ、ブチさん。もしかしたら、この区域に恨みがあるやつかも知れないぜ」
「この区域に恨み?それはどんなシチュエーションですか?」
「地区の野球大会で負けたとか?」
「別の校区の子とか保護者とかが、部活の試合で負けたのはここの何々中学のせいだ、とか」
ヒロムとあまねが言い、しばらく皆で想像し、
「まあ、その可能性も無くは無いか。それも一応調べながら、夜はしばらくパトロールしよう」
そう決まり、4班は動き出した。
ブチさんとマチ、あまねとヒロムのコンビに分かれ、範囲を2つに分けてパトロールを行う。
「専業主婦はもうすぐ生まれるって事で、実家に帰っているらしいし、会社員は残業続きでストレスが満タン。高校生は品行方正な生徒会長様らしいじゃん。会社員で決まりか?」
ヒロムが言うのに、あまねが応える。
「帰り着くのが精一杯でバタンキューかも知れないし、高校生だって学校の顔とは別の顔があるかも知れないじゃないか。
それに、ここを校区にしている中学校の合唱部が、合唱コンクールの地区大会で優勝してたぞ。あと、水泳部にインターハイ出場を決めた生徒がいるらしいし。
予断は禁物」
言い合いながら歩く。
「あるとしたら、そろそろ時間だぜ」
「あと1時間何も無ければ、ブチさんと相談して一旦引き上げようか」
「そうしよう。うん」
住宅街をグルグルと歩いていく。
と、明るい何かが視界の隅に踊った。
「あまね!」
やや離れた所にある四つ角付近で、炎が上がっていた。
生ゴミの袋がいくつかと「大型ゴミは回収できません」という紙の貼られたベッドがあり、それらが燃えていた。
「うわ、水!水!」
「う、うん!」
あまねは魔銃杖を向けて水を燃えるゴミにかけて回った。
「こっちに出た!場所は3丁目の集会所の角!
お?」
ブチさんに連絡を入れていたヒロムが、素早く逃げ出す人影を見付けた。
「あいつ!」
「行け!僕はこれを消すから!」
「了解!」
言うや、ヒロムは身体強化をかけ、人影を追って走り出した。
角をいくつか曲がり、飛び出したところで、危うく人にぶつかりそうになってヒロムは足を止めた。
高校生くらいの女の子が、路上に座り込んでいた。
「大丈夫!?」
彼女はビクッとしてヒロムを見た。
「は、はい。すみません」
逃げた何者かは、遠ざかっている。向こうも身体強化を持っているのだろうと思った。
「いたか!?」
あまねが追いついて来た。
「逃げられたぜ」
「彼女は?」
2人の視線を受けて、彼女はたじろいだようだった。
「失礼。我々は警察です」
言いながら警察手帳を出し、パタンと開いてバッジと身分証を示す。
それを見て、彼女はまず驚いたように目を見開き、体をキュッと緊張させて縮こまった。
(何だ?)
あまねとヒロムは、そっと目を合わせた。
反応が予想と違う。
「あの、何かあったんですか」
不安そうに訊く彼女にヒロムが手を貸して立ち上がらせる。
「放火だよ。こっちに誰か逃げて来たんだけど。見なかったかな?」
ヒロムに訊かれ、彼女は視線をさ迷わせ、両肩を抱きしめるようにして小さな声で言った。
「放火?そんな」
明らかに彼女の様子はおかしかった。
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