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運命論

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 真矢と菜子は、並んで夜風に当たっていた。
「こっちに来て、色々あったなあ」
「うん。最初は驚いたけど、何とかなるもんやな」
「いい人に巡りおうたんも大きいな」
「それは言えるわ」
 背後では騎士団入り乱れての打ち上げ大会が行われており、皆の声も聞こえている。
「後は月並みやけど、結婚か?まあ、どうしても、とは思わんけどな」
「そうやなあ。そういう人がおったら、やなあ」
「よう、『赤い糸が見えた』だの『運命の鐘が鳴った』とか『ビビビッときた』なんて言うやん?わからんわ」
「私もわからんわ。大体、そう言う人も離婚してるしな。ただの、幻覚と幻聴と気のせいやろ」
「そういうもんかな」
「そういうもんや」
「何やってるんだ?食べてるか?作戦勝ちの功労賞なんだからな」
 ジーンが来た。
「ええ人筆頭やな、ジーン隊長」
「そうやな」
「ん?」
「いや、何でもない。隊長に会えて良かったいう事や」
「ありがとう」
「ホンマ、ありがとう」
 ジーンは真顔になった。
「どうした。悪酔いか?水飲むか?」
「失礼やなあ」
 真矢と菜子は笑い出した。
「コーヒーでも飲もか」
「あ、何か飲みたなって来た。
 隊長は?」
「俺も飲もうかな」
 それで、ポットの方へ行く。
「あ。線抜けてるやん」
 菜子が、コンセントを差す。
 バチッと音がした。
「ん?今何か音せえへんかった?」
「俺も聞こえたな」
「・・・真矢。今、ビビビッと来たわ。運命かな」
「アホ!それは感電や!」
「おい、大丈夫か!?」
「フハハハハ!大丈夫や!」
「あ、何かまた面白い事やってるの?」
「ミスラ、違う。今、感電したんだ」
 ワイワイと仲間が笑いながら集まって来る。
 自分達は、ここで生きていく。笑っていられるから大丈夫だと、真矢も菜子も思った。


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みんなの感想(1件)

志賀雅基
2022.04.01 志賀雅基

こちらも大いに笑わせて頂きました。往年の日本SF界の騎手・大原まり子氏の『インデペンデンス・デイ・イン・オオサカ(愛はなくとも資本主義)』を彷彿とさせる、大阪弁がこの上なく活きた妙作だと思います、シチュエーションは逆に近いですが。京阪で数駅のひらパーを今度覗いてみたくなりました。引っ越し辞めて十数年経つのにまだ行ってないので。

JUN
2022.04.01 JUN

ありがとうございます。ほぼ会話だけで笑わそうという試みでした。それよりもあの辺りに?私は茨木市なので割と近いですね!駅前も随分と賑やかになってますよ。

解除
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