32 / 42
フレイラ革命軍
しおりを挟む
春原先生は、上機嫌だった。
「技術も試薬も凄いですよ。これが使いこなせれば、原因不明とされている病気の少なくともいくつかは解明できるかも知れません」
先生は遠くを見る目になって笑う。
「それは良かった」
隊長は控えめに相槌を打って、促した。
「で、検査結果はどうでしたか、先生」
「あ、そうでした」
先生は検査結果をまとめた紙に目を落とした。
「まず隊長。肝数値も正常ーーいや、そういう部分は、後で個別に指導します」
そこで、ペラペラと紙をめくって言葉を継いだ。
「詳しい部分は省いて結論だけを言います。やはり想像通り、砌君、真理君、明彦君はダイレクトリンクの才能があり、発現しています。ヒデさんとユウさんは遺伝子はありますが、発現はしていません。他は、遺伝子を持っている人はいませんでした。
それから、砌君ですが、あと特異な遺伝子が見られました。空間眺望、遠隔操作、予見視の3つです。真理君は予見視の遺伝子です。明彦君は空間眺望の遺伝子でした」
誰かがグウッと喉を鳴らした。
「待って下さい。じゃあ、何ですか。こいつら3人は、その珍しい珍種みたいな1パーセント未満の能力がある?たまたま先祖返りしたより珍しいのが、たまたま一つの飛行隊に集まった?」
隊長が疑わしそうに言うが、すぐに、ああと呟く。
「いや、だからあすかまで来たし、生き残ってるのか。クラス分けもそういう選考があるし、班まで同じはともかく、クラスが同じになる確率は高いのか」
「え、何ですかそれ。クラスがどうこうって」
「あ、知らないんだっけ、学兵自身は。
潜在的な能力を見てわけるんだよ。だから、芽の出ないまま終わるのもいるし、努力だけで上回るのもいる」
ヒデが言った。
知らなかった。
「ここまでハッキリ遺伝子で突き付けられるものじゃないが、ぼんやりとは、な」
隊長が、頬を掻いて「内緒だったな」と苦笑する。
「貴種ねえ」
真理が半笑いを浮かべた。
「そんな品評会の珍品植物みたいな事言われても、なあ。まあ、やつらと戦うには便利そうだけど、退役したら関係ないしな」
俺が言うと、明彦は頷いた。
「むしろ、イケメンな顔面偏差値の方が役に立つぜ」
隊長やヒデ達がガックリと頭を下げた。
「いや、あのね」
ノルドさんが「わかってないのかな」という感じで言いかけるが、隊長が力なく笑う。
「こういうやつらなんですよ」
「だって、なあ」
「学兵だもんねえ。後2年だしね、兵役」
「進路かあ」
そちらの方が、切実だ。
突然、モニターの向こうでラドさんが笑い出した。
『はっはっはっ!遺伝子に縛られないで生きられるとは、こういう事だねえ』
「人間関係とかには縛られますけどね」
『それはどっちみち同じだよ』
違いない。
『ならば、どうしようもない遺伝子に縛られるのは御免だ。薬物で対G能力が上がるなら、職業だって自由でいい筈だ。やっぱり、今のフレイラのあり方は賛成できない。
力を貸してもらいたい。我々だけ、そちらだけでは敵わないだろう。一緒に、戦って欲しい』
真面目な顔になって言った。
隊長は真面目な顔で、答える。
「我々はあくまで、命令に従う軍人です。それを決める立場にはありません。
しかし、政府が、国連が、そういう判断を下す事を願っておりますし、その時は、全力で臨みたいと思っております」
数日後、あすかは革命軍の艦隊の中にいた。
「いや、そう言ったけどね。そう思うけどさ。なんであすかとルナリアンの艦だけなんだ、前線行きは」
隊長は、操艦室の艦長席で、しかめっ面をしていた。
「まあまあ、隊長。いまさらやないですか」
「タカ・・・。まあな」
「それに現実的に、危なっかしいロシアや中国の部隊や無人機と共闘するくらいなら、この方がやり易いですし」
「身も蓋も無いな、ユウ・・・」
「でも、まあ、そういう事ですよ」
「ヒデ・・・。そうだな。割り切るか」
隊長は苦笑して頭を掻くと、
「うん。気楽でいいか」
と笑って俺達へ言った。
「という事だから、ますます忙しくなるな。しっかりと期日中に課題を仕上げておくように」
俺達は
「はあい」
と揃って返事をしながら、新しく届いた大量の先々までの教材の箱を恨めし気に眺めたのだった。
革命軍は岩石群に囲まれた無人の小惑星の中に本拠地を置いていた。非戦闘員もいて、生産や、教育もしている。
港には艦が並び、そこの一角に、あすかとルナリアンの艦も停泊する。
降りてみると、空気は地球と同じ、気温は適温という感じだ。流石、ルーツが同じというところなのか。
「ようこそ。歓迎します」
モニター越しにあっただけだった革命軍の代表者ラドさんは、がっしりとした大柄な体つきの、笑顔が温かい人だった。
「こちらこそ、お世話になります」
隊長とがっちり握手し、
「さあ、とにかく中へ。内部をご案内しましょう」
と、内部へと案内される。
港部分は無重力だったが、軍用区画を過ぎてその向こうの扉を潜ると、地球と同じくらいの重力があった。
この小惑星はレモンのような形をしており、ヘタと先の部分に港やそれに付随する区画、身の部分に生活する区画があった。そしてそれは皮の内側に張り付くような形になっており、生活区画はゆっくりと回転する事で重力を生み出しているのだ。
「うわあ・・・!」
明彦が歓声を上げる。
街が広がり、森があり、草原には動物が放牧され、川もある。それがきっちりと区画整備されて、並んでいた。
ヘタと先を結んで真ん中を貫いている筒はエレベーターでもあり、灯りを届ける太陽でもあるらしい。
「自由に、散策して下さって結構ですよ。子供もいますしね。サッカーに似たスポーツや、無重力鬼ごっこが人気ですよ。
向こうの港は、パトロールや付近での作業に使うようなもの専門にしています」
説明を聞きながら、軍用区画へ戻り、隊長と俺達飛行隊はそのまま彼らに付いて行き、他は港へ戻って行く。
「水と全ての有機物は循環させて再利用します。一日は27時間。これはフレイラと同じサイクルで、首都の時間に合わせてあります」
「3時間長いな。3時間何しよう」
ウキウキする明彦だったが、
「課題を片付けるのにいいんじゃないか」
と言ったら、ムンクの叫びみたいな顔で驚愕していた。
いや、マジで、やらないとな?
そうして会議室か教室みたいな所に入って、小さな机の付いた椅子に座る。ブリーフィングルームという部屋らしい。
「教室みたいで落ち着かないぜ」
「あはは。説明を聞くんだから、授業みたいなものかもねえ」
「言えてるな」
行っているうちに、同じ年くらいの女の子が飲み物を配ってくれる。
明彦は彼女をボーッと見つめ、
「あ、ありがとう!」
と大声で言い、彼女がにっこりと笑うと、ふにゃーっと締まりのない顔で彼女の姿を追い続けた。
「明彦?おーい。明彦ぉ」
「だめだ。心ここにあらずだよぉ」
俺と真理は、明彦の珍しい様子を面白がって見ていたが、それを面白くない目で見る人物がいた。
「ウオッホン」
司令官、ノルドさんだ。
「あれは妹のカリドだ。技術職についている。ええー、交際はまだ早い。認めん」
「お兄さん!?」
明彦はノルドさんにバッと顔を向けたが、ノルドさんは、
「まだお兄さんと言われる段階ではないーー!」
と言い、カップの飲み物をグイッと飲んだ。
「もう、兄さんったら。そういう意味じゃないでしょ。恥ずかしいんだから・・・」
カリドさんはプクッと頬を膨らませて抗議する。
うん。素直そうだし、可愛いな。
にしても、シスコンか。
「あ、ども!オレ、古谷明彦です。まずは友達から、よろしくね!アキでも明彦でも、好きに呼んで!」
「私はカリド。こちらこそよろしくね」
「--!!」
ノルドさんは言葉にならない何かを抱え、奥歯を噛み締めていた。
面白い。ほぼ全員が、これを眺めてそう思っていた。
「まあまあ。友情、大いに結構。われわれは仲間だ。お互いに親睦を深めて、同じ目標に向かって行こう。
さて。これより、詳しくフレイラについて情報共有したいと思う」
ラドさんがにこにことしてまとめ、全員、真面目な顔になった。
友人のラブコメの行方も気になるが、こちらは命に直結するので、是非とも真剣になる必要があった。
「技術も試薬も凄いですよ。これが使いこなせれば、原因不明とされている病気の少なくともいくつかは解明できるかも知れません」
先生は遠くを見る目になって笑う。
「それは良かった」
隊長は控えめに相槌を打って、促した。
「で、検査結果はどうでしたか、先生」
「あ、そうでした」
先生は検査結果をまとめた紙に目を落とした。
「まず隊長。肝数値も正常ーーいや、そういう部分は、後で個別に指導します」
そこで、ペラペラと紙をめくって言葉を継いだ。
「詳しい部分は省いて結論だけを言います。やはり想像通り、砌君、真理君、明彦君はダイレクトリンクの才能があり、発現しています。ヒデさんとユウさんは遺伝子はありますが、発現はしていません。他は、遺伝子を持っている人はいませんでした。
それから、砌君ですが、あと特異な遺伝子が見られました。空間眺望、遠隔操作、予見視の3つです。真理君は予見視の遺伝子です。明彦君は空間眺望の遺伝子でした」
誰かがグウッと喉を鳴らした。
「待って下さい。じゃあ、何ですか。こいつら3人は、その珍しい珍種みたいな1パーセント未満の能力がある?たまたま先祖返りしたより珍しいのが、たまたま一つの飛行隊に集まった?」
隊長が疑わしそうに言うが、すぐに、ああと呟く。
「いや、だからあすかまで来たし、生き残ってるのか。クラス分けもそういう選考があるし、班まで同じはともかく、クラスが同じになる確率は高いのか」
「え、何ですかそれ。クラスがどうこうって」
「あ、知らないんだっけ、学兵自身は。
潜在的な能力を見てわけるんだよ。だから、芽の出ないまま終わるのもいるし、努力だけで上回るのもいる」
ヒデが言った。
知らなかった。
「ここまでハッキリ遺伝子で突き付けられるものじゃないが、ぼんやりとは、な」
隊長が、頬を掻いて「内緒だったな」と苦笑する。
「貴種ねえ」
真理が半笑いを浮かべた。
「そんな品評会の珍品植物みたいな事言われても、なあ。まあ、やつらと戦うには便利そうだけど、退役したら関係ないしな」
俺が言うと、明彦は頷いた。
「むしろ、イケメンな顔面偏差値の方が役に立つぜ」
隊長やヒデ達がガックリと頭を下げた。
「いや、あのね」
ノルドさんが「わかってないのかな」という感じで言いかけるが、隊長が力なく笑う。
「こういうやつらなんですよ」
「だって、なあ」
「学兵だもんねえ。後2年だしね、兵役」
「進路かあ」
そちらの方が、切実だ。
突然、モニターの向こうでラドさんが笑い出した。
『はっはっはっ!遺伝子に縛られないで生きられるとは、こういう事だねえ』
「人間関係とかには縛られますけどね」
『それはどっちみち同じだよ』
違いない。
『ならば、どうしようもない遺伝子に縛られるのは御免だ。薬物で対G能力が上がるなら、職業だって自由でいい筈だ。やっぱり、今のフレイラのあり方は賛成できない。
力を貸してもらいたい。我々だけ、そちらだけでは敵わないだろう。一緒に、戦って欲しい』
真面目な顔になって言った。
隊長は真面目な顔で、答える。
「我々はあくまで、命令に従う軍人です。それを決める立場にはありません。
しかし、政府が、国連が、そういう判断を下す事を願っておりますし、その時は、全力で臨みたいと思っております」
数日後、あすかは革命軍の艦隊の中にいた。
「いや、そう言ったけどね。そう思うけどさ。なんであすかとルナリアンの艦だけなんだ、前線行きは」
隊長は、操艦室の艦長席で、しかめっ面をしていた。
「まあまあ、隊長。いまさらやないですか」
「タカ・・・。まあな」
「それに現実的に、危なっかしいロシアや中国の部隊や無人機と共闘するくらいなら、この方がやり易いですし」
「身も蓋も無いな、ユウ・・・」
「でも、まあ、そういう事ですよ」
「ヒデ・・・。そうだな。割り切るか」
隊長は苦笑して頭を掻くと、
「うん。気楽でいいか」
と笑って俺達へ言った。
「という事だから、ますます忙しくなるな。しっかりと期日中に課題を仕上げておくように」
俺達は
「はあい」
と揃って返事をしながら、新しく届いた大量の先々までの教材の箱を恨めし気に眺めたのだった。
革命軍は岩石群に囲まれた無人の小惑星の中に本拠地を置いていた。非戦闘員もいて、生産や、教育もしている。
港には艦が並び、そこの一角に、あすかとルナリアンの艦も停泊する。
降りてみると、空気は地球と同じ、気温は適温という感じだ。流石、ルーツが同じというところなのか。
「ようこそ。歓迎します」
モニター越しにあっただけだった革命軍の代表者ラドさんは、がっしりとした大柄な体つきの、笑顔が温かい人だった。
「こちらこそ、お世話になります」
隊長とがっちり握手し、
「さあ、とにかく中へ。内部をご案内しましょう」
と、内部へと案内される。
港部分は無重力だったが、軍用区画を過ぎてその向こうの扉を潜ると、地球と同じくらいの重力があった。
この小惑星はレモンのような形をしており、ヘタと先の部分に港やそれに付随する区画、身の部分に生活する区画があった。そしてそれは皮の内側に張り付くような形になっており、生活区画はゆっくりと回転する事で重力を生み出しているのだ。
「うわあ・・・!」
明彦が歓声を上げる。
街が広がり、森があり、草原には動物が放牧され、川もある。それがきっちりと区画整備されて、並んでいた。
ヘタと先を結んで真ん中を貫いている筒はエレベーターでもあり、灯りを届ける太陽でもあるらしい。
「自由に、散策して下さって結構ですよ。子供もいますしね。サッカーに似たスポーツや、無重力鬼ごっこが人気ですよ。
向こうの港は、パトロールや付近での作業に使うようなもの専門にしています」
説明を聞きながら、軍用区画へ戻り、隊長と俺達飛行隊はそのまま彼らに付いて行き、他は港へ戻って行く。
「水と全ての有機物は循環させて再利用します。一日は27時間。これはフレイラと同じサイクルで、首都の時間に合わせてあります」
「3時間長いな。3時間何しよう」
ウキウキする明彦だったが、
「課題を片付けるのにいいんじゃないか」
と言ったら、ムンクの叫びみたいな顔で驚愕していた。
いや、マジで、やらないとな?
そうして会議室か教室みたいな所に入って、小さな机の付いた椅子に座る。ブリーフィングルームという部屋らしい。
「教室みたいで落ち着かないぜ」
「あはは。説明を聞くんだから、授業みたいなものかもねえ」
「言えてるな」
行っているうちに、同じ年くらいの女の子が飲み物を配ってくれる。
明彦は彼女をボーッと見つめ、
「あ、ありがとう!」
と大声で言い、彼女がにっこりと笑うと、ふにゃーっと締まりのない顔で彼女の姿を追い続けた。
「明彦?おーい。明彦ぉ」
「だめだ。心ここにあらずだよぉ」
俺と真理は、明彦の珍しい様子を面白がって見ていたが、それを面白くない目で見る人物がいた。
「ウオッホン」
司令官、ノルドさんだ。
「あれは妹のカリドだ。技術職についている。ええー、交際はまだ早い。認めん」
「お兄さん!?」
明彦はノルドさんにバッと顔を向けたが、ノルドさんは、
「まだお兄さんと言われる段階ではないーー!」
と言い、カップの飲み物をグイッと飲んだ。
「もう、兄さんったら。そういう意味じゃないでしょ。恥ずかしいんだから・・・」
カリドさんはプクッと頬を膨らませて抗議する。
うん。素直そうだし、可愛いな。
にしても、シスコンか。
「あ、ども!オレ、古谷明彦です。まずは友達から、よろしくね!アキでも明彦でも、好きに呼んで!」
「私はカリド。こちらこそよろしくね」
「--!!」
ノルドさんは言葉にならない何かを抱え、奥歯を噛み締めていた。
面白い。ほぼ全員が、これを眺めてそう思っていた。
「まあまあ。友情、大いに結構。われわれは仲間だ。お互いに親睦を深めて、同じ目標に向かって行こう。
さて。これより、詳しくフレイラについて情報共有したいと思う」
ラドさんがにこにことしてまとめ、全員、真面目な顔になった。
友人のラブコメの行方も気になるが、こちらは命に直結するので、是非とも真剣になる必要があった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。


【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる