61 / 89
討伐祭り
しおりを挟む
翌日、ゲート前はギャラリーがいっぱいだった。勝負の話がネットで広がり、マリオを応援するファンと探索者チャンネルの取材陣が押しかけ、それを普通のテレビや新聞が取材に来ていた。
「うわあ。物凄いアウェー感」
あのファンの前を通ってゲートに行かなければ迷宮に入れない。
「采真、あれはセミだ。ミンミン鳴くだろ、うるさく」
「ああ、うるさいな」
「それだと思え」
「ううん」
「リタの声でも思い浮かべておけ」
「わかった」
俺は心の中で一人しりとりをしながら、采真はニタニタとしながら、ゲートを通り抜け、迷宮に入った。
俺と采真とマリオとヤコポは、録画用のカメラを付けさせられている。不正をしていないかの確認用だという。
何からやるかは、相談済みだ。俺達はエレベーターへ向かい、まずは20階で将軍を狙う。
采真は呻いた。
「ここまでやるか」
将軍の出るボス部屋の前は、順番待ちの列ができていた。待っているだけで数時間はかかる。それでも、将軍ではなく魔女が出れば、またやり直し、並び直しだ。
「それだけ自信がないんだろ?妨害しないと怖いなんてな。イタリアのトップが聞いて呆れる」
それに、ニヤニヤとして並んでいた探索者達は顔色を変えた。
が、そうでない探索者もいた。
「フェアにやれよ。イタリア人が皆そういうやつらと思われたらお前らのせいだぞ」
「あんまり汚い事するなら、そういう探索者の顔と動画、ネットにあげるからな」
そう言ってあからさまに録画機材を見せると、顔を隠して彼らは逃げ出した。
「あれはせいぜい、ちょっとマリオに肩入れするファンだ。本当の協力者は、今頃キメラを探して走り回ってるだろうさ」
そう言って、憎々し気に彼らの逃げ出した方を見る。
「あんたらはいいのか?」
「俺は本物の探索者に敬意を表すよ」
「私の友達も、マリオに遊んで捨てられたの。子供もできてて。でも、自分からすり寄って来たとか言われて、酷いバッシングもされて、ノイローゼよ。トップだからって、そんな事ももみ消されるっておかしいわ」
「トップから落ちれば、協会副支部長も庇う理由がなくなるだろう?その方がいいよ。日本人だろうと、イタリア人だろうと、探索者は探索者っていう人種なんだよ」
俺達は礼を言い、部屋に入った。
ぞろぞろと並ぶ石像の群れに、問答無用で魔術を浴びせまくる。お勧めは、竜巻で巻き上げてぶつけ合い、壁や天井にぶち当てる方法だ。
「派手だなあ、鳴海」
「遊んでいる余裕はないからな。丁寧にやる必要はない。
おおっと、ボスが来るぞ」
「何が出るかな、何が出るかな」
奥の棺桶みたいなものがギギギと開く。
「将軍来た!」
言いながら、采真が嬉々として飛び出して行った。
そして、部屋に入って4分で、俺達はここをクリアにした。
「石像、魔石とか残らなくてよかったな」
「拾うのを想像したら、嫌になるな」
言いながら、将軍の残した石の人形を手に部屋を出た。
「さあ、次は人魚だな」
エレベーターへ行くとマリオ派のやつらで混んでいたので、迷わず階段を駆け下りた。
「俺達を舐めんな」
剣と魔銃剣を構え、俺達は笑った。
「うわあ。物凄いアウェー感」
あのファンの前を通ってゲートに行かなければ迷宮に入れない。
「采真、あれはセミだ。ミンミン鳴くだろ、うるさく」
「ああ、うるさいな」
「それだと思え」
「ううん」
「リタの声でも思い浮かべておけ」
「わかった」
俺は心の中で一人しりとりをしながら、采真はニタニタとしながら、ゲートを通り抜け、迷宮に入った。
俺と采真とマリオとヤコポは、録画用のカメラを付けさせられている。不正をしていないかの確認用だという。
何からやるかは、相談済みだ。俺達はエレベーターへ向かい、まずは20階で将軍を狙う。
采真は呻いた。
「ここまでやるか」
将軍の出るボス部屋の前は、順番待ちの列ができていた。待っているだけで数時間はかかる。それでも、将軍ではなく魔女が出れば、またやり直し、並び直しだ。
「それだけ自信がないんだろ?妨害しないと怖いなんてな。イタリアのトップが聞いて呆れる」
それに、ニヤニヤとして並んでいた探索者達は顔色を変えた。
が、そうでない探索者もいた。
「フェアにやれよ。イタリア人が皆そういうやつらと思われたらお前らのせいだぞ」
「あんまり汚い事するなら、そういう探索者の顔と動画、ネットにあげるからな」
そう言ってあからさまに録画機材を見せると、顔を隠して彼らは逃げ出した。
「あれはせいぜい、ちょっとマリオに肩入れするファンだ。本当の協力者は、今頃キメラを探して走り回ってるだろうさ」
そう言って、憎々し気に彼らの逃げ出した方を見る。
「あんたらはいいのか?」
「俺は本物の探索者に敬意を表すよ」
「私の友達も、マリオに遊んで捨てられたの。子供もできてて。でも、自分からすり寄って来たとか言われて、酷いバッシングもされて、ノイローゼよ。トップだからって、そんな事ももみ消されるっておかしいわ」
「トップから落ちれば、協会副支部長も庇う理由がなくなるだろう?その方がいいよ。日本人だろうと、イタリア人だろうと、探索者は探索者っていう人種なんだよ」
俺達は礼を言い、部屋に入った。
ぞろぞろと並ぶ石像の群れに、問答無用で魔術を浴びせまくる。お勧めは、竜巻で巻き上げてぶつけ合い、壁や天井にぶち当てる方法だ。
「派手だなあ、鳴海」
「遊んでいる余裕はないからな。丁寧にやる必要はない。
おおっと、ボスが来るぞ」
「何が出るかな、何が出るかな」
奥の棺桶みたいなものがギギギと開く。
「将軍来た!」
言いながら、采真が嬉々として飛び出して行った。
そして、部屋に入って4分で、俺達はここをクリアにした。
「石像、魔石とか残らなくてよかったな」
「拾うのを想像したら、嫌になるな」
言いながら、将軍の残した石の人形を手に部屋を出た。
「さあ、次は人魚だな」
エレベーターへ行くとマリオ派のやつらで混んでいたので、迷わず階段を駆け下りた。
「俺達を舐めんな」
剣と魔銃剣を構え、俺達は笑った。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ダンジョンが出現して世界が変わっても、俺は準備万端で世界を生き抜く
ごま塩風味
ファンタジー
人間不信になり。
人里離れた温泉旅館を買い取り。
宝くじで当たったお金でスローライフを送るつもりがダンジョンを見付けてしまう、しかし主人公はしらなかった。
世界中にダンジョンが出現して要る事を、そして近いうちに世界がモンスターで溢れる事を、しかし主人公は知ってしまった。
だが主人公はボッチで誰にも告げず。
主人公は一人でサバイバルをしようと決意する中、人と出会い。
宝くじのお金を使い着々と準備をしていく。
主人公は生き残れるのか。
主人公は誰も助け無いのか。世界がモンスターで溢れる世界はどうなるのか。
タイトルを変更しました
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生したら妖精や精霊を統べる「妖精霊神王」だったが、暇なので幼女になって旅に出ます‼︎
月華
ファンタジー
21歳、普通の会社員として過ごしていた「狐風 空音」(こふう そらね)は、暴走したトラックにひかれそうになっていた子供を庇い死亡した。 次に目を覚ますとものすごい美形の男性がこちらを見、微笑んでいた。「初めまして、空音。 私はギレンフイート。全ての神々の王だ。 君の魂はとても綺麗なんだ。もし…君が良いなら、私の娘として生まれ変わってくれないだろうか?」えっ⁉︎この人の娘⁉︎ なんか楽しそう。優しそうだし…よしっ!「神様が良いなら私を娘として生まれ変わらせてください。」「‼︎! ほんとっ!やった‼︎ ありがとう。これから宜しくね。私の愛娘、ソルフイー。」ソルフィーって何だろう? あれ? なんか眠たくなってきた…? 「安心してお眠り。次に目を覚ますと、もう私の娘だからね。」「は、い…」
数年後…無事に父様(神様)の娘として転生した私。今の名前は「ソルフイー」。家族や他の神々に溺愛されたりして、平和に暮らしてたんだけど…今悩みがあります!それは…暇!暇なの‼︎ 暇すぎて辛い…………………という訳で下界に降りて幼女になって冒険しに行きます‼︎!
これはチートな幼女になったソルフイーが下界で色々とやらかしながらも、周りに溺愛されたりして楽しく歩んでいく物語。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お久しぶりです。月華です。初めての長編となります!誤字があったり色々と間違えたりするかもしれませんがよろしくお願いします。 1週間ずつ更新していけたらなと思っています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる