聖女の死後は引き受けた ~転生した私、新米女神の生前の身体でこっそり生きる~

和成ソウイチ

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【41】私が悪いの?

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 落ち着けカナデ。落ち着け私。
 何もアムルちゃんが危険人物に変わったわけじゃないんだ。

 きっとアムルちゃんなら、力の使いどころを正しく判断してくれるはず。少なくとも、私よりは。
 だから今、私がすべきことはアムルちゃんの無事を街の人たちに伝えること。

「アムルちゃん。これで一段落したでしょう。お家に帰ろうか」
「え? 嫌です」
「か・え・り・ま・しょ?」

 でなければ罪悪感で私が死んでしまう。

 アムルちゃんはぷくーっと頬を膨らませた(かわいい)が、このままチート城に置いてしまっては、私の方が人さらいになってしまう。

 しばらく押し問答していると、ディル君が手を打った。

「ではこうしましょう。この城とレギエーラを結ぶ転移魔法を設定します。そうすれば、アムルも主様も、簡単に行き来できます」
「さすがお兄様!」

 アムルちゃんが飛び上がって喜ぶ(かわいい)が、私は躊躇した。どんな状況になるか、火を見るより明らかだと思ったからだ。
 私の不安を知ってか知らずか、ディル君は続けてこう言う。

「しかし、主様のお力が完全復活するまでは、転移魔法とて不完全な状態のままでしょう。転移する者、すなわちアムルの力も高く保つ必要があります。いつでも好きな時に――というわけにはいかないでしょう」
「そんなぁ……お姉様」
「だからアムル」

 ディル君が人差し指を立て、アムルちゃんに言い聞かせる。

「今日のところは街に戻り、引き続き冒険者として経験を積むんだ。力を蓄えれば、それだけ自由に転移魔法を利用できるようになる」
「な、なるほど!」

 へぇ……。すごい。あのアムルちゃんを説得できてる。
 ちょっとディル君を見直した。
 やればできるじゃない。ありがとう弟君。

「いいかアムル。その力、できるだけ目立つように、効果的に使いこなすんだ。聖女カナデ様から授かった力だ、とな。そうすれば、主様は引きこもりながら名声を得られる」

 おい。

「承知しましたわ! わたくしがお姉様を持ち上げて、持ち上げて、持ち上げ尽くせばいいのですね! なんて楽しそうなお役目なのでしょう!」

 おい。

「そうだ! すべては主様の生活を面白おかしく彩るため。協力してくれるか我が妹分よ!」
「おい!」
「もちろんですわお兄様!」
「ちょっと!」

 もー何ですか盛り上がってるのに……みたいな視線をふたりから向けられた。

 え、私が悪いの?
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