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高学院 1年生
66ー1 クラス対抗戦(1)ー1
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先日レイム公爵が、モンブラン商会に俺のことを問い合わせてきたらしい。
財務大臣でもあるレイム公爵からの問い合わせを、流石の会頭も放置することが出来ず、俺の店【薬種 命の輝き】の場所と、俺の家族構成を教えたとのこと。
で、その後レイム公爵は、王宮の馬車で店に直接来たらしく、驚いた母さんは手に持っていたポーションを落としてしまったと、外出許可日で帰った俺にブツブツ文句を言う。
「レイム公爵は、捨て子だったアコルと何処で出会ったのかって質問されたわ。
それと、もしかして亡くなったご主人が他所で作った子供なのか……とも訊かれたわね。失礼ったらありゃしない。
学院で何かあったの? もしかして、危険なことに巻き込まれたりしてない?
母さん、サーシム領の施設で、正式な手続きをして養子にしたと答えたけど、大丈夫だった?」
俺の本当の親のことが分からなければ、命に危険が及ぶかもと心配していた母さんは、不安そうに俺の瞳を見ながら訊いてきた。
「大丈夫だよ母さん。俺、閲覧禁止書庫に入れた。だから何も怖くないよ」
「えっ! それじゃあ、魔術書のことが分かったの?」
「うん、どこの家の物かは分かったよ」
母さんは凄く不安そうな顔をして、「もしかしてレイム公爵家に関係してるの?」って、少し震えるような声で訊いた。
「ねえ母さん。俺は自分の本当の親が誰かなんてどうでもいいんだ。俺の親は父さんと母さんだけだし、名乗ろうとも思わないよ。
それに、フッ、たぶん誰も俺を害することなんか出来ないと思う。
俺が知りたかったのは、俺の持っている【上級魔法と覇王の遺言】という魔術書が、俺にとってどういう意味があるのか、俺に何を求めているのかってことだったから、親が誰であろうと、何処の貴族家であろうと今更って感じだよ」
「上級魔法と……覇王の遺言? 覇王?」
母さんはカタカタと小さく体を震わせて、絶望的って感じで俺を見た。
「大丈夫だよ母さん。俺はさ、アコルという名を捨てたりしない。たとえ実の父親が国王だとしてもね。
王子なんてまっ平御免だよ。それよりも、もっと大事な話があるんだ」
「お、王子だったことより大事な話ですって!」
今度は疑るような目で俺を見て、いったい何をするつもり?って、いつものお説教モードに突入する雰囲気になってきた。
さすが母さん、俺をよく分かってる。
「王子なんて興味もないけど、どうやら俺、今代の覇王らしい。
だから、これから学院の学生や冒険者を率いて魔獣の大氾濫に備えなきゃいけないんで、忙しくなると思う。
それにあと2年で魔力量を150まで上げなきゃいけないから、店は母さんに任せっきりになると思う。ごめん」
「・・・・・」
絶句している母さんの前に、エクレアがスーッと現れて、妖精王様の言葉を伝えてくれたり、妖精王様の加護持ちになっていることや、必ず魔力量が150以上になるだろうと自信満々に伝えてくれた。
「俺が覇王として考えることは、如何に国民を救うか、如何にドラゴンと戦うかだよ。
俺の原点は父さんと母さんの教えだから安心してよ。
魔獣の大氾濫に打ち勝ったら、俺は自分の夢を叶えて大商人になる! それだけは譲れない。
俺は一生、アコル・ドバインとして生きていく」
母さんは怒ったらいいのか、激励したらいいのか分からないみたいで、目を閉じて少しだけ考えていた。
そして目を開いた母さんは「母さんはアコルを信じるわ」って言って、俺をギュッと抱きしめてくれた。
突然息子に、王子だの覇王だの聞かされたのに、母さんはやっぱり俺の母さんで、大地のように大きく優しく俺を包んでくれた。
……ありがとう母さん。俺らしく平民キャラで頑張るよ。
それからレブラクトの町に【薬種 命の輝き】の支店を建てたけど、暫くは無償で貸すことにした件と、ポルポル商団と連名で被災者に無料で軟膏と湿布を配ったことを伝えた。
ついでに、暫く帰れないかもしれないからと、当座の資金を渡しておいた。
可愛い妹のメイリが留守だったのが残念だけど、お土産に買った冬用のコートを、母さんからメイリに渡してもらうよう頼んだ。
大好きなお兄ちゃんポジションは、会えなくても守り通さなければならない。
◇ ◇ ◇
闇討ちから五日後、学校が何も発表していなかったのに、【衝撃の疑惑】という名の号外新聞が掲示板に貼りだされた。
※※≪ 突然の停学処分の裏にあった様々な疑惑 ≫※※
★ 闇討ち疑惑 ★
各方面からの情報によると、停学処分になった6人は学院内の某演習場で、夜間、魔法を発動させ1年に制裁を加えようとしたらしい。
闇討ちされた学生は、正々堂々と昼間戦うことを勧めたが、闇夜の演習場に強引に連れ出され、問答無用で魔法攻撃を加えられたらしい。
連れ出された学生は、夜間の演習場は危険だと止めたが、闇討ちをした学生は、自信満々でケガをするはずがないと言い放ったらしい。
結局襲撃者たちは、誰かが土魔法の練習で掘っていた穴に落ち、標的であった学生に魔法を当てることすらできず、天の裁きを受けた……らしい。
財務大臣でもあるレイム公爵からの問い合わせを、流石の会頭も放置することが出来ず、俺の店【薬種 命の輝き】の場所と、俺の家族構成を教えたとのこと。
で、その後レイム公爵は、王宮の馬車で店に直接来たらしく、驚いた母さんは手に持っていたポーションを落としてしまったと、外出許可日で帰った俺にブツブツ文句を言う。
「レイム公爵は、捨て子だったアコルと何処で出会ったのかって質問されたわ。
それと、もしかして亡くなったご主人が他所で作った子供なのか……とも訊かれたわね。失礼ったらありゃしない。
学院で何かあったの? もしかして、危険なことに巻き込まれたりしてない?
母さん、サーシム領の施設で、正式な手続きをして養子にしたと答えたけど、大丈夫だった?」
俺の本当の親のことが分からなければ、命に危険が及ぶかもと心配していた母さんは、不安そうに俺の瞳を見ながら訊いてきた。
「大丈夫だよ母さん。俺、閲覧禁止書庫に入れた。だから何も怖くないよ」
「えっ! それじゃあ、魔術書のことが分かったの?」
「うん、どこの家の物かは分かったよ」
母さんは凄く不安そうな顔をして、「もしかしてレイム公爵家に関係してるの?」って、少し震えるような声で訊いた。
「ねえ母さん。俺は自分の本当の親が誰かなんてどうでもいいんだ。俺の親は父さんと母さんだけだし、名乗ろうとも思わないよ。
それに、フッ、たぶん誰も俺を害することなんか出来ないと思う。
俺が知りたかったのは、俺の持っている【上級魔法と覇王の遺言】という魔術書が、俺にとってどういう意味があるのか、俺に何を求めているのかってことだったから、親が誰であろうと、何処の貴族家であろうと今更って感じだよ」
「上級魔法と……覇王の遺言? 覇王?」
母さんはカタカタと小さく体を震わせて、絶望的って感じで俺を見た。
「大丈夫だよ母さん。俺はさ、アコルという名を捨てたりしない。たとえ実の父親が国王だとしてもね。
王子なんてまっ平御免だよ。それよりも、もっと大事な話があるんだ」
「お、王子だったことより大事な話ですって!」
今度は疑るような目で俺を見て、いったい何をするつもり?って、いつものお説教モードに突入する雰囲気になってきた。
さすが母さん、俺をよく分かってる。
「王子なんて興味もないけど、どうやら俺、今代の覇王らしい。
だから、これから学院の学生や冒険者を率いて魔獣の大氾濫に備えなきゃいけないんで、忙しくなると思う。
それにあと2年で魔力量を150まで上げなきゃいけないから、店は母さんに任せっきりになると思う。ごめん」
「・・・・・」
絶句している母さんの前に、エクレアがスーッと現れて、妖精王様の言葉を伝えてくれたり、妖精王様の加護持ちになっていることや、必ず魔力量が150以上になるだろうと自信満々に伝えてくれた。
「俺が覇王として考えることは、如何に国民を救うか、如何にドラゴンと戦うかだよ。
俺の原点は父さんと母さんの教えだから安心してよ。
魔獣の大氾濫に打ち勝ったら、俺は自分の夢を叶えて大商人になる! それだけは譲れない。
俺は一生、アコル・ドバインとして生きていく」
母さんは怒ったらいいのか、激励したらいいのか分からないみたいで、目を閉じて少しだけ考えていた。
そして目を開いた母さんは「母さんはアコルを信じるわ」って言って、俺をギュッと抱きしめてくれた。
突然息子に、王子だの覇王だの聞かされたのに、母さんはやっぱり俺の母さんで、大地のように大きく優しく俺を包んでくれた。
……ありがとう母さん。俺らしく平民キャラで頑張るよ。
それからレブラクトの町に【薬種 命の輝き】の支店を建てたけど、暫くは無償で貸すことにした件と、ポルポル商団と連名で被災者に無料で軟膏と湿布を配ったことを伝えた。
ついでに、暫く帰れないかもしれないからと、当座の資金を渡しておいた。
可愛い妹のメイリが留守だったのが残念だけど、お土産に買った冬用のコートを、母さんからメイリに渡してもらうよう頼んだ。
大好きなお兄ちゃんポジションは、会えなくても守り通さなければならない。
◇ ◇ ◇
闇討ちから五日後、学校が何も発表していなかったのに、【衝撃の疑惑】という名の号外新聞が掲示板に貼りだされた。
※※≪ 突然の停学処分の裏にあった様々な疑惑 ≫※※
★ 闇討ち疑惑 ★
各方面からの情報によると、停学処分になった6人は学院内の某演習場で、夜間、魔法を発動させ1年に制裁を加えようとしたらしい。
闇討ちされた学生は、正々堂々と昼間戦うことを勧めたが、闇夜の演習場に強引に連れ出され、問答無用で魔法攻撃を加えられたらしい。
連れ出された学生は、夜間の演習場は危険だと止めたが、闇討ちをした学生は、自信満々でケガをするはずがないと言い放ったらしい。
結局襲撃者たちは、誰かが土魔法の練習で掘っていた穴に落ち、標的であった学生に魔法を当てることすらできず、天の裁きを受けた……らしい。
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