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消失のナゾ
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珍しくやる気の真矢と菜子に、隊のメンバーも触発されて、士気が上がっていた。
色々と必要な道具を集め、後は、適当な数の出現を待つばかりである。
「魔物出現。出動要請です」
「よっしゃー!」
「何かわかったら快挙だな!」
一斉に立ち上がり、バスへとーー。
「お、重い・・・」
「あ、アカン。荷物が多い・・・」
台無しの真矢と菜子だった・・・。
何とか手伝ってもらってバスに乗り、現場へ行く。
助手として、まずは神経質なレスリを指名したのだが、無口すぎてちょっと困るかも知れないという事で、ジーンになった。写真撮影のほか、重さや長さや初見の記録をする。
まあ、ジーンもマメなので、得意そうではある。
試しに皆にちょっと練習をやってもらったら、ロレインは、
「傷の長さは・・・ううーん、もう3センチでいいや」
という感じで、だめだった。
ルウム兄は、
「重さは、うむ。大したことはないな!」
だった。
ルウム弟は、
「嫌だよぉ、触りたくないよぉ、飯が食えなくなる!」
と逃亡した。
ミスラとジーンがこの時点で残っていたのだが、ミスラに、
「隊長がこの2人の係だし」
と言われ、ジーンに決定したといういきさつがあったのだ。
現場で、機材を広げて、誰かが遺体をここまで持って来るのを待つ。
持って来たのは、ミスラだった。
「さて、やろか」
「隊長、いくで」
身長やら体重やら、普段していた事をしては記録していった。
その日、解剖所見を見ながら、考えていた。
「どういう生物やの、これ」
「常識が通じへんにも程があるで」
食べるのは主に人間の内臓。食道、胃はあるが、腸や肝臓などの臓器は見当たらず、それどころか肛門が見当たらない。胃壁に溶けてへばりついて一体化したようなヒトの一部があったので、胃で消化して、そのまま吸収するものかと思われる。
消える時は、全ての体組織がドロリと形を失い、いきなり砂のようになって溶けるように消えて行った。
「と、言う事はや。空気中に、魔物の成れの果てがあるんか?」
「え、気持ち悪ぅ。それ、息するたんびに吸うてんの?」
「まあ。
だとしたら、発生はどうなんやろ。空気中からいきなりか?」
「でも、街中とか、人目のあるとこでは発生せえへんのはなんでや。たまたまにしては、件数的におかしいやろ」
「おかしい」
うーん、と唸る。
「どこへ行くんやろうな。なぞや」
「全くや」
言いながら、お菓子を食べる。
「組織検査とかできひんのがいたいなあ」
「もうちょっと、何かわかるやろうになあ」
紅茶を飲んで、またお菓子の山に手を伸ばす。
「取り込んだものの吸収と変換もおかしいわ」
「変な生き物やな」
「やっぱり宇宙から来たんか」
「生きたまま切ったらわかるかも知れんけど、それやったら、おしまいやしな」
「それだけはようせんな」
大量のおやつが減って行く。
「一体、どこから出て来て、どこに消えるねん」
「あ!消えた!」
「何が?」
「お菓子や。あんなにあったのに」
「うわ。なぞや・・・」
ジーンは紅茶のお代わりを注ぎながら、溜め息をついた。
「全部お前らの腹の中!それだけのものを無意識に食えるお前らがなぞだけどな!」
色々と必要な道具を集め、後は、適当な数の出現を待つばかりである。
「魔物出現。出動要請です」
「よっしゃー!」
「何かわかったら快挙だな!」
一斉に立ち上がり、バスへとーー。
「お、重い・・・」
「あ、アカン。荷物が多い・・・」
台無しの真矢と菜子だった・・・。
何とか手伝ってもらってバスに乗り、現場へ行く。
助手として、まずは神経質なレスリを指名したのだが、無口すぎてちょっと困るかも知れないという事で、ジーンになった。写真撮影のほか、重さや長さや初見の記録をする。
まあ、ジーンもマメなので、得意そうではある。
試しに皆にちょっと練習をやってもらったら、ロレインは、
「傷の長さは・・・ううーん、もう3センチでいいや」
という感じで、だめだった。
ルウム兄は、
「重さは、うむ。大したことはないな!」
だった。
ルウム弟は、
「嫌だよぉ、触りたくないよぉ、飯が食えなくなる!」
と逃亡した。
ミスラとジーンがこの時点で残っていたのだが、ミスラに、
「隊長がこの2人の係だし」
と言われ、ジーンに決定したといういきさつがあったのだ。
現場で、機材を広げて、誰かが遺体をここまで持って来るのを待つ。
持って来たのは、ミスラだった。
「さて、やろか」
「隊長、いくで」
身長やら体重やら、普段していた事をしては記録していった。
その日、解剖所見を見ながら、考えていた。
「どういう生物やの、これ」
「常識が通じへんにも程があるで」
食べるのは主に人間の内臓。食道、胃はあるが、腸や肝臓などの臓器は見当たらず、それどころか肛門が見当たらない。胃壁に溶けてへばりついて一体化したようなヒトの一部があったので、胃で消化して、そのまま吸収するものかと思われる。
消える時は、全ての体組織がドロリと形を失い、いきなり砂のようになって溶けるように消えて行った。
「と、言う事はや。空気中に、魔物の成れの果てがあるんか?」
「え、気持ち悪ぅ。それ、息するたんびに吸うてんの?」
「まあ。
だとしたら、発生はどうなんやろ。空気中からいきなりか?」
「でも、街中とか、人目のあるとこでは発生せえへんのはなんでや。たまたまにしては、件数的におかしいやろ」
「おかしい」
うーん、と唸る。
「どこへ行くんやろうな。なぞや」
「全くや」
言いながら、お菓子を食べる。
「組織検査とかできひんのがいたいなあ」
「もうちょっと、何かわかるやろうになあ」
紅茶を飲んで、またお菓子の山に手を伸ばす。
「取り込んだものの吸収と変換もおかしいわ」
「変な生き物やな」
「やっぱり宇宙から来たんか」
「生きたまま切ったらわかるかも知れんけど、それやったら、おしまいやしな」
「それだけはようせんな」
大量のおやつが減って行く。
「一体、どこから出て来て、どこに消えるねん」
「あ!消えた!」
「何が?」
「お菓子や。あんなにあったのに」
「うわ。なぞや・・・」
ジーンは紅茶のお代わりを注ぎながら、溜め息をついた。
「全部お前らの腹の中!それだけのものを無意識に食えるお前らがなぞだけどな!」
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