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二度寝
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ワープゲートの設置も、かなり進んでいる。
あすかは遠方の設置に向けた無人での設置実験を記録、監督していた。
『設置作業終了を確認。確認に向かいます』
技術職のスタッフが無人で組み立てられたワープゲートを確認に行き、その間、俺達飛行隊は周囲の警戒に当たる。
指定通りの座標で、手順通りに、間違いなく組み立てられているか。問題がなければ、今後は資材と組み立て機をプログラミングして送り出すだけで、人類は設置後のゲートをくぐって遠くへといきなり跳べる事になる。これは、楽だ。何せ人が行うなら、設置に向かう時は通常航行で行かなくてはならないので、設置作業に就く人間は、数年単位の仕事になってしまう。機械化できればゲート設置完了のシグナルを待つだけでいい。
ただし、座標が間違っていない事と、設置に不備が無い事が条件だが。
やがて確認作業が終わり、明るい声が聞こえた。
『異常なし』
ホッと、胸をなでおろす。
スタッフが帰艦し、そのまま待機していると、ゲートが起動し、船体が現れる。試験艦あづちだ。
『大きいなあ』
明彦が声を上げる。感嘆の表情を浮かべているのが想像できるようだ。
『飛行隊は帰艦して下さい』
峰岸さんの声の後、ヒデが続ける。
『ようし、まずはバードから着艦しろ』
「バード1了解」
『バード2了解ぃ』
『バード3了解!』
俺達は順に行儀良くあすかに着艦し、所定のスポットに機体を収める。
ヒデ達キャット1、2、3も着艦し、各々のスポットへ行く。
「問題は無いな?」
「はい、ありません」
氷川さんと雨宮さんに答える。真理と明彦も各々同様の問答をし、それで俺達のフライトは終了する。
まあ、ちょっと警戒に出て散歩しただけだ。問題などない。
ハニービーカスタムは、姉御こと河原一曹が同様の確認をしている。
「これで一旦基地へ帰るんだよな!」
「ああ。改修だろ」
「一週間だけまとまった休みが出るんだよねぇ」
「ああ。真理も明彦も家に帰るんだろ。気を付けろよ」
「おう!」
「砌はどうするのぉ?」
「ゆっくりとするよ。寝坊したり、昼寝したり、居眠りしたり」
「寝てばっかりだねぇ」
笑い合いながら着替え、ブリッジ兼教室兼ーー面倒臭いな。ブリッジ一角の定位置へ行く。
「おう、お疲れさん」
隊長が声をかけて来る。
が、雰囲気が少しおかしかった。
「何かありましたか」
ヒデが訊く。
「この先で米軍がルナリアンと戦闘してたんだよ。あづちの装備で、それを見られそうだぞ」
「へえ」
「映像、来ました」
「メインモニターに出してくれ」
俺達はシートに座り、モニターを見る。
ルナリアンの戦闘機を、アメリカ国旗を付けた戦闘機が追っている。ルナリアンの方は見慣れた人型で、相も変わらず、血管が切れそうな軌道だ。
アメリカの機体の方は新型機らしい。球体に近い形で、コクピットが見当たらず、全体にまんべんなく穴が開いている。見ていると、その穴すべてが排気口らしく、自在に排気する穴を変えて瞬時に機体の進行方向を変え、ルナリアンと同等かそれ以上の急加速、急制動を実現している。
違和感と驚きを感じた。
「あれ、中のパイロットは無事に生きてるのか?」
ヒデ達も同様らしく、
「アメリカでもダイレクトリンカーを投入して来たのか?あんなにたくさん?」
と、モニターに見入っている。
アメリカ国旗を付けた機体は、12機程いたのだ。
「無人機らしい」
氷川さんと雨宮さんが、いつの間にかいた。
「無人機?道理で」
ユウが言って、付け足す。
「あれを狙撃するのは骨だな。マサト、ウィッチなら行けるか」
「そうですねえ。まあ、行けますよぉ」
「アキ、お前なら叩けるか」
「無理っぽいなあ」
「ミギリは」
「いけると思います」
先輩達は深く息を吐いた。
「まあ、友好国だからな。でも、他国だって、いつ同様のものを開発するかわからんな」
隊長が重々しく言う中、モニターではアメリカ機がとうとう最後のルナリアン機を撃ち、勝ちを収めていた。
それから、これまでの主力戦闘機であったモビルドールと小型艇が近付いて来て、モビルドールが警戒する中、小型艇から下りて来た人間が、ルナリアンの機体に取り付いてコクピットを開けていく。
グッタリしたパイロット、両手を上げたパイロットは両手を拘束して小型艇に乗せ、死んでいるらしきパイロットはそのまま置く。
「・・・」
血が、下がったような気がした。
ノリブの相手をしているぶんにはわからなかった、機体だけを見ている分には気付かない振りをしていた。
「戦争をしてるんだからな。きれいごとでは済まされない、か」
でも、すぐに冷静な自分が現れて、心拍数も体温も元に戻るのがわかる。
明彦は血の気の引いた顔を俯かせ、真理は顔を背けている。
「チッ。先に見ておくんだったな」
隊長は舌打ちして、頭を掻いた。
「春原先生を呼ぶか」
「俺は大丈夫ですよ、隊長」
「うん。最初はショックだったけどねぇ」
「わかってたことだしな」
「・・・やっぱり春原先生を呼んでくれ、くるみちゃん」
「はい」
急遽俺達は、1人ずつカウンセリングを受ける事になった。
基地に戻ると、真理と明彦は家に帰って行った。俺は宣言通り、のんびりしようと構えていた。まず二度寝。朝食の後は本を読みたいだけ読んで、昼食後に昼寝。本を読んで、夕食、フロ、そして本。
ああ。その野望は打ち砕かれた。朝食後、真理と明彦を見送って部屋に戻っていると、ワープゲート関連で父が基地に来ていたらしく、父と兄とに、ひょっこりと顔を合わせてしまった。
「砌か。何だ、戻っていたのか」
どうでも良さそうだ。
「はい」
「余計な事はしていないだろうな」
「そのつもりですが」
「いいか、くれぐれも足を引っ張るなよ」
「はい」
それでいっぺんに、二度寝する気が失せた。
「そうだ。アメリカの無人機のデータを再現したんだ。ちょっと対戦してみろよ」
兄が言う。俺、休暇中なんだけどな。
「わかりました」
仕方が無い。
技官は「え、休みなんじゃ」という顔をしたが、フェアリーのコクピットを再現したシミュレーターに、無人機のデータをつなぐ。天才博士と首相の命令だ。
無人機の位置を捕捉。射撃を行うが、躱される。向こうからの攻撃。これを躱す。お互いに、撃ち合い、躱し合い、隙と死角を窺って、忙しく機体を制御する。
フェイントを織り交ぜて接近し、ソードで斬る。
今度は1機ではなく3機出て来た。それも3方向から。
射線を外し、移動し、態勢をわずかに変える事で攻撃を避ける。そしてこちらも反撃にかかる。
ビット射出。大盤振る舞い、6つだ。
どうにでも自在に向きを変え、生身のパイロットという弱点のない無人機は、どうにも難しい相手だ。ビットを落とされながらも無人機に当てていく。
次は無人機が6機。
誘い、引き連れ、罠にかけ、潰す。
だが、あと2機というところで、体当たり攻撃を食らってやられる。
『しっかりしてくれよ』
「はい」
6機が出て来る。
撃って、躱して、突っ込んで、急転換。それに合わせて、シミュレータが回り、シートにエアが送り込まれて圧迫され、振り回され、よじれる。
視界が暗くなる。ブラックアウトだ。撃墜判定を食らった音と共に、生暖かいものが鼻から流れ、兄のイライラとした声がする。
『真面目にやれよ!アメリカの無人機なんかに負けるわけないんだからな!?』
「はい・・・」
敵機が出る。6機。どうやったか、わからない。
敵機が12機。
だんだんと、自分が希薄になっていく。薄く、広く、深く。
敵の現在地が見なくてもわかる。敵の1秒後の位置が読める。フェアリーは自分の体そのものになって、ビットはつながった手の延長になる。
いつしか無人機は、全滅していた。
『大丈夫そうだな、何かあっても』
『うん。対処できそうだよ、父さん。今の動きをインストールした無人機を、こっちも開発するよ』
『そうか。頼んだぞ』
2人の出て行く気配を感じながら、ようやく俺は、ああ、二度寝できそうだ、と思った。
あすかは遠方の設置に向けた無人での設置実験を記録、監督していた。
『設置作業終了を確認。確認に向かいます』
技術職のスタッフが無人で組み立てられたワープゲートを確認に行き、その間、俺達飛行隊は周囲の警戒に当たる。
指定通りの座標で、手順通りに、間違いなく組み立てられているか。問題がなければ、今後は資材と組み立て機をプログラミングして送り出すだけで、人類は設置後のゲートをくぐって遠くへといきなり跳べる事になる。これは、楽だ。何せ人が行うなら、設置に向かう時は通常航行で行かなくてはならないので、設置作業に就く人間は、数年単位の仕事になってしまう。機械化できればゲート設置完了のシグナルを待つだけでいい。
ただし、座標が間違っていない事と、設置に不備が無い事が条件だが。
やがて確認作業が終わり、明るい声が聞こえた。
『異常なし』
ホッと、胸をなでおろす。
スタッフが帰艦し、そのまま待機していると、ゲートが起動し、船体が現れる。試験艦あづちだ。
『大きいなあ』
明彦が声を上げる。感嘆の表情を浮かべているのが想像できるようだ。
『飛行隊は帰艦して下さい』
峰岸さんの声の後、ヒデが続ける。
『ようし、まずはバードから着艦しろ』
「バード1了解」
『バード2了解ぃ』
『バード3了解!』
俺達は順に行儀良くあすかに着艦し、所定のスポットに機体を収める。
ヒデ達キャット1、2、3も着艦し、各々のスポットへ行く。
「問題は無いな?」
「はい、ありません」
氷川さんと雨宮さんに答える。真理と明彦も各々同様の問答をし、それで俺達のフライトは終了する。
まあ、ちょっと警戒に出て散歩しただけだ。問題などない。
ハニービーカスタムは、姉御こと河原一曹が同様の確認をしている。
「これで一旦基地へ帰るんだよな!」
「ああ。改修だろ」
「一週間だけまとまった休みが出るんだよねぇ」
「ああ。真理も明彦も家に帰るんだろ。気を付けろよ」
「おう!」
「砌はどうするのぉ?」
「ゆっくりとするよ。寝坊したり、昼寝したり、居眠りしたり」
「寝てばっかりだねぇ」
笑い合いながら着替え、ブリッジ兼教室兼ーー面倒臭いな。ブリッジ一角の定位置へ行く。
「おう、お疲れさん」
隊長が声をかけて来る。
が、雰囲気が少しおかしかった。
「何かありましたか」
ヒデが訊く。
「この先で米軍がルナリアンと戦闘してたんだよ。あづちの装備で、それを見られそうだぞ」
「へえ」
「映像、来ました」
「メインモニターに出してくれ」
俺達はシートに座り、モニターを見る。
ルナリアンの戦闘機を、アメリカ国旗を付けた戦闘機が追っている。ルナリアンの方は見慣れた人型で、相も変わらず、血管が切れそうな軌道だ。
アメリカの機体の方は新型機らしい。球体に近い形で、コクピットが見当たらず、全体にまんべんなく穴が開いている。見ていると、その穴すべてが排気口らしく、自在に排気する穴を変えて瞬時に機体の進行方向を変え、ルナリアンと同等かそれ以上の急加速、急制動を実現している。
違和感と驚きを感じた。
「あれ、中のパイロットは無事に生きてるのか?」
ヒデ達も同様らしく、
「アメリカでもダイレクトリンカーを投入して来たのか?あんなにたくさん?」
と、モニターに見入っている。
アメリカ国旗を付けた機体は、12機程いたのだ。
「無人機らしい」
氷川さんと雨宮さんが、いつの間にかいた。
「無人機?道理で」
ユウが言って、付け足す。
「あれを狙撃するのは骨だな。マサト、ウィッチなら行けるか」
「そうですねえ。まあ、行けますよぉ」
「アキ、お前なら叩けるか」
「無理っぽいなあ」
「ミギリは」
「いけると思います」
先輩達は深く息を吐いた。
「まあ、友好国だからな。でも、他国だって、いつ同様のものを開発するかわからんな」
隊長が重々しく言う中、モニターではアメリカ機がとうとう最後のルナリアン機を撃ち、勝ちを収めていた。
それから、これまでの主力戦闘機であったモビルドールと小型艇が近付いて来て、モビルドールが警戒する中、小型艇から下りて来た人間が、ルナリアンの機体に取り付いてコクピットを開けていく。
グッタリしたパイロット、両手を上げたパイロットは両手を拘束して小型艇に乗せ、死んでいるらしきパイロットはそのまま置く。
「・・・」
血が、下がったような気がした。
ノリブの相手をしているぶんにはわからなかった、機体だけを見ている分には気付かない振りをしていた。
「戦争をしてるんだからな。きれいごとでは済まされない、か」
でも、すぐに冷静な自分が現れて、心拍数も体温も元に戻るのがわかる。
明彦は血の気の引いた顔を俯かせ、真理は顔を背けている。
「チッ。先に見ておくんだったな」
隊長は舌打ちして、頭を掻いた。
「春原先生を呼ぶか」
「俺は大丈夫ですよ、隊長」
「うん。最初はショックだったけどねぇ」
「わかってたことだしな」
「・・・やっぱり春原先生を呼んでくれ、くるみちゃん」
「はい」
急遽俺達は、1人ずつカウンセリングを受ける事になった。
基地に戻ると、真理と明彦は家に帰って行った。俺は宣言通り、のんびりしようと構えていた。まず二度寝。朝食の後は本を読みたいだけ読んで、昼食後に昼寝。本を読んで、夕食、フロ、そして本。
ああ。その野望は打ち砕かれた。朝食後、真理と明彦を見送って部屋に戻っていると、ワープゲート関連で父が基地に来ていたらしく、父と兄とに、ひょっこりと顔を合わせてしまった。
「砌か。何だ、戻っていたのか」
どうでも良さそうだ。
「はい」
「余計な事はしていないだろうな」
「そのつもりですが」
「いいか、くれぐれも足を引っ張るなよ」
「はい」
それでいっぺんに、二度寝する気が失せた。
「そうだ。アメリカの無人機のデータを再現したんだ。ちょっと対戦してみろよ」
兄が言う。俺、休暇中なんだけどな。
「わかりました」
仕方が無い。
技官は「え、休みなんじゃ」という顔をしたが、フェアリーのコクピットを再現したシミュレーターに、無人機のデータをつなぐ。天才博士と首相の命令だ。
無人機の位置を捕捉。射撃を行うが、躱される。向こうからの攻撃。これを躱す。お互いに、撃ち合い、躱し合い、隙と死角を窺って、忙しく機体を制御する。
フェイントを織り交ぜて接近し、ソードで斬る。
今度は1機ではなく3機出て来た。それも3方向から。
射線を外し、移動し、態勢をわずかに変える事で攻撃を避ける。そしてこちらも反撃にかかる。
ビット射出。大盤振る舞い、6つだ。
どうにでも自在に向きを変え、生身のパイロットという弱点のない無人機は、どうにも難しい相手だ。ビットを落とされながらも無人機に当てていく。
次は無人機が6機。
誘い、引き連れ、罠にかけ、潰す。
だが、あと2機というところで、体当たり攻撃を食らってやられる。
『しっかりしてくれよ』
「はい」
6機が出て来る。
撃って、躱して、突っ込んで、急転換。それに合わせて、シミュレータが回り、シートにエアが送り込まれて圧迫され、振り回され、よじれる。
視界が暗くなる。ブラックアウトだ。撃墜判定を食らった音と共に、生暖かいものが鼻から流れ、兄のイライラとした声がする。
『真面目にやれよ!アメリカの無人機なんかに負けるわけないんだからな!?』
「はい・・・」
敵機が出る。6機。どうやったか、わからない。
敵機が12機。
だんだんと、自分が希薄になっていく。薄く、広く、深く。
敵の現在地が見なくてもわかる。敵の1秒後の位置が読める。フェアリーは自分の体そのものになって、ビットはつながった手の延長になる。
いつしか無人機は、全滅していた。
『大丈夫そうだな、何かあっても』
『うん。対処できそうだよ、父さん。今の動きをインストールした無人機を、こっちも開発するよ』
『そうか。頼んだぞ』
2人の出て行く気配を感じながら、ようやく俺は、ああ、二度寝できそうだ、と思った。
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