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絶望と希望
297ー1 同時襲撃の恐怖(13)ー1
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午後4時、王都内に入り込んだ魔獣の討伐が完了し、火災もほぼ鎮火したので、国王は第二級警戒態勢を解除する鐘を鳴らすよう指示を出した。
まだ油断はできないが、今夜はドラゴンや魔獣に怯える必要はないだろう。
警戒態勢解除の鐘の音を聞いた王都民は、安堵した表情で家に帰っていく。
西地区の被災者たちも、各避難所に身を寄せている。
ルフナ王子が上空から火災が鎮火したかどうか確認してくれたので、俺は徒歩で高学院に戻った。
ランドルと守護妖精のユテは、ルフナ王子と一緒に、王都付近に魔獣がいないか見回りしてくれている。
遅い昼食というか夕食を食堂の2階で食べながら、俺は各部署からの報告を受ける。
作戦本部になっている高学院の図書室に居た主要メンバーも、ようやく一息つき一緒にお茶を飲んだり食事をしている。
既に時刻は午後5時を過ぎており、消火活動に出掛けた魔法部2・3年の学生たちも戻ってきて1階で食事を始める。
幸いにも大ケガをした学生は居なかったが、中度の火傷や熱風により喉に火傷を負った学生が十数人いた。
直ぐに薬師部の教授がポーションで治療し、大事には至らなかったと先程報告を受けたので、俺は胸を撫で下ろした。
西地区で避難誘導をしてくれたログドル王子は、中度の火傷と足の骨折で動けなくなったが、学院に残っていた執行部部長のトゥーリス先輩が、【慈悲の雫】のハイポーションを持って救助に向かってくれた。
あれだけの大火事を半日で消火できたのは、ログドル王子の指示で事前に消火用の魔法陣を準備したことと、学生による懸命な消火活動によるところが大きい。
……よし、報告もあらかた聞いたので、学生たちを激励しよう。
「皆、よくやってくれた。これは冒険者ギルドで売っている疲労回復ジュースだ。さあ、自分のコップを出せ」
疲れ果て、自分で用意した非常食を食べている魔法部の学生たちに向かって、俺は階段を下りながら大瓶のジュースを見せて、笑顔で声を掛けた。
誰も彼も服はぼろぼろで、顔は煤で黒くなり髪も燃えてチリチリになっている。
……ああ、本当によく頑張ってくれた。
日頃は学院に居ないことが多い俺が、食堂の2階に居るとは思っていなかったようで、皆は驚いた顔をしながらも嬉しそうにコップを差し出す。
「お疲れ様です」
「ブラックドラゴン討伐、ありがとうございます」
あちらこちらから労いと感謝の声が上がるので、俺も「お疲れ」と返して、差し出されたコップにジュースを注いでいく。
戻ってきた学生とは逆に、ミレーヌ様率いる王立高学院特別部隊はこれからが忙しい。
学院長は、消火活動に参加しなかった魔法部1年の学生と、覇王軍、王立高学院特別部隊に所属していない全学生に、救済活動をするよう命令した。
今、学院に残っているのは主に商学部の学生で、覇王軍財務担当のスフレさんが指揮を執り、西地区の被災者用に座布団パンと炊き出しのスープ作りをしている。
これまで集めていた救済品の、分配準備も商学部の担当だ。
学院長の命令で、魔法部1年は軍の演習場に向かい、特務部の1年は東地区の避難所に行く。貴族部の男子は救護所、貴族部の女子は南地区の避難所を担当する。
ちなみに特務部の2年生は、全員が覇王軍か王立高学院特別部隊に所属している。
商学部の2年生も、王立高学院特別部隊に所属している者が多い。
まだ油断はできないが、今夜はドラゴンや魔獣に怯える必要はないだろう。
警戒態勢解除の鐘の音を聞いた王都民は、安堵した表情で家に帰っていく。
西地区の被災者たちも、各避難所に身を寄せている。
ルフナ王子が上空から火災が鎮火したかどうか確認してくれたので、俺は徒歩で高学院に戻った。
ランドルと守護妖精のユテは、ルフナ王子と一緒に、王都付近に魔獣がいないか見回りしてくれている。
遅い昼食というか夕食を食堂の2階で食べながら、俺は各部署からの報告を受ける。
作戦本部になっている高学院の図書室に居た主要メンバーも、ようやく一息つき一緒にお茶を飲んだり食事をしている。
既に時刻は午後5時を過ぎており、消火活動に出掛けた魔法部2・3年の学生たちも戻ってきて1階で食事を始める。
幸いにも大ケガをした学生は居なかったが、中度の火傷や熱風により喉に火傷を負った学生が十数人いた。
直ぐに薬師部の教授がポーションで治療し、大事には至らなかったと先程報告を受けたので、俺は胸を撫で下ろした。
西地区で避難誘導をしてくれたログドル王子は、中度の火傷と足の骨折で動けなくなったが、学院に残っていた執行部部長のトゥーリス先輩が、【慈悲の雫】のハイポーションを持って救助に向かってくれた。
あれだけの大火事を半日で消火できたのは、ログドル王子の指示で事前に消火用の魔法陣を準備したことと、学生による懸命な消火活動によるところが大きい。
……よし、報告もあらかた聞いたので、学生たちを激励しよう。
「皆、よくやってくれた。これは冒険者ギルドで売っている疲労回復ジュースだ。さあ、自分のコップを出せ」
疲れ果て、自分で用意した非常食を食べている魔法部の学生たちに向かって、俺は階段を下りながら大瓶のジュースを見せて、笑顔で声を掛けた。
誰も彼も服はぼろぼろで、顔は煤で黒くなり髪も燃えてチリチリになっている。
……ああ、本当によく頑張ってくれた。
日頃は学院に居ないことが多い俺が、食堂の2階に居るとは思っていなかったようで、皆は驚いた顔をしながらも嬉しそうにコップを差し出す。
「お疲れ様です」
「ブラックドラゴン討伐、ありがとうございます」
あちらこちらから労いと感謝の声が上がるので、俺も「お疲れ」と返して、差し出されたコップにジュースを注いでいく。
戻ってきた学生とは逆に、ミレーヌ様率いる王立高学院特別部隊はこれからが忙しい。
学院長は、消火活動に参加しなかった魔法部1年の学生と、覇王軍、王立高学院特別部隊に所属していない全学生に、救済活動をするよう命令した。
今、学院に残っているのは主に商学部の学生で、覇王軍財務担当のスフレさんが指揮を執り、西地区の被災者用に座布団パンと炊き出しのスープ作りをしている。
これまで集めていた救済品の、分配準備も商学部の担当だ。
学院長の命令で、魔法部1年は軍の演習場に向かい、特務部の1年は東地区の避難所に行く。貴族部の男子は救護所、貴族部の女子は南地区の避難所を担当する。
ちなみに特務部の2年生は、全員が覇王軍か王立高学院特別部隊に所属している。
商学部の2年生も、王立高学院特別部隊に所属している者が多い。
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