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番外編
番外編8ー2 アエラボ商会の実力(1)ー2
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「でもどうして学生の私たちを、凄い職場に紹介してくださるんですか? というか、そんな夢みたいな話、実現するんでしょうか?」
お金や商会に対して知識のある商学部卒のタニアが、信じられないって顔をしてお兄ちゃんに恐る恐る質問した。
「メイリ、フルネームを名乗って、俺以外の家族を紹介しておけ」
「分かったわ、お兄ちゃん。私の名前はメイリ・ドバイン・アエラボ。母はパリージアで最近男爵位を授かったの。妹はエデリアで10歳、弟はミゲールで7歳よ」
フルネームを名乗るのは、慣れてないから恥ずかしい。
「アエラボ?」と言って、タニアとミシュリーが私の顔を見て首を捻る。
「それじゃあメイリちゃんは、大商会であるアエラボ商会の創業者一族なのか?」
凄く驚いたって顔をして、レフィルが私とお兄ちゃんの顔を交互に見て確認する。
「創業者一族で間違いない。だから凄いところにも紹介できる。
さあ、どうする? 俺の出した条件をのんで、この家で暮らすか?」
4人は顔を見合わせて頷くと「よろしくお願いいたします」と頭を下げた。
それじゃあお茶でも飲むかと言ってお兄ちゃんが立ち上がった時、エクレアちゃんが七色に輝きながら姿を現した。
『アコル、レイム公爵夫人から間もなく緊急連絡が入るわ。詳しいことは直接聞いて』と言って、直ぐに姿を消してしまった。
皆は突然現れた妖精に驚き、会話の内容とアコルという名を聞いて首を捻る。
レイム公爵夫人から、緊急連絡がくる一般人なんて居ないから当然かも。
お兄ちゃんはマジックバッグの中から、急いで覇王専用の小型通信魔術具を取り出してテーブルの上に置く。
その途端、通信魔術具から呼び出し音が鳴り始めた。
……わたしたち、ここに居てもいいのかな?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「覇王様、お忙しいところ申し訳ありません。
ホバーロフ王国から独立したミルク公国連合から早馬が来て、セイロン山の北端に近い場所に黒い翼のドラゴンが現れ、中級や下級魔獣を操り中規模氾濫を起こしているとの報告がありました。
直ぐにレイム領の冒険者ギルドから応援を送り、魔獣討伐を開始したのですが、ブラックドラゴンと同じような洗脳音に苦戦しています。
覇王軍が所有されている魔術具を、お借りすることはできますか?」
昨年の夏に内乱が勃発したホバーロフ王国は、貴族至上主義の国王派と、経済発展を願う改革派が戦い、8月に改革派が勝利し内乱は終わった。
改革派を率いていたのは王の妹と結婚した公爵で、改革派はホバーロフ王国の北から半分を、国王派は王都のある南半分を所有することで決着した。
新しく即位した公王バッセ36歳は、首都をレイム領に近いミルクの町に置き、国の名を【ミルク公国連合】と名付けた。
即位して直ぐに、バッセ王は自らコルランドル王国に出向き、アルファス王と30年間の不可侵条約を締結させた。
コルランドル王国の国法を手本に法律を制定し、レイム公爵に、国境門の通行税を自国の民に課しても構わないと言い、コルランドル王国から入国する者には入国税を課さないと約束し、友好条約を結んだ。
公王バッセは、幼少期に後継争いに巻き込まれ、身を守るためコルランドル王国に10歳まで身を寄せていた経験から、自国の貴族の在り方や経済停滞に危機感を募らせ、若い領主たちを味方につけ内乱を起こした。
俺は、凄腕のバッセ王に期待しているので、早々にドバイン運送ミルク支店を開設しておいた。
今はまだ、マジックバッグのレンタル部門だけだが、いずれ薬品や魔術具部門を始めたいと目論んでいる。
「黒い翼ですか伯母上?」
「はい、ですがおかしいのです。翼は黒いけれど胴体はグレー、翼は4枚で大きさはグレードラゴンより小さいと、先程冒険者ギルドから報告が来ました」
……う~ん、もしかしたら、昨年ティー山脈で活動していた雄のブラックドラゴンが、繁殖活動をしたのかも。それ以外は考えられないな。
「分かりました。魔術具を持って明日の早朝こちらを発ち、現場に向かいます」
……黒い翼の素材? これは夢だろうか?
俺は小型通信魔術具のスイッチを切って、不謹慎だがにまにましてしまう。
確か明日から冬期休暇だったと思うが・・・って思案していると、目の前に座っていたはずの4人が、ドアの前まで下がって最上級の礼をとっていた。
……ああ、メイリの友達がいたんだった。はは。
お金や商会に対して知識のある商学部卒のタニアが、信じられないって顔をしてお兄ちゃんに恐る恐る質問した。
「メイリ、フルネームを名乗って、俺以外の家族を紹介しておけ」
「分かったわ、お兄ちゃん。私の名前はメイリ・ドバイン・アエラボ。母はパリージアで最近男爵位を授かったの。妹はエデリアで10歳、弟はミゲールで7歳よ」
フルネームを名乗るのは、慣れてないから恥ずかしい。
「アエラボ?」と言って、タニアとミシュリーが私の顔を見て首を捻る。
「それじゃあメイリちゃんは、大商会であるアエラボ商会の創業者一族なのか?」
凄く驚いたって顔をして、レフィルが私とお兄ちゃんの顔を交互に見て確認する。
「創業者一族で間違いない。だから凄いところにも紹介できる。
さあ、どうする? 俺の出した条件をのんで、この家で暮らすか?」
4人は顔を見合わせて頷くと「よろしくお願いいたします」と頭を下げた。
それじゃあお茶でも飲むかと言ってお兄ちゃんが立ち上がった時、エクレアちゃんが七色に輝きながら姿を現した。
『アコル、レイム公爵夫人から間もなく緊急連絡が入るわ。詳しいことは直接聞いて』と言って、直ぐに姿を消してしまった。
皆は突然現れた妖精に驚き、会話の内容とアコルという名を聞いて首を捻る。
レイム公爵夫人から、緊急連絡がくる一般人なんて居ないから当然かも。
お兄ちゃんはマジックバッグの中から、急いで覇王専用の小型通信魔術具を取り出してテーブルの上に置く。
その途端、通信魔術具から呼び出し音が鳴り始めた。
……わたしたち、ここに居てもいいのかな?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「覇王様、お忙しいところ申し訳ありません。
ホバーロフ王国から独立したミルク公国連合から早馬が来て、セイロン山の北端に近い場所に黒い翼のドラゴンが現れ、中級や下級魔獣を操り中規模氾濫を起こしているとの報告がありました。
直ぐにレイム領の冒険者ギルドから応援を送り、魔獣討伐を開始したのですが、ブラックドラゴンと同じような洗脳音に苦戦しています。
覇王軍が所有されている魔術具を、お借りすることはできますか?」
昨年の夏に内乱が勃発したホバーロフ王国は、貴族至上主義の国王派と、経済発展を願う改革派が戦い、8月に改革派が勝利し内乱は終わった。
改革派を率いていたのは王の妹と結婚した公爵で、改革派はホバーロフ王国の北から半分を、国王派は王都のある南半分を所有することで決着した。
新しく即位した公王バッセ36歳は、首都をレイム領に近いミルクの町に置き、国の名を【ミルク公国連合】と名付けた。
即位して直ぐに、バッセ王は自らコルランドル王国に出向き、アルファス王と30年間の不可侵条約を締結させた。
コルランドル王国の国法を手本に法律を制定し、レイム公爵に、国境門の通行税を自国の民に課しても構わないと言い、コルランドル王国から入国する者には入国税を課さないと約束し、友好条約を結んだ。
公王バッセは、幼少期に後継争いに巻き込まれ、身を守るためコルランドル王国に10歳まで身を寄せていた経験から、自国の貴族の在り方や経済停滞に危機感を募らせ、若い領主たちを味方につけ内乱を起こした。
俺は、凄腕のバッセ王に期待しているので、早々にドバイン運送ミルク支店を開設しておいた。
今はまだ、マジックバッグのレンタル部門だけだが、いずれ薬品や魔術具部門を始めたいと目論んでいる。
「黒い翼ですか伯母上?」
「はい、ですがおかしいのです。翼は黒いけれど胴体はグレー、翼は4枚で大きさはグレードラゴンより小さいと、先程冒険者ギルドから報告が来ました」
……う~ん、もしかしたら、昨年ティー山脈で活動していた雄のブラックドラゴンが、繁殖活動をしたのかも。それ以外は考えられないな。
「分かりました。魔術具を持って明日の早朝こちらを発ち、現場に向かいます」
……黒い翼の素材? これは夢だろうか?
俺は小型通信魔術具のスイッチを切って、不謹慎だがにまにましてしまう。
確か明日から冬期休暇だったと思うが・・・って思案していると、目の前に座っていたはずの4人が、ドアの前まで下がって最上級の礼をとっていた。
……ああ、メイリの友達がいたんだった。はは。
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