74 / 89
呪い
しおりを挟む
全てが明るみに出て、関係者が逮捕されると、アングループの経営も持ち直した。そして、ソユンとドユンの婚約も元に戻り、ソユンは探索を辞めた。
それでもと、意地で100万ウォンは作って、父親に渡した。
そして俺達は、最初に契約しようとしていた部屋に移り、探索を開始していた。
「オラオラオラ!」
采真は力一杯暴れまわっている。ハユンとの新居の為に稼ぎたいらしい。
「ふはははは!」
俺も、お守りをしなくていいので心が解放されている。
そんな俺達を、すれ違う探索者達が恐怖の目で見ている事に、俺達は気付かなかった。そのくらい、のびのびとしていたのだった。
そして今日は慰労のパーティーだと言うので、俺達も呼ばれていた。
挨拶や礼の言葉を受け、こちらも祝いの言葉を返す。
そして采真は、ハユンといい雰囲気でテラスで風に当たっていた。
「いやあ、良かったよ。上手く収まって」
「本当にね。従妹としてお礼を言うわ。ありがとう」
「いやあ、へへへ」
采真は照れて、頭をかいている。
采真、しっかりしろ!はっきり言え!俺はそれを横目に見ながら、心の中で応援している。
「あの、ハユン」
「ん?あ、ごめんなさい」
かかって来たメールを受け、ハユンは笑った。
「ごめんなさいね。夫からで」
「……夫?え?」
「ええ。私童顔で。これでも23、一児の母よ」
采真は笑顔のまま撃沈した……。
采真は何か呪いにでもかかっているんだろうか。
俺は采真のやけ酒ならぬやけジュースに付き合ってやりながら、そっと溜め息を隠した。
「あ、鳴海、采真。今回は色々と本当にありがとう」
ソユンとドユンがやって来た。
「俺達の事だけじゃなくて、経営まで建て直せた。一族の恩人だよ」
「大げさだな。不正が明らかになれば、本当にいいものがちゃんと評価される。それだけだ。
まあ、少しでも役に立てたんなら良かったよ」
俺達はにこにことして、4人で改めて乾杯をした。
「パパが、今のオフィステル、鳴海と采真の名義にするって」
「いや、それは貰い過ぎだろう」
俺達は慌てたが、ソユンもドユンも澄ましたものだ。この程度はどうと言う事もないらしい。
「その程度では返しきれないほどの恩があるよ。気にせず、韓国の別荘くらいに思ってくれないか」
「私、結局、雇うとか偉そうに言ったのに、お金払ってないしね」
「居候させてもらって、衣食住の面倒を見てもらったからいいよ。な、采真」
「そうそう。執事さんとメイドさんも生で初めて見たしな」
俺達は頷き合った。
「いいからいいから」
「頼む」
「……じゃあ、せっかくだから、お言葉に甘えて」
「ありがとう」
2人が離れて行ってほかの出席者に挨拶しに行くと、采真は嘆息して言った。
「仕方がないな。うん。まあ、新しい出会いに期待しよう」
「そうだな、うん。
あ。肝心のチヂミをまだ食べてないぞ」
「忘れてたな。今度色々と食べに行こうぜ!」
元気が出て来たようだ。
「ああ。ドラマだと、探索者と恋人のフリをした美女とがくっついてもおかしくなかったのになあ」
「ほとんど個人的な話をしてなかったような……」
「明日からは、恋愛禁止だ。韓国の迷宮も踏破してやろうぜ!」
「ああ!」
俺達はグータッチをしてニヤリと笑い合った。
が、10分後に采真はふざけた事を抜かしやがった。
「なあなあ、あそこの女の子可愛くねえ?俺、運命を感じるよ」
「知らん」
それでもと、意地で100万ウォンは作って、父親に渡した。
そして俺達は、最初に契約しようとしていた部屋に移り、探索を開始していた。
「オラオラオラ!」
采真は力一杯暴れまわっている。ハユンとの新居の為に稼ぎたいらしい。
「ふはははは!」
俺も、お守りをしなくていいので心が解放されている。
そんな俺達を、すれ違う探索者達が恐怖の目で見ている事に、俺達は気付かなかった。そのくらい、のびのびとしていたのだった。
そして今日は慰労のパーティーだと言うので、俺達も呼ばれていた。
挨拶や礼の言葉を受け、こちらも祝いの言葉を返す。
そして采真は、ハユンといい雰囲気でテラスで風に当たっていた。
「いやあ、良かったよ。上手く収まって」
「本当にね。従妹としてお礼を言うわ。ありがとう」
「いやあ、へへへ」
采真は照れて、頭をかいている。
采真、しっかりしろ!はっきり言え!俺はそれを横目に見ながら、心の中で応援している。
「あの、ハユン」
「ん?あ、ごめんなさい」
かかって来たメールを受け、ハユンは笑った。
「ごめんなさいね。夫からで」
「……夫?え?」
「ええ。私童顔で。これでも23、一児の母よ」
采真は笑顔のまま撃沈した……。
采真は何か呪いにでもかかっているんだろうか。
俺は采真のやけ酒ならぬやけジュースに付き合ってやりながら、そっと溜め息を隠した。
「あ、鳴海、采真。今回は色々と本当にありがとう」
ソユンとドユンがやって来た。
「俺達の事だけじゃなくて、経営まで建て直せた。一族の恩人だよ」
「大げさだな。不正が明らかになれば、本当にいいものがちゃんと評価される。それだけだ。
まあ、少しでも役に立てたんなら良かったよ」
俺達はにこにことして、4人で改めて乾杯をした。
「パパが、今のオフィステル、鳴海と采真の名義にするって」
「いや、それは貰い過ぎだろう」
俺達は慌てたが、ソユンもドユンも澄ましたものだ。この程度はどうと言う事もないらしい。
「その程度では返しきれないほどの恩があるよ。気にせず、韓国の別荘くらいに思ってくれないか」
「私、結局、雇うとか偉そうに言ったのに、お金払ってないしね」
「居候させてもらって、衣食住の面倒を見てもらったからいいよ。な、采真」
「そうそう。執事さんとメイドさんも生で初めて見たしな」
俺達は頷き合った。
「いいからいいから」
「頼む」
「……じゃあ、せっかくだから、お言葉に甘えて」
「ありがとう」
2人が離れて行ってほかの出席者に挨拶しに行くと、采真は嘆息して言った。
「仕方がないな。うん。まあ、新しい出会いに期待しよう」
「そうだな、うん。
あ。肝心のチヂミをまだ食べてないぞ」
「忘れてたな。今度色々と食べに行こうぜ!」
元気が出て来たようだ。
「ああ。ドラマだと、探索者と恋人のフリをした美女とがくっついてもおかしくなかったのになあ」
「ほとんど個人的な話をしてなかったような……」
「明日からは、恋愛禁止だ。韓国の迷宮も踏破してやろうぜ!」
「ああ!」
俺達はグータッチをしてニヤリと笑い合った。
が、10分後に采真はふざけた事を抜かしやがった。
「なあなあ、あそこの女の子可愛くねえ?俺、運命を感じるよ」
「知らん」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!
八神 凪
ファンタジー
勇者パーティに属するルーナ(17)は悩んでいた。
補助魔法が使える前衛としてスカウトされたものの、勇者はドスケベ、取り巻く女の子達は勇者大好きという辟易するパーティだった。
しかも勇者はルーナにモーションをかけるため、パーティ内の女の子からは嫉妬の雨・・・。
そんな中「貴女は役に立たないから出て行け」と一方的に女の子達から追放を言い渡されたルーナはいい笑顔で答えるのだった。
「ホントに!? 今までお世話しました! それじゃあ!」
ルーナの旅は始まったばかり!
第11回ファンタジー大賞エントリーしてました!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
杖と鉄拳とラプソディ─落ちこぼれたちの英雄譚─
穂高(ほだか)
ファンタジー
『 ずっとそばにいるよ。たとえ君が、何者であっても。 』
… ✴︎ … ✴︎ … ✴︎ … ✴︎ … ✴︎ …
生まれつき魔法が使えない落ちこぼれの主人公・ミチルはある日、魔法学校に現れた人食いの怪物──マモノを生身でコテンパンにしてしまう。
その拳に宿る力は、かつてこの国の歴史に名を残した一人の英雄を彷彿とさせるものであった。
成り行きで親友の護衛を任されることとなったミチル。
守るべき友の正体はなんと……“超訳アリ”のお姫様!?
親友を狙う刺客たちを、拳ひとつでぶっ倒せ!
個性豊かなクラスメイト達と紡ぐ、脳筋青春学園ファンタジー。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる