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呪い
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全てが明るみに出て、関係者が逮捕されると、アングループの経営も持ち直した。そして、ソユンとドユンの婚約も元に戻り、ソユンは探索を辞めた。
それでもと、意地で100万ウォンは作って、父親に渡した。
そして俺達は、最初に契約しようとしていた部屋に移り、探索を開始していた。
「オラオラオラ!」
采真は力一杯暴れまわっている。ハユンとの新居の為に稼ぎたいらしい。
「ふはははは!」
俺も、お守りをしなくていいので心が解放されている。
そんな俺達を、すれ違う探索者達が恐怖の目で見ている事に、俺達は気付かなかった。そのくらい、のびのびとしていたのだった。
そして今日は慰労のパーティーだと言うので、俺達も呼ばれていた。
挨拶や礼の言葉を受け、こちらも祝いの言葉を返す。
そして采真は、ハユンといい雰囲気でテラスで風に当たっていた。
「いやあ、良かったよ。上手く収まって」
「本当にね。従妹としてお礼を言うわ。ありがとう」
「いやあ、へへへ」
采真は照れて、頭をかいている。
采真、しっかりしろ!はっきり言え!俺はそれを横目に見ながら、心の中で応援している。
「あの、ハユン」
「ん?あ、ごめんなさい」
かかって来たメールを受け、ハユンは笑った。
「ごめんなさいね。夫からで」
「……夫?え?」
「ええ。私童顔で。これでも23、一児の母よ」
采真は笑顔のまま撃沈した……。
采真は何か呪いにでもかかっているんだろうか。
俺は采真のやけ酒ならぬやけジュースに付き合ってやりながら、そっと溜め息を隠した。
「あ、鳴海、采真。今回は色々と本当にありがとう」
ソユンとドユンがやって来た。
「俺達の事だけじゃなくて、経営まで建て直せた。一族の恩人だよ」
「大げさだな。不正が明らかになれば、本当にいいものがちゃんと評価される。それだけだ。
まあ、少しでも役に立てたんなら良かったよ」
俺達はにこにことして、4人で改めて乾杯をした。
「パパが、今のオフィステル、鳴海と采真の名義にするって」
「いや、それは貰い過ぎだろう」
俺達は慌てたが、ソユンもドユンも澄ましたものだ。この程度はどうと言う事もないらしい。
「その程度では返しきれないほどの恩があるよ。気にせず、韓国の別荘くらいに思ってくれないか」
「私、結局、雇うとか偉そうに言ったのに、お金払ってないしね」
「居候させてもらって、衣食住の面倒を見てもらったからいいよ。な、采真」
「そうそう。執事さんとメイドさんも生で初めて見たしな」
俺達は頷き合った。
「いいからいいから」
「頼む」
「……じゃあ、せっかくだから、お言葉に甘えて」
「ありがとう」
2人が離れて行ってほかの出席者に挨拶しに行くと、采真は嘆息して言った。
「仕方がないな。うん。まあ、新しい出会いに期待しよう」
「そうだな、うん。
あ。肝心のチヂミをまだ食べてないぞ」
「忘れてたな。今度色々と食べに行こうぜ!」
元気が出て来たようだ。
「ああ。ドラマだと、探索者と恋人のフリをした美女とがくっついてもおかしくなかったのになあ」
「ほとんど個人的な話をしてなかったような……」
「明日からは、恋愛禁止だ。韓国の迷宮も踏破してやろうぜ!」
「ああ!」
俺達はグータッチをしてニヤリと笑い合った。
が、10分後に采真はふざけた事を抜かしやがった。
「なあなあ、あそこの女の子可愛くねえ?俺、運命を感じるよ」
「知らん」
それでもと、意地で100万ウォンは作って、父親に渡した。
そして俺達は、最初に契約しようとしていた部屋に移り、探索を開始していた。
「オラオラオラ!」
采真は力一杯暴れまわっている。ハユンとの新居の為に稼ぎたいらしい。
「ふはははは!」
俺も、お守りをしなくていいので心が解放されている。
そんな俺達を、すれ違う探索者達が恐怖の目で見ている事に、俺達は気付かなかった。そのくらい、のびのびとしていたのだった。
そして今日は慰労のパーティーだと言うので、俺達も呼ばれていた。
挨拶や礼の言葉を受け、こちらも祝いの言葉を返す。
そして采真は、ハユンといい雰囲気でテラスで風に当たっていた。
「いやあ、良かったよ。上手く収まって」
「本当にね。従妹としてお礼を言うわ。ありがとう」
「いやあ、へへへ」
采真は照れて、頭をかいている。
采真、しっかりしろ!はっきり言え!俺はそれを横目に見ながら、心の中で応援している。
「あの、ハユン」
「ん?あ、ごめんなさい」
かかって来たメールを受け、ハユンは笑った。
「ごめんなさいね。夫からで」
「……夫?え?」
「ええ。私童顔で。これでも23、一児の母よ」
采真は笑顔のまま撃沈した……。
采真は何か呪いにでもかかっているんだろうか。
俺は采真のやけ酒ならぬやけジュースに付き合ってやりながら、そっと溜め息を隠した。
「あ、鳴海、采真。今回は色々と本当にありがとう」
ソユンとドユンがやって来た。
「俺達の事だけじゃなくて、経営まで建て直せた。一族の恩人だよ」
「大げさだな。不正が明らかになれば、本当にいいものがちゃんと評価される。それだけだ。
まあ、少しでも役に立てたんなら良かったよ」
俺達はにこにことして、4人で改めて乾杯をした。
「パパが、今のオフィステル、鳴海と采真の名義にするって」
「いや、それは貰い過ぎだろう」
俺達は慌てたが、ソユンもドユンも澄ましたものだ。この程度はどうと言う事もないらしい。
「その程度では返しきれないほどの恩があるよ。気にせず、韓国の別荘くらいに思ってくれないか」
「私、結局、雇うとか偉そうに言ったのに、お金払ってないしね」
「居候させてもらって、衣食住の面倒を見てもらったからいいよ。な、采真」
「そうそう。執事さんとメイドさんも生で初めて見たしな」
俺達は頷き合った。
「いいからいいから」
「頼む」
「……じゃあ、せっかくだから、お言葉に甘えて」
「ありがとう」
2人が離れて行ってほかの出席者に挨拶しに行くと、采真は嘆息して言った。
「仕方がないな。うん。まあ、新しい出会いに期待しよう」
「そうだな、うん。
あ。肝心のチヂミをまだ食べてないぞ」
「忘れてたな。今度色々と食べに行こうぜ!」
元気が出て来たようだ。
「ああ。ドラマだと、探索者と恋人のフリをした美女とがくっついてもおかしくなかったのになあ」
「ほとんど個人的な話をしてなかったような……」
「明日からは、恋愛禁止だ。韓国の迷宮も踏破してやろうぜ!」
「ああ!」
俺達はグータッチをしてニヤリと笑い合った。
が、10分後に采真はふざけた事を抜かしやがった。
「なあなあ、あそこの女の子可愛くねえ?俺、運命を感じるよ」
「知らん」
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