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決戦開始
267ー2 心理対抗戦(8)ー2
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「わ、私はトーブル様の婚約者でアリアと申します。
本当に背中の傷は大丈夫なのですか? リーマス王子を庇うために無理していらっしゃるのですね」
トーブル様が不敬だと仰ったのに、懲りない残念女ね。
「アリアさんだったかしら、私はカイヤ。
エリザーテ様と同じ王立高学院特別部隊の副隊長をしていますの。
トーブル様が暴漢に斬られたのは、背中ではなく腕でしたわ。
エリザーテ様の手当が早かったので、大事には至らず完治されていますわ」
やっと私の出番だわ。さあ、ガンガンいくわよ!
「あなた、王族の婚約者である私に礼も取らず、失礼ではなくて。
トーブル様が斬られたのは背中ですわ。私の知り合いが斬られるところを見ていたのよ! 噓つき」
あら、噓つき呼ばわり? ええ、確かにアナタを騙していますわ。
「お知り合いの方が? とても不思議なお話ですわね。
確か警備隊は、目撃者などいないと言っていましたわ。懸命に犯人を捜しているそうなので、そのお知り合いの方を教えて差し上げればよろしいのでは?
本当にトーブル様を心配されているのであれば……のお話ですけれど」
ここでにっこりと微笑むのが効果的ね。
「王族である私の話を信じないと言うのアナタは! なんて無礼なの!
お母さま、私、許せません。こんなにもトーブル様を想っているのに!」
まあ、大きな声ね。予定通り野次馬の皆さんが集まったわ。
あら、ここでようやく扇を取り出すの? でも、ギュッと握っているだけでは役に立ちませんことよ。
……あれは私の義母さまだわ。これで役者は揃ったわね。
「クスッ、嫌ですわ、王族である私?
王族の婚約者にも、上下があるのをご存じないのかしら?
本当にトーブル様の婚約者ですの? そのように常識を知らない振る舞いでは、王妃様はお認めにならないのではなくて?」
私も扇を素早く取り出し、シュパッと開いて口元を隠します。
「それに、まるでご自分が見ていたかのように、トーブル様が襲われた時のことをお話になるのね。
そんな知り合いなんて、本当は居ないのではないかしら?」
《 バチーン 》と派手な音がして、残念な女の扇が私の頬を打ちました。
いたっ、痛いわよ。本当に痛いわ。でも、ワートン領の炎の攻撃に比べたら、大したことはないわ。
ここからよ、ここからの演技で、邪魔者の完全排除と、シーブル夫人の王都からの退場を勝ち取ってみせるわ。
「何をしているの! 大丈夫カイヤさん?
王宮警備隊は何をしているの! 王子の婚約者に暴行するなんて、直ぐに捕えなさい!」
直ぐ近くまで来ていたレイトル王子のお母さまは、私を庇うように立って、王宮警備隊の副隊長に命令します。
「こ、これは第一側室ユリアーナ様・・・」
何が何だか分からないと混乱するシーブル夫人は、直ぐにユリアーナ様に礼をとります。
近くにいた野次馬たちも、王妃様に次ぐ身分である側室ユリアーナ様の登場に、慌てて礼をとっていきます。
「大変申し訳ありませんユリアーナ様。カイヤさん。
母の連れの者が、レイトル王子の婚約者であるカイヤさんに暴力を。
副隊長ダレン殿、この者は先日私が暴漢に襲われた時のことを、何故か詳しく知っている。その件もしっかり調べてくれ」
トーブル様はユリアーナ様に深く頭を下げて謝罪し、王宮警備隊副隊長に向かって、残念女を捕えて調べろと指示を出されました。
本当に背中の傷は大丈夫なのですか? リーマス王子を庇うために無理していらっしゃるのですね」
トーブル様が不敬だと仰ったのに、懲りない残念女ね。
「アリアさんだったかしら、私はカイヤ。
エリザーテ様と同じ王立高学院特別部隊の副隊長をしていますの。
トーブル様が暴漢に斬られたのは、背中ではなく腕でしたわ。
エリザーテ様の手当が早かったので、大事には至らず完治されていますわ」
やっと私の出番だわ。さあ、ガンガンいくわよ!
「あなた、王族の婚約者である私に礼も取らず、失礼ではなくて。
トーブル様が斬られたのは背中ですわ。私の知り合いが斬られるところを見ていたのよ! 噓つき」
あら、噓つき呼ばわり? ええ、確かにアナタを騙していますわ。
「お知り合いの方が? とても不思議なお話ですわね。
確か警備隊は、目撃者などいないと言っていましたわ。懸命に犯人を捜しているそうなので、そのお知り合いの方を教えて差し上げればよろしいのでは?
本当にトーブル様を心配されているのであれば……のお話ですけれど」
ここでにっこりと微笑むのが効果的ね。
「王族である私の話を信じないと言うのアナタは! なんて無礼なの!
お母さま、私、許せません。こんなにもトーブル様を想っているのに!」
まあ、大きな声ね。予定通り野次馬の皆さんが集まったわ。
あら、ここでようやく扇を取り出すの? でも、ギュッと握っているだけでは役に立ちませんことよ。
……あれは私の義母さまだわ。これで役者は揃ったわね。
「クスッ、嫌ですわ、王族である私?
王族の婚約者にも、上下があるのをご存じないのかしら?
本当にトーブル様の婚約者ですの? そのように常識を知らない振る舞いでは、王妃様はお認めにならないのではなくて?」
私も扇を素早く取り出し、シュパッと開いて口元を隠します。
「それに、まるでご自分が見ていたかのように、トーブル様が襲われた時のことをお話になるのね。
そんな知り合いなんて、本当は居ないのではないかしら?」
《 バチーン 》と派手な音がして、残念な女の扇が私の頬を打ちました。
いたっ、痛いわよ。本当に痛いわ。でも、ワートン領の炎の攻撃に比べたら、大したことはないわ。
ここからよ、ここからの演技で、邪魔者の完全排除と、シーブル夫人の王都からの退場を勝ち取ってみせるわ。
「何をしているの! 大丈夫カイヤさん?
王宮警備隊は何をしているの! 王子の婚約者に暴行するなんて、直ぐに捕えなさい!」
直ぐ近くまで来ていたレイトル王子のお母さまは、私を庇うように立って、王宮警備隊の副隊長に命令します。
「こ、これは第一側室ユリアーナ様・・・」
何が何だか分からないと混乱するシーブル夫人は、直ぐにユリアーナ様に礼をとります。
近くにいた野次馬たちも、王妃様に次ぐ身分である側室ユリアーナ様の登場に、慌てて礼をとっていきます。
「大変申し訳ありませんユリアーナ様。カイヤさん。
母の連れの者が、レイトル王子の婚約者であるカイヤさんに暴力を。
副隊長ダレン殿、この者は先日私が暴漢に襲われた時のことを、何故か詳しく知っている。その件もしっかり調べてくれ」
トーブル様はユリアーナ様に深く頭を下げて謝罪し、王宮警備隊副隊長に向かって、残念女を捕えて調べろと指示を出されました。
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