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空からこんにちは
4 やっと馴染んできました
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あれから半年、結局ラノベの転生幼女よろしく愛想を振りまきながら、私は言葉と文字を覚えた。
文法的には日本語寄りだったので、動詞と単語さえ覚えてしまえばなんとかなった。ラッキー! ここに来たのが欧米人だったら、きっと苦労したと思う。
もちろん、この星や国のことも勉強した。
1年は240日。1ヶ月は24日だから、1月から10月までの10ヶ月となる。
1週間は6日で、ひと月は4週間である。
多くの人々は5日働き、6日目が休日になっているそうだ。
1日は地球と同じ24時間だったから、慣れたリズムで生活できて助かった。
どうやらこの星は、地球より少し小さいんじゃないかな?
太陽系と同じような感じの周回軌道で、肉眼ではっきり見える星が近くにある。月のような衛星はないけど、近くの星のお陰で夜も真っ暗ではない。
一番驚いたのが、この星には【原初能力】というものが存在していたことだ。
魔法があったー!って興奮したけど、一握りの家系にだけ残っている能力で、一般人には縁のない話だった。
伝説ではこの星が生まれた時、神様が認めた一握りの人に与えてくださった能力なのだとか。
……神様ねぇ・・・
今なら地球の古代文明が、現在でも真似できない技術を持っていたり、解明できない謎がたくさんあったことに対して理解できる。
何となくだよ。認めたくない気持ちもあるし、現在進行形でモヤモヤしてるんだから。
……もしかしたら古代地球人にも、【原初能力】があったんじゃないかな? そうだったら、ピラミッドだって天空の城だって造れたよね。
そんなこんな妄想と空想で自分を納得させつつ、あっという間に日々は過ぎていった。
私は自分の誕生日は9月だった気がすると言い、先日5歳になった。
1年が240日って、思っていたより早い。
平均寿命が100歳くらいって聞いて喜んだけど、経過時間的にはそんなもんかも。まあ、地球に似た部分の多い星だ。
食事はまあまあ。野菜は虫食いだけど、農薬や化学肥料を使ってないから安全安心だ。エドモンド父様はお金持ちだから、有難いことに3食ちゃんと食べられる。
醤油? 味噌? 勿論ないよ。地球でも好き嫌いは無かったし、元々香辛料たっぷりは胃にくるタイプだったから、薄味でも問題なし。
地球料理の再現?
むりむり。だしは顆粒だしを使い、固形コンソメ大好きで、カレーはハ○スの中辛ルー頼りだったのよ?
知識があるとしたら、大好きなラノベの転生ものから得た知識くらい。それだって、目の前に本があったらの話。
スマホもなけりゃ鑑定能力もない。あぁぁー、チート無しが辛い。
そうそう、私の身元は未だ不明のままだ。
体をお借りしている感じだけど、この子の過去の記憶は無し。まさか架空の幼女だったりする?
空から落下していたところをエドモンド父様に助けられ、金の指輪をしていて、その情報から分かったのはマセール王国の出身らしいということ。
私は自分の名前を、【ましろ・宮中】だった気がすると言ってある。
偶然にも、金の指輪に刻まれていたのは【MMM】だったから、なんとなくセーフ。
着ていたドレスを見たオリアナ母様は、私は貴族だった可能性が高いから、同じレベルの教養をと、昨日から家庭教師がやってきて勉強が始まった。
この国シュメルでは、貴族やお金のある家の子供は5歳から勉強を始めるようで、私は歴史や経済について学びたいと、養父母に強く強くお願いした。
幼女のふりして、今更足し算から始めるのはノーサンキュー!
で、今日は経済担当の家庭教師が来て、開口一番、私を見下すような視線を向け威張りながら言った。
「お嬢ちゃん、物事には順序があり、商会長の娘だからといって世間を舐めてはいけないよ。
経済を学ぶには、最低でも基本学校(6~12歳までの間に3年以上学ぶ学校)を卒業してからだ。高位学校(地球の教育大学みたいな学校)の学生である私に頼むなんて、商会長はとんだ親バカだ」って。
おまけに、自分の話している内容さえ理解できないだろうとか、こんな得体の知れない子供より、優秀な私を養子にすべきだろうと呟く嫌な奴。
オリエンテ商会の経営者一族だという男は、分家の分家くらいなのに本家の養女である私を見下し、支配下に置こうとしているのがビンビンに感じられる。
……私を見下すのは許せるけど、父様を悪く言うのは我慢できない。
「確かに順序は大事ですね。私の家庭教師に相応しいかどうか、テストを行っていませんでした。隣の部屋で待っている母様を呼びますね」
私はそう言ってにっこり笑うと、こんなこともあろうかと事前打ち合わせをしていた母様に、試験問題の書かれた教科書を持ってきてもらう。
まあ何というか、昨日来た遠い親戚らしい元役所勤めだった歴史の家庭教師は、字の練習からですと言って、私が用意していた【タラト大陸の歴史と発展】という本を、まるっと無視しやが・・・ゴホン、無視されたので、母様に抗議したのだ。
私は無駄な勉強は不要だと思っているので、この国の中位学校(12歳から5年間学ぶ学校)の教科書を用意してもらい、養父母の前で数学の問題を解いてみせた。分厚い本だってスラスラ読める。
当然驚きのあまり固まってしまったが、私は天使の頬笑みで「だって私は、天から降ってきた娘ですから」と言って、力技というか自分の瞳を指さし納得させた。
私のブラックオパールの瞳は、確定ではないが【原初能力持ち】の可能性が高いと父様が言うので、年齢不相応なことは全て瞳のせいにすることにした。
……フフフ、さあテストを始めましょうか、せんせい。
文法的には日本語寄りだったので、動詞と単語さえ覚えてしまえばなんとかなった。ラッキー! ここに来たのが欧米人だったら、きっと苦労したと思う。
もちろん、この星や国のことも勉強した。
1年は240日。1ヶ月は24日だから、1月から10月までの10ヶ月となる。
1週間は6日で、ひと月は4週間である。
多くの人々は5日働き、6日目が休日になっているそうだ。
1日は地球と同じ24時間だったから、慣れたリズムで生活できて助かった。
どうやらこの星は、地球より少し小さいんじゃないかな?
太陽系と同じような感じの周回軌道で、肉眼ではっきり見える星が近くにある。月のような衛星はないけど、近くの星のお陰で夜も真っ暗ではない。
一番驚いたのが、この星には【原初能力】というものが存在していたことだ。
魔法があったー!って興奮したけど、一握りの家系にだけ残っている能力で、一般人には縁のない話だった。
伝説ではこの星が生まれた時、神様が認めた一握りの人に与えてくださった能力なのだとか。
……神様ねぇ・・・
今なら地球の古代文明が、現在でも真似できない技術を持っていたり、解明できない謎がたくさんあったことに対して理解できる。
何となくだよ。認めたくない気持ちもあるし、現在進行形でモヤモヤしてるんだから。
……もしかしたら古代地球人にも、【原初能力】があったんじゃないかな? そうだったら、ピラミッドだって天空の城だって造れたよね。
そんなこんな妄想と空想で自分を納得させつつ、あっという間に日々は過ぎていった。
私は自分の誕生日は9月だった気がすると言い、先日5歳になった。
1年が240日って、思っていたより早い。
平均寿命が100歳くらいって聞いて喜んだけど、経過時間的にはそんなもんかも。まあ、地球に似た部分の多い星だ。
食事はまあまあ。野菜は虫食いだけど、農薬や化学肥料を使ってないから安全安心だ。エドモンド父様はお金持ちだから、有難いことに3食ちゃんと食べられる。
醤油? 味噌? 勿論ないよ。地球でも好き嫌いは無かったし、元々香辛料たっぷりは胃にくるタイプだったから、薄味でも問題なし。
地球料理の再現?
むりむり。だしは顆粒だしを使い、固形コンソメ大好きで、カレーはハ○スの中辛ルー頼りだったのよ?
知識があるとしたら、大好きなラノベの転生ものから得た知識くらい。それだって、目の前に本があったらの話。
スマホもなけりゃ鑑定能力もない。あぁぁー、チート無しが辛い。
そうそう、私の身元は未だ不明のままだ。
体をお借りしている感じだけど、この子の過去の記憶は無し。まさか架空の幼女だったりする?
空から落下していたところをエドモンド父様に助けられ、金の指輪をしていて、その情報から分かったのはマセール王国の出身らしいということ。
私は自分の名前を、【ましろ・宮中】だった気がすると言ってある。
偶然にも、金の指輪に刻まれていたのは【MMM】だったから、なんとなくセーフ。
着ていたドレスを見たオリアナ母様は、私は貴族だった可能性が高いから、同じレベルの教養をと、昨日から家庭教師がやってきて勉強が始まった。
この国シュメルでは、貴族やお金のある家の子供は5歳から勉強を始めるようで、私は歴史や経済について学びたいと、養父母に強く強くお願いした。
幼女のふりして、今更足し算から始めるのはノーサンキュー!
で、今日は経済担当の家庭教師が来て、開口一番、私を見下すような視線を向け威張りながら言った。
「お嬢ちゃん、物事には順序があり、商会長の娘だからといって世間を舐めてはいけないよ。
経済を学ぶには、最低でも基本学校(6~12歳までの間に3年以上学ぶ学校)を卒業してからだ。高位学校(地球の教育大学みたいな学校)の学生である私に頼むなんて、商会長はとんだ親バカだ」って。
おまけに、自分の話している内容さえ理解できないだろうとか、こんな得体の知れない子供より、優秀な私を養子にすべきだろうと呟く嫌な奴。
オリエンテ商会の経営者一族だという男は、分家の分家くらいなのに本家の養女である私を見下し、支配下に置こうとしているのがビンビンに感じられる。
……私を見下すのは許せるけど、父様を悪く言うのは我慢できない。
「確かに順序は大事ですね。私の家庭教師に相応しいかどうか、テストを行っていませんでした。隣の部屋で待っている母様を呼びますね」
私はそう言ってにっこり笑うと、こんなこともあろうかと事前打ち合わせをしていた母様に、試験問題の書かれた教科書を持ってきてもらう。
まあ何というか、昨日来た遠い親戚らしい元役所勤めだった歴史の家庭教師は、字の練習からですと言って、私が用意していた【タラト大陸の歴史と発展】という本を、まるっと無視しやが・・・ゴホン、無視されたので、母様に抗議したのだ。
私は無駄な勉強は不要だと思っているので、この国の中位学校(12歳から5年間学ぶ学校)の教科書を用意してもらい、養父母の前で数学の問題を解いてみせた。分厚い本だってスラスラ読める。
当然驚きのあまり固まってしまったが、私は天使の頬笑みで「だって私は、天から降ってきた娘ですから」と言って、力技というか自分の瞳を指さし納得させた。
私のブラックオパールの瞳は、確定ではないが【原初能力持ち】の可能性が高いと父様が言うので、年齢不相応なことは全て瞳のせいにすることにした。
……フフフ、さあテストを始めましょうか、せんせい。
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