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たくさんの銃口
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篁文はサル型を銃で仕留めながら追っていた。
どこかわからないが、都市にでたらしい。日本に似ているようで、いつかの殺人光線を出す戦車はいないらしい事に安堵する。
逃げるサル型が車の上に乗ってしまった。
「くそっ」
篁文はその先を見た。ゆるいカーブを描く高架で、内側にはビルが乱立していた。
そのビルのテラスに上がって走り、隣のビルの壁を蹴り、電柱を蹴って方向を変え、別の建物の屋上に飛び降りる。たくさんの悲鳴と怒号は、後から追って来た。
その真横に、サル型を屋根に乗せた車が通りかかる。
銃を向け、撃つ。サル型は肩から膨張し、爆散した。
素早く周囲を確認。
「いた」
非常階段の手すりと隣のテラスとに交互に飛び降りながら発砲。
街路で通行人を襲いかけていた2匹が爆散した。
街路に出ると、至近距離にもう1頭がいた。雄叫びを上げる時に隙ができ、掴みかかろうとする腕から1歩下がり、側頭部に起動させたスティックを振り下ろす。
「グギャアアアア!!」
サル型は頭の上半分を飛ばして死んだ。
悲鳴がする。
見ると、座り込んだ人にサル型が圧し掛かり、肩にかぶりつこうとしていた。その猿に発砲。
これで終わりか?
見回した時、周りの人達がマヒせず、携帯やスマホを自分に向けているのに気付いた。
「呑気な。
ん?ここはラクシーじゃないのか?あれってスマホか?携帯電話?んん?」
混乱しかかった篁文だったが、微かに悲鳴がしたので、それどころじゃないと我に返った。逃げ込んだのは15頭だったと思ったが、その前に別の敵性生物が侵入していたのだろうか。そう思いながら声の方へ急ぐ。
そこはトンネルの出口で、盾を構えた警官が、虎が出て来ないように必死に塞いでいた。
「伏せろ!」
「え、何!?」
わからない言葉に振り返った警官は、篁文を見てギョッと顔を強張らせた。その頭上を通して、虎を撃つ。
血と肉片が飛び散って透明な盾を紫色に染める。
凍り付く警官の上を虎が次々と超えて、まずは立ちふさがる敵を倒さんと篁文に殺到していった。
それを、躱しながら撃ち、スティックで切り裂いていく。
辺りが血の海になったところで顔を向けると、警官達は篁文に銃を向けた。
「う、動くな!」
「俺はアクシルの特殊次元対策課所属、綾瀬篁文です。
え、日本語?何で?」
遅ればせながら、それが日本語であると篁文は気付いた。
周囲は、篁文に銃を向ける警察官と、カメラを向ける野次馬でいっぱいだった。
「え、何で?」
そこに、
「たかふみー!」
という声と一緒に、紗希達が飛び込んで来た。そして、紗希はまたもけつまずき、篁文のみぞおちに頭突きをかます。
「……お前というやつは……。わざとか?わざとなんだな?」
篁文はそこはかとなく怒っていたが、号泣する紗希に、怒りも収まった。
「鼻が垂れてるぞ。拭け」
「うあ、ふえっ、えぐっ」
「全く」
嘆息して、ハンカチで鼻を拭いてやる。
「よう、セレエもドルメもパセも、元気そうだな」
「お前も、相変わらずだな」
そんな篁文達に、警察バッジを示しながらスーツの男達が近寄った。
「詳しい説明をお願いできるだろうか」
「はい。
その前に、これ以上敵性生物が侵入しないようにしないときりがない」
その時、トンネルの奥からヨウゼとルルカが走って来た。
「課長!ルルカも!」
「もうだめ、走れない」
ルルカはへたり込んだ。
どこかわからないが、都市にでたらしい。日本に似ているようで、いつかの殺人光線を出す戦車はいないらしい事に安堵する。
逃げるサル型が車の上に乗ってしまった。
「くそっ」
篁文はその先を見た。ゆるいカーブを描く高架で、内側にはビルが乱立していた。
そのビルのテラスに上がって走り、隣のビルの壁を蹴り、電柱を蹴って方向を変え、別の建物の屋上に飛び降りる。たくさんの悲鳴と怒号は、後から追って来た。
その真横に、サル型を屋根に乗せた車が通りかかる。
銃を向け、撃つ。サル型は肩から膨張し、爆散した。
素早く周囲を確認。
「いた」
非常階段の手すりと隣のテラスとに交互に飛び降りながら発砲。
街路で通行人を襲いかけていた2匹が爆散した。
街路に出ると、至近距離にもう1頭がいた。雄叫びを上げる時に隙ができ、掴みかかろうとする腕から1歩下がり、側頭部に起動させたスティックを振り下ろす。
「グギャアアアア!!」
サル型は頭の上半分を飛ばして死んだ。
悲鳴がする。
見ると、座り込んだ人にサル型が圧し掛かり、肩にかぶりつこうとしていた。その猿に発砲。
これで終わりか?
見回した時、周りの人達がマヒせず、携帯やスマホを自分に向けているのに気付いた。
「呑気な。
ん?ここはラクシーじゃないのか?あれってスマホか?携帯電話?んん?」
混乱しかかった篁文だったが、微かに悲鳴がしたので、それどころじゃないと我に返った。逃げ込んだのは15頭だったと思ったが、その前に別の敵性生物が侵入していたのだろうか。そう思いながら声の方へ急ぐ。
そこはトンネルの出口で、盾を構えた警官が、虎が出て来ないように必死に塞いでいた。
「伏せろ!」
「え、何!?」
わからない言葉に振り返った警官は、篁文を見てギョッと顔を強張らせた。その頭上を通して、虎を撃つ。
血と肉片が飛び散って透明な盾を紫色に染める。
凍り付く警官の上を虎が次々と超えて、まずは立ちふさがる敵を倒さんと篁文に殺到していった。
それを、躱しながら撃ち、スティックで切り裂いていく。
辺りが血の海になったところで顔を向けると、警官達は篁文に銃を向けた。
「う、動くな!」
「俺はアクシルの特殊次元対策課所属、綾瀬篁文です。
え、日本語?何で?」
遅ればせながら、それが日本語であると篁文は気付いた。
周囲は、篁文に銃を向ける警察官と、カメラを向ける野次馬でいっぱいだった。
「え、何で?」
そこに、
「たかふみー!」
という声と一緒に、紗希達が飛び込んで来た。そして、紗希はまたもけつまずき、篁文のみぞおちに頭突きをかます。
「……お前というやつは……。わざとか?わざとなんだな?」
篁文はそこはかとなく怒っていたが、号泣する紗希に、怒りも収まった。
「鼻が垂れてるぞ。拭け」
「うあ、ふえっ、えぐっ」
「全く」
嘆息して、ハンカチで鼻を拭いてやる。
「よう、セレエもドルメもパセも、元気そうだな」
「お前も、相変わらずだな」
そんな篁文達に、警察バッジを示しながらスーツの男達が近寄った。
「詳しい説明をお願いできるだろうか」
「はい。
その前に、これ以上敵性生物が侵入しないようにしないときりがない」
その時、トンネルの奥からヨウゼとルルカが走って来た。
「課長!ルルカも!」
「もうだめ、走れない」
ルルカはへたり込んだ。
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