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【118】ダイナミック他力本願
しおりを挟む私の仲裁でパーさん不法投棄は免れた。
いくらパーさんが不死身だからって、モノ扱いするんじゃありません。
「では主様。代わりにでかい釣り竿を用意しますね」
「よく釣れそうですわ」
だから。
楽しそうにしない。
『ふむ。それはなかなか面白そうだな』
「いやパーさん?」
『黒の湖深くに陰気に沈むあやつを、我がふーらふーら弄ぶ様を想像するとたぎるものがある』
「パーさん!?」
「ほう、パーよ。初めて意見が一致したな」
「そうですわね。このお方なら素晴らしい疑似餌っぷりを披露してくださるはずですわ。不死身ですし、ちょうどよいかと」
『うむ。任せておけ』
え? 仲良くなってる? 嘘でしょ?
ディル君はどこからか巨大な釣り竿を持ってくるし、アムルちゃんは大漁祈願と釣り竿の強化を兼ねて聖なる踊りを踊り始めるし、パーさんは張り切って準備体操(上半身のみ)をしている。
私はカラーズちゃんたちを見た。
カラーズちゃんたちも私と同じでオロオロしていたが、メイドとしての使命感にかられたのか、タオルの準備、飲み物の準備、ヒビキの寝かしつけ等々に手際よく散っていった。
結果的に私はひとりになった。
着々と進む準備。
待って。
これ、私は誰に何をどう突っ込めばいい?
「できた!」
嬉しそうなディル君の声。
パチパチと拍手をするアムルちゃん。
疑似餌となって得意げなパーさん。
「ちょ――っと待って」
ようやく、私は声を絞り出した。
「ねえ皆。本当にやる気? 暗黒龍なんて釣り上げてどうするの? 大変なことにならない?」
「主様、これから楽しい釣りが始まるのに興が冷めるようなことは言わないでくださいよ」
「キミがそう言うのはわかってるけどさ!」
いわばこれ、低レベルキャラクターが「ちょっと面白そうだから行ったろ」って禁止区域に入る感じだよね。対策なしに何考えてるの!?
『ふっ。恐れるな我が聖女よ。そなたの力なら暗黒龍の一匹や二匹、どうとでもなる』
「ダイナミック他力本願」
『真面目な話、魔族以外があの湖の中に入るのは勧めない。肉体以上に精神に強い影響を与えるからな』
こきこき、と首のストレッチをしながらパーさんが言った。
『平たく言えば、性格が変わる。魔の影響に染まった聖女がどんな言動をするか想像ができん』
「主様」
がっしと肩を掴まれた。
目を爛々と輝かせたディル君とアムルちゃんが居た。
「やはりパーひとりでは不安です。ここは大将自らが決着を」
「ディル君、正直に言っていい? ――貴様ふざけんなよマジで」
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