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天の導き
320ー1 勇者と覇王(2)ー1
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訪れた小さな町では、他所からの来訪者が珍しいのか、声を掛けたヤーロン先輩は警戒されてしまったようだ。
声を掛けた若者も水飲み場に居た他の農民たちも、用心して俺たちの様子を窺っている。
「俺は勇者ラリエス様から頼まれて、魔獣に襲われた町や村を回っているヤーロンと言います。平民ですが覇王軍に所属しています」
「な、なんだって! 勇者ラリエスさまだと?」
「ええーっ! 覇王軍の人?」
ヤーロン先輩の話を聞いた2人が、驚いたように声を上げる。
その表情は、期待と疑いの両方が入り混じっている感じだ。
「いや、この前来た男は覇王軍メンバーだと言って、店の食料や衣類を持ち逃げしたぞ。あんた達も偽物なんじゃないのか?
俺はその時、自警団の仲間と見回りをしていて、偽物ともみ合いになり腕を斬られたんだ」
怒りの表情で偽物にケガを負わされたと語る若者は、ヤーロン先輩を睨み付けて距離をとる。
……なんと、此処にも偽物が現れていたのか・・・必ず天罰を下さねばならない。
昨日立ち寄った村でも、同様の被害に遭った話を聞いた。
村人の話では、覇王軍っぽい隊服を着て、自分は王立高学院を卒業した覇王軍メンバーだと名乗り、これから魔獣討伐に行くから食料を援助して欲しいと頼んだらしい。
親切な村人たちは、直ぐに自分の家から食料を持ち寄り差し出した。
その時、子供がその男に「覇王様はどんな人なの」と質問したのだと言う。
すると男は「ああ、生意気なヤツだが、俺が鍛えてやったんだ」と、にやけながら自慢したらしい。
村長の息子は王都の一般軍で働いており、帰省した時に覇王様や覇王軍の凄さをいつも村のみんなに自慢していたらしい。
だから、男の言動や態度が、聞いていた覇王軍の様子とはあまりにも違うので、村長は疑問に思ったそうだ。
そこで村長は、覇王軍メンバーなら魔法攻撃ができるだろうから、ぜひ見せて欲しいと頼んでみたのだという。
だがその男は、魔法攻撃は疲れるから簡単には見せられないと言い、突然不機嫌になって食料を大きなカバンに詰め込み去っていったという。
後から考えたら、如何にも怪しい感じだったし、覇王軍メンバーならマジックバッグを持っているはずだと誰かが言いだし、そういえば名前も名乗らなかったと皆は思い出した。
そこで、自分たちは騙されたんじゃないかと気付いたらしい。
だから俺とヤーロン先輩は、本物であると分かってもらえるよう魔法攻撃を見せたり、避難用のかまくらを作り、自分たちは勇者ラリエス様の指示で、旧ワートン領の民を救済して回っているのだと丁寧に説明した。
そして本来の目的であるケガ人の手当をしたり、討伐した魔獣の肉を分けたりして、覇王軍の信頼を回復させ、せっせと勇者伝説を作っていった。
勇者様の名前はラリエスであると、名前もちゃんと覚えてもらった。
「ああ、この街にも偽物が出たんですね。
覇王軍の食料調達は商業ギルドですると決まっていますし、民から貴重な食料を徴収するようなことは決してしません。
きっと勇者ラリエス様が、その偽物に天誅を下してくださるでしょう」
「そうですねヤーロン先輩。我々は勇者ラリエス様に依頼され、ケガ人の手当をしたり魔獣討伐をしています。
本日は勇者ラリエス様や王立高学院特別部隊のメンバーが、命懸けで龍山に登って採取した薬草を持ってきました」
俺はヤーロン先輩に続いて、自分たちの来訪目的をはっきりと伝える。
俺は覇王であることを隠し、今回は薬師コースで学ぶ王立高学院特別部隊メンバーだと名乗っている。
早速マジックバッグから、作業用のテーブルと椅子を取り出し、ポーション作りの器具や薬草をテーブルの上に並べていく。
声を掛けた若者も水飲み場に居た他の農民たちも、用心して俺たちの様子を窺っている。
「俺は勇者ラリエス様から頼まれて、魔獣に襲われた町や村を回っているヤーロンと言います。平民ですが覇王軍に所属しています」
「な、なんだって! 勇者ラリエスさまだと?」
「ええーっ! 覇王軍の人?」
ヤーロン先輩の話を聞いた2人が、驚いたように声を上げる。
その表情は、期待と疑いの両方が入り混じっている感じだ。
「いや、この前来た男は覇王軍メンバーだと言って、店の食料や衣類を持ち逃げしたぞ。あんた達も偽物なんじゃないのか?
俺はその時、自警団の仲間と見回りをしていて、偽物ともみ合いになり腕を斬られたんだ」
怒りの表情で偽物にケガを負わされたと語る若者は、ヤーロン先輩を睨み付けて距離をとる。
……なんと、此処にも偽物が現れていたのか・・・必ず天罰を下さねばならない。
昨日立ち寄った村でも、同様の被害に遭った話を聞いた。
村人の話では、覇王軍っぽい隊服を着て、自分は王立高学院を卒業した覇王軍メンバーだと名乗り、これから魔獣討伐に行くから食料を援助して欲しいと頼んだらしい。
親切な村人たちは、直ぐに自分の家から食料を持ち寄り差し出した。
その時、子供がその男に「覇王様はどんな人なの」と質問したのだと言う。
すると男は「ああ、生意気なヤツだが、俺が鍛えてやったんだ」と、にやけながら自慢したらしい。
村長の息子は王都の一般軍で働いており、帰省した時に覇王様や覇王軍の凄さをいつも村のみんなに自慢していたらしい。
だから、男の言動や態度が、聞いていた覇王軍の様子とはあまりにも違うので、村長は疑問に思ったそうだ。
そこで村長は、覇王軍メンバーなら魔法攻撃ができるだろうから、ぜひ見せて欲しいと頼んでみたのだという。
だがその男は、魔法攻撃は疲れるから簡単には見せられないと言い、突然不機嫌になって食料を大きなカバンに詰め込み去っていったという。
後から考えたら、如何にも怪しい感じだったし、覇王軍メンバーならマジックバッグを持っているはずだと誰かが言いだし、そういえば名前も名乗らなかったと皆は思い出した。
そこで、自分たちは騙されたんじゃないかと気付いたらしい。
だから俺とヤーロン先輩は、本物であると分かってもらえるよう魔法攻撃を見せたり、避難用のかまくらを作り、自分たちは勇者ラリエス様の指示で、旧ワートン領の民を救済して回っているのだと丁寧に説明した。
そして本来の目的であるケガ人の手当をしたり、討伐した魔獣の肉を分けたりして、覇王軍の信頼を回復させ、せっせと勇者伝説を作っていった。
勇者様の名前はラリエスであると、名前もちゃんと覚えてもらった。
「ああ、この街にも偽物が出たんですね。
覇王軍の食料調達は商業ギルドですると決まっていますし、民から貴重な食料を徴収するようなことは決してしません。
きっと勇者ラリエス様が、その偽物に天誅を下してくださるでしょう」
「そうですねヤーロン先輩。我々は勇者ラリエス様に依頼され、ケガ人の手当をしたり魔獣討伐をしています。
本日は勇者ラリエス様や王立高学院特別部隊のメンバーが、命懸けで龍山に登って採取した薬草を持ってきました」
俺はヤーロン先輩に続いて、自分たちの来訪目的をはっきりと伝える。
俺は覇王であることを隠し、今回は薬師コースで学ぶ王立高学院特別部隊メンバーだと名乗っている。
早速マジックバッグから、作業用のテーブルと椅子を取り出し、ポーション作りの器具や薬草をテーブルの上に並べていく。
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