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物語の教えるもの・2
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気を取り直して。
「ああ、『桃太郎』。これにしよ。
お爺さんとお婆さんの夫婦がおったんやけど、ある日川で流れて来た大きな桃を拾ってな。持って帰って切ったら、中から男の子が出て来てな。桃太郎と名付けて育てる事にしたんや」
「よう中の桃太郎まで切れんと無事やったとは思うけど、まあ、ええ」
真矢が言って、菜子が続ける。
「大きくなった桃太郎は、ある日『鬼が島に鬼退治に行く』言うて、お婆さんが作った黍団子を持って、出かけるねん。で、猿、犬、雉を仲間にして、鬼が島に乗り込んで、鬼を退治して、金銀財宝を持ち帰るねん」
「おかしいと思うやろ?
まず、鬼は悪い事をしてたんか?そう言う記述があらへん」
「まあ、鬼やからそういうもんやろ」
「それは偏見や。黒人は皆足が速いんか?音楽やダンスが上手いんか?」
「一理あるな」
「やろ。
まあ、百歩譲って、そうやとしよう。そうしたら、今度は別の問題が出て来るねん。危険手当が、黍団子一個って、どんなブラック企業やねん」
「釣り合わんなあ」
「やってられへんで。
それに、一般人でしかない桃太郎が、いきなり乗り込んで、虐殺の限りを尽くして、金銀財宝を持ち帰るって。それ、強盗殺人やん」
異世界人達が、ポカーンとする。
「皆が英雄視してる話も、よう考えなあかんなあ」
「そうやねん。常識にとらわれるな、先入観に引きずられるな、己を疑え。それがこの絵本の、真の狙いやないかと思うんや」
「なるほど。絵本、深いわ」
「深いやろ」
真矢と菜子はううむと頷いているが、ここでロレインが言った。
「つまり、あれ?部隊の部屋の冷蔵庫にあったアイスクリーム。あと3つあったと思ったのは己の記憶違いで、本当は1つだったと」
皆が、真矢と菜子を見る。
「・・・はい。私らが食べました」
「3つ入ってました」
真矢と菜子は頭を下げた。
「並んで買ったご褒美アイスーッ!!」
ロレインの絶叫が響いた。
「ああ、『桃太郎』。これにしよ。
お爺さんとお婆さんの夫婦がおったんやけど、ある日川で流れて来た大きな桃を拾ってな。持って帰って切ったら、中から男の子が出て来てな。桃太郎と名付けて育てる事にしたんや」
「よう中の桃太郎まで切れんと無事やったとは思うけど、まあ、ええ」
真矢が言って、菜子が続ける。
「大きくなった桃太郎は、ある日『鬼が島に鬼退治に行く』言うて、お婆さんが作った黍団子を持って、出かけるねん。で、猿、犬、雉を仲間にして、鬼が島に乗り込んで、鬼を退治して、金銀財宝を持ち帰るねん」
「おかしいと思うやろ?
まず、鬼は悪い事をしてたんか?そう言う記述があらへん」
「まあ、鬼やからそういうもんやろ」
「それは偏見や。黒人は皆足が速いんか?音楽やダンスが上手いんか?」
「一理あるな」
「やろ。
まあ、百歩譲って、そうやとしよう。そうしたら、今度は別の問題が出て来るねん。危険手当が、黍団子一個って、どんなブラック企業やねん」
「釣り合わんなあ」
「やってられへんで。
それに、一般人でしかない桃太郎が、いきなり乗り込んで、虐殺の限りを尽くして、金銀財宝を持ち帰るって。それ、強盗殺人やん」
異世界人達が、ポカーンとする。
「皆が英雄視してる話も、よう考えなあかんなあ」
「そうやねん。常識にとらわれるな、先入観に引きずられるな、己を疑え。それがこの絵本の、真の狙いやないかと思うんや」
「なるほど。絵本、深いわ」
「深いやろ」
真矢と菜子はううむと頷いているが、ここでロレインが言った。
「つまり、あれ?部隊の部屋の冷蔵庫にあったアイスクリーム。あと3つあったと思ったのは己の記憶違いで、本当は1つだったと」
皆が、真矢と菜子を見る。
「・・・はい。私らが食べました」
「3つ入ってました」
真矢と菜子は頭を下げた。
「並んで買ったご褒美アイスーッ!!」
ロレインの絶叫が響いた。
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