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まつり
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特殊次元対策課近くに弁当屋があり、そこは種類も多く、値段もお得、味も良い。紗希とパセは隣のパン屋がお気に入りで、ドルメは向かいのカレー屋、セレエはその隣のラーメン屋みたいな所の焼きそばのようなものが好きらしく、各々買い物に散っていた。
本日のお勧めを包んでもらうのを待っていると、壁に貼られたポスターが目に付いた。
「ああ、それ。はなまつりですよ。独身の男女はほぼ全員行くんですよ」
店頭で販売を受け持っている店主の娘は、明るく言った。
「へえ」
「伝統ですね。男性は赤い花、女性は白い花を1本持って行って、交換するんです」
「ああ、なるほど」
篁文は、バレンタインデーに女子が「友チョコ」を交換したり「義理チョコ」を配ったりしていたのを思い出した。
ちなみに篁文は、毎年紗希と交換させられていた。買いに行くのがいくら周囲に頓着しない篁文でも流石に行きづらく、かなり早いうちに買って準備しておくという苦労を強いられていたのだ。
つい思い出してしまった。
「ね、行きましょうよ」
「そうですね。課の皆も誘ってみます」
彼女はニコニコとしながら、タラの唐揚げ野菜あんかけのパックを一緒に袋に入れた。
「おまけです。父には内緒ね」
「ありがとうございます」
篁文は彼女の笑みに見送られて、店を出た。
皆も各々、店でまつりの話を聞いて来ていた。課に戻りながら、行きたい、行ってみよう、似たような行事があったなどと話し合う。
デスクについて各々の昼食を取り出すと、紗希が篁文の弁当に目を向けた。
「篁文、今日はおかずをプラスしたの?タラの野菜あんかけ、好きだもんね」
「店番の人が内緒でおまけしてくれた」
「……店主の娘さん?大きい」
「大きい?一人っ子だと聞いたし、同じくらいの年だろ?
常連と認定して貰えたのかもな」
「……そうね」
低い声で紗希が答え、パセが
「篁文、鈍い……」
と言って紗希の胸をチラッと見るのに、セレエとドルメが肩を竦めた。
紗希とパセは、夕食後寮の部屋でお菓子を食べていた。
「紗希のところもバレンタイン?あったんでしょ。どうだったの」
紗希はむっつりと、
「隣の家で、小さい頃から交換してたから、多分篁文は友チョコだと思ってる」
と言って、ヤケクソ気味にチョコクッキーを齧った。
「どんな雰囲気で渡したの」
「食べたいのを指定しておいて買ってもらうの。私の方は、適当に買っておいて渡すんだけど。当日『はい』ってね」
パセは想像してみた。
仏頂面の篁文と満面の笑みの紗希がブツを交換し、リクエストしたチョコに小躍りする紗希。
外れていない。
「だめよそりゃあ。目に浮かぶわ……」
「ええー」
「兄弟みたいなのよねえ」
「だって、実際、そうなんだもの」
「いきなり迫ってもまずいだろうしねえ。まあ当面は、寄って来るライバルに『一番近いのは自分だ』と示して、少しずつ篁文にアピールしていくのね」
「わかった。やってみるわ」
紗希は力強く頷いた。
まつりが近付くにつれて、市民たちはソワソワしていく。バレンタイン前にとても似ていた。
当日と前日は、赤い花か白い花を1本だけ買う人が多いため、あらかじめ1本ずつセロファンで巻いて準備しているものがたくさん店先にあった。
昔は各村で行われていたものがだんだん規模が大きくなって、アレイ市の会場は幾つかに分かれ、一番近いのは市役所前のグラウンドになっているそうだ。それでも人数が多いので、男女が何人かずつ列を作り、順番に高くなっている所を通って顔を見せ、まずは女性からこれと目を付けた男性の所に白い花を持って行き、OKなら赤い花を交換する。
時間が来ると、次は男性から女性の所に赤い花を持って行き、OKなら白い花と交換する。
あとは、家族連れや友達連れと一緒に、たくさんの屋台やダンスパーティーを楽しむ。そういう遊び半分のイベントらしい。
ドメルは故郷に妻子がいるとかで、参加を見送った。ヨウゼには、
「地域行事ですので、できるだけ参加して下さい」
と言われていたが、妻子のある身で参加しろとは言えない。例えここにいなくとも。
それで、ドメル以外の4人は、花を用意して会場に行った。
男女別々の入り口に並び、ズラズラと歩いて並んで行く。
高い段の部分では、番号札と共に1人ずつカメラで顔を映され、会場の全員に見られるらしい。
「成程。この番号札を見ておいて、そこに向かうのか」
篁文は、どこの世界も婚活とかのイベントは盛り上がるんだなあ、と思いながら列に続いた。
そこで気付いたが、はぐれただけと思っていたのに、セレエとパセが参加していない。
「あいつら、逃げやがったな」
そして、鐘が鳴らされ、女性が動き出す。
恥じらう乙女もいるのだろうが、目に付くのは、やる気に溢れる女子ばかりだった。
「うわあ……」
小さく呟いて、少し引いた。
篁文の方にも、女子が数人走って来る。篁文は隣を見て、こういうのがもてるのか、と思った。
弁当屋の娘と警察官、研究所員が走って来た。
「義理堅いな」
苦笑した時、彼女らの後ろを走る紗希が見えた。
「ああ、転ぶ……」
笑顔を浮かべながら結構な力走を見せる彼女達に、篁文の周囲の男も、引いていた。
「早い者勝ちですか?」
訊いてみると、
「違うよ。でも、辿り着く前に誰かと交換してしまうかも知れないけど」
と、隣のイケメンが答えた。
「篁文-っ」
言いながら、紗希が突っ込んで来る。そして、蹴躓いてみぞおちに頭突きしてきた。
「ぐえっ」
「うわあ」
完全に周囲の男達が引いている。
「さ、紗希、お前は――」
「はい!」
満面の笑みで、握りしめた白い花を突き出して来た。
「……」
思わず、周囲の皆が注目した。
「転びかけて頭突きする程の事か?全く」
篁文は嘆息して、花を交換した。弁当屋の娘や警察官や研究所員が、各々の花の茎を握り締めた。
「えへへ」
「友達と花を交換とはしゃれてるが、大掛かりだなあ」
「いいじゃない。さ!屋台屋台!」
「食べこぼすなよ。それから、調子に乗って買い過ぎるなよ」
ヘタクソなスキップをする紗希と無表情な篁文の2人を見送って、周囲の者は、
「このまつりの意味、わかってないんじゃないのか?」
「いや、ブラコンの妹が女が兄に近付くのを阻止したって話だろ?」
などと話していた。
翌日、特殊次元対策課には花瓶が置かれていて、白い花2本と赤い花12本が差してあった。その内の赤白1本ずつはセレエとパセで、面倒臭いのでもう最初に交換して、ドルメとヨウゼと、観覧席でビールとつまみを楽しみながら見ていたのだ。
残りは、篁文が参加者にもらったものだ。
それを見て、紗希は仏頂面をしているのだ。
「何で?殺し屋よ?」
パセは、無言で紗希の肩を叩いた。
「花屋、もうかったんだろうなあ」
篁文は呑気だ。
「何で?交換してるのに持って行くって何で?」
「申し込むのは勝手ですからね。実際、もてる人は花束になりますしね」
ヨウゼはそう言ってコーヒーを啜った。
「何でもらうの」
「義理チョコ――義理花だろ?常連客とか仕事先の知り合いとかに気を使っただけだろうしな。変に断るのも角が立つ。
こっちの人はいい人だな。怯えるどころか、義理堅い。気を使わせて申し訳なかったな」
セレエは篁文の肩を叩いて、
「お前はそういうやつだ」
と言う。
「ん?」
「紗希、そういう事よ」
パセが紗希に言う。
「はあ。今日もいい天気ですねえ」
ヨウゼは椅子を後ろ向きにして、空を見上げた。
本日のお勧めを包んでもらうのを待っていると、壁に貼られたポスターが目に付いた。
「ああ、それ。はなまつりですよ。独身の男女はほぼ全員行くんですよ」
店頭で販売を受け持っている店主の娘は、明るく言った。
「へえ」
「伝統ですね。男性は赤い花、女性は白い花を1本持って行って、交換するんです」
「ああ、なるほど」
篁文は、バレンタインデーに女子が「友チョコ」を交換したり「義理チョコ」を配ったりしていたのを思い出した。
ちなみに篁文は、毎年紗希と交換させられていた。買いに行くのがいくら周囲に頓着しない篁文でも流石に行きづらく、かなり早いうちに買って準備しておくという苦労を強いられていたのだ。
つい思い出してしまった。
「ね、行きましょうよ」
「そうですね。課の皆も誘ってみます」
彼女はニコニコとしながら、タラの唐揚げ野菜あんかけのパックを一緒に袋に入れた。
「おまけです。父には内緒ね」
「ありがとうございます」
篁文は彼女の笑みに見送られて、店を出た。
皆も各々、店でまつりの話を聞いて来ていた。課に戻りながら、行きたい、行ってみよう、似たような行事があったなどと話し合う。
デスクについて各々の昼食を取り出すと、紗希が篁文の弁当に目を向けた。
「篁文、今日はおかずをプラスしたの?タラの野菜あんかけ、好きだもんね」
「店番の人が内緒でおまけしてくれた」
「……店主の娘さん?大きい」
「大きい?一人っ子だと聞いたし、同じくらいの年だろ?
常連と認定して貰えたのかもな」
「……そうね」
低い声で紗希が答え、パセが
「篁文、鈍い……」
と言って紗希の胸をチラッと見るのに、セレエとドルメが肩を竦めた。
紗希とパセは、夕食後寮の部屋でお菓子を食べていた。
「紗希のところもバレンタイン?あったんでしょ。どうだったの」
紗希はむっつりと、
「隣の家で、小さい頃から交換してたから、多分篁文は友チョコだと思ってる」
と言って、ヤケクソ気味にチョコクッキーを齧った。
「どんな雰囲気で渡したの」
「食べたいのを指定しておいて買ってもらうの。私の方は、適当に買っておいて渡すんだけど。当日『はい』ってね」
パセは想像してみた。
仏頂面の篁文と満面の笑みの紗希がブツを交換し、リクエストしたチョコに小躍りする紗希。
外れていない。
「だめよそりゃあ。目に浮かぶわ……」
「ええー」
「兄弟みたいなのよねえ」
「だって、実際、そうなんだもの」
「いきなり迫ってもまずいだろうしねえ。まあ当面は、寄って来るライバルに『一番近いのは自分だ』と示して、少しずつ篁文にアピールしていくのね」
「わかった。やってみるわ」
紗希は力強く頷いた。
まつりが近付くにつれて、市民たちはソワソワしていく。バレンタイン前にとても似ていた。
当日と前日は、赤い花か白い花を1本だけ買う人が多いため、あらかじめ1本ずつセロファンで巻いて準備しているものがたくさん店先にあった。
昔は各村で行われていたものがだんだん規模が大きくなって、アレイ市の会場は幾つかに分かれ、一番近いのは市役所前のグラウンドになっているそうだ。それでも人数が多いので、男女が何人かずつ列を作り、順番に高くなっている所を通って顔を見せ、まずは女性からこれと目を付けた男性の所に白い花を持って行き、OKなら赤い花を交換する。
時間が来ると、次は男性から女性の所に赤い花を持って行き、OKなら白い花と交換する。
あとは、家族連れや友達連れと一緒に、たくさんの屋台やダンスパーティーを楽しむ。そういう遊び半分のイベントらしい。
ドメルは故郷に妻子がいるとかで、参加を見送った。ヨウゼには、
「地域行事ですので、できるだけ参加して下さい」
と言われていたが、妻子のある身で参加しろとは言えない。例えここにいなくとも。
それで、ドメル以外の4人は、花を用意して会場に行った。
男女別々の入り口に並び、ズラズラと歩いて並んで行く。
高い段の部分では、番号札と共に1人ずつカメラで顔を映され、会場の全員に見られるらしい。
「成程。この番号札を見ておいて、そこに向かうのか」
篁文は、どこの世界も婚活とかのイベントは盛り上がるんだなあ、と思いながら列に続いた。
そこで気付いたが、はぐれただけと思っていたのに、セレエとパセが参加していない。
「あいつら、逃げやがったな」
そして、鐘が鳴らされ、女性が動き出す。
恥じらう乙女もいるのだろうが、目に付くのは、やる気に溢れる女子ばかりだった。
「うわあ……」
小さく呟いて、少し引いた。
篁文の方にも、女子が数人走って来る。篁文は隣を見て、こういうのがもてるのか、と思った。
弁当屋の娘と警察官、研究所員が走って来た。
「義理堅いな」
苦笑した時、彼女らの後ろを走る紗希が見えた。
「ああ、転ぶ……」
笑顔を浮かべながら結構な力走を見せる彼女達に、篁文の周囲の男も、引いていた。
「早い者勝ちですか?」
訊いてみると、
「違うよ。でも、辿り着く前に誰かと交換してしまうかも知れないけど」
と、隣のイケメンが答えた。
「篁文-っ」
言いながら、紗希が突っ込んで来る。そして、蹴躓いてみぞおちに頭突きしてきた。
「ぐえっ」
「うわあ」
完全に周囲の男達が引いている。
「さ、紗希、お前は――」
「はい!」
満面の笑みで、握りしめた白い花を突き出して来た。
「……」
思わず、周囲の皆が注目した。
「転びかけて頭突きする程の事か?全く」
篁文は嘆息して、花を交換した。弁当屋の娘や警察官や研究所員が、各々の花の茎を握り締めた。
「えへへ」
「友達と花を交換とはしゃれてるが、大掛かりだなあ」
「いいじゃない。さ!屋台屋台!」
「食べこぼすなよ。それから、調子に乗って買い過ぎるなよ」
ヘタクソなスキップをする紗希と無表情な篁文の2人を見送って、周囲の者は、
「このまつりの意味、わかってないんじゃないのか?」
「いや、ブラコンの妹が女が兄に近付くのを阻止したって話だろ?」
などと話していた。
翌日、特殊次元対策課には花瓶が置かれていて、白い花2本と赤い花12本が差してあった。その内の赤白1本ずつはセレエとパセで、面倒臭いのでもう最初に交換して、ドルメとヨウゼと、観覧席でビールとつまみを楽しみながら見ていたのだ。
残りは、篁文が参加者にもらったものだ。
それを見て、紗希は仏頂面をしているのだ。
「何で?殺し屋よ?」
パセは、無言で紗希の肩を叩いた。
「花屋、もうかったんだろうなあ」
篁文は呑気だ。
「何で?交換してるのに持って行くって何で?」
「申し込むのは勝手ですからね。実際、もてる人は花束になりますしね」
ヨウゼはそう言ってコーヒーを啜った。
「何でもらうの」
「義理チョコ――義理花だろ?常連客とか仕事先の知り合いとかに気を使っただけだろうしな。変に断るのも角が立つ。
こっちの人はいい人だな。怯えるどころか、義理堅い。気を使わせて申し訳なかったな」
セレエは篁文の肩を叩いて、
「お前はそういうやつだ」
と言う。
「ん?」
「紗希、そういう事よ」
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