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冒険者とお仕事
39ー2 アコル受験する(2)ー2
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そしてドキドキの合格発表当日、俺は会頭と一緒に王宮に商談に行ったので、合格発表を見に行ったのはセージ部長だった。
会頭が王宮の花壇の管理を提案することを前向きに検討してくれたので、見積りと数種類の花の見本を持って、ウキウキと管理部に向かった。
当然今日は完全商人モードで、真面目な商会員キャラを演じている。
俺は得意な絵を描き、花壇の完成図や花の植え方に高低を付けることで、どの角度から見ても美しく見えることを力説した。
なんと、俺の出したちょっとぼったくった見積りは、花壇を管理している管理部の予算額より少なかった。今までどんだけ無駄に使ってたんだよって突っ込みたくなったよホント。
モンブラン商会の名前が大きかったのか、王宮正面の中庭のみだけど仕事を受注することができた。
よっしゃー!
「モンブラン商会として仕事をするからには、失敗は許されないぞアコル」
「はい会頭。母さんなら大丈夫です。俺も休み毎に様子を見に行きます」
俺の立ち上げた商店【薬種 命の輝き】の利益は、モンブラン商会と折半になるけど充分だ。この仕事の利益で、妹のメイリが中級学校に行ける。よし!
本店に戻ってうきうきとスキップしていたら、誰かが俺の肩を掴んだ。叩いたんじゃなくてガシッて掴まれた。
「アコル、やり過ぎだ。目立ちたくないなんて、もう無理だぞ!」って、セージ部長が怖い顔をして俺を睨む。
そしてそのまま、会頭の執務室に引き摺られていく。どうして???
で、何故かいつものメンバーに囲まれ、盛大に溜息をつかれている。
「いや、だって会頭が本気でって・・・」
「だからって、何故共通問題と専門問題の両方で1位になるんだよお前は!」(マルク人事部長)
「俺だって1位になるなんて、全く思ってなかったんですけど・・・」
「どうするんだよ、合格通知書を受け取った時、商学部代表で挨拶しろって言われたぞ! いや、そこじゃない、魔法部の教授と商学部の教授が喧嘩になったから、一応商学部に入学すると伝えたけど、魔法部にしつこくされるぞアコル」
とっても疲れた表情でセージ部長が文句を言う。知らんがな……
「ええ~、一応って言ったんですかセージ部長? 嫌だなあ。私はDランク冒険者なのに、魔法部に入ったら虐められますよ。私の夢は、いえ目標は大商人ですから。それは譲りません」
俺は堂々と胸を張って答えた。やっちゃったものは仕方ない。
……それならそれで、秀才キャラで行くまでだよ。話し掛け難く、付き合いの悪い学生。愛想も悪い方がいいな。学校にお客さんは来ないし。
次の日は、制服や教材を購入するために高学院に向かった。
制服の試着は自分じゃないと無理だし、今日から図書館の入館が出来る。
それに、【近代魔法陣研究室】に行かなきゃいけない。
個室の確保は、自分の魔法を極めるためにも必要だし、面倒な魔法省に何か言われないためにも必要だ。
「失礼します。商学部に合格したアコルです。マキアート教授はいらっしゃいますか」と、俺はドアを開けて研究室に入った。
すると、この前も居た女性が「合格おめでとう。教授なら補助部屋にいらっしゃるわよ」って教えてくれた。
しっかりと魔法部へのお誘いを断る決心をし、俺は深呼吸をしてからノックして補助部屋のドアを開けた。
そこにはマキアート教授と、とんでもない人物が待っていた。
この前は無かったちょっと豪華なテーブルセットの椅子に座り、驚いた顔をして俺を見ている。
……ギヤァーッ! 嫌な予感しかしない。なんでだ!?
「失礼します、マキアート教授、お邪魔でしょうか学院長」
「いや、問題ない」
「これです学院長。信じられないでしょう? アコルは平民で学歴なしですよ。フッ、私の興奮を分かって頂けましたか?」
俺の顔を見て、マキアート教授は興奮したように学院長に話し掛ける。
「座りなさいアコル君、君はDランクの冒険者だそうだね。冒険者をしながらモンブラン商会で働いているのかね?」
よく見たら椅子は3脚ある。これは逃げられない配置だ。……仕方ない座ろう。
「はい学院長。私は10歳少し前に冒険者登録して、10歳からモンブラン商会で働いています」
何とも言えない圧を感じる。静かに座ってるだけなのに、王族としての威厳というか独特の雰囲気で、俺に探りを入れてくる。
「モンブラン商会では護衛の仕事でも?」
「いいえ、マキアート教授。私はレイモンド会頭の秘書見習いをしています」
「なるほど、鬼の心眼持ちのレイモンドか……君の両親の仕事は?」
「私の両親は二人ともAランク冒険者でした。父は変異種の魔獣と戦って亡くなり、母は薬師として働いています……学院長」
いかん、変な汗が出てきた。完全に良くない方向に向かってる気がする。
会頭が王宮の花壇の管理を提案することを前向きに検討してくれたので、見積りと数種類の花の見本を持って、ウキウキと管理部に向かった。
当然今日は完全商人モードで、真面目な商会員キャラを演じている。
俺は得意な絵を描き、花壇の完成図や花の植え方に高低を付けることで、どの角度から見ても美しく見えることを力説した。
なんと、俺の出したちょっとぼったくった見積りは、花壇を管理している管理部の予算額より少なかった。今までどんだけ無駄に使ってたんだよって突っ込みたくなったよホント。
モンブラン商会の名前が大きかったのか、王宮正面の中庭のみだけど仕事を受注することができた。
よっしゃー!
「モンブラン商会として仕事をするからには、失敗は許されないぞアコル」
「はい会頭。母さんなら大丈夫です。俺も休み毎に様子を見に行きます」
俺の立ち上げた商店【薬種 命の輝き】の利益は、モンブラン商会と折半になるけど充分だ。この仕事の利益で、妹のメイリが中級学校に行ける。よし!
本店に戻ってうきうきとスキップしていたら、誰かが俺の肩を掴んだ。叩いたんじゃなくてガシッて掴まれた。
「アコル、やり過ぎだ。目立ちたくないなんて、もう無理だぞ!」って、セージ部長が怖い顔をして俺を睨む。
そしてそのまま、会頭の執務室に引き摺られていく。どうして???
で、何故かいつものメンバーに囲まれ、盛大に溜息をつかれている。
「いや、だって会頭が本気でって・・・」
「だからって、何故共通問題と専門問題の両方で1位になるんだよお前は!」(マルク人事部長)
「俺だって1位になるなんて、全く思ってなかったんですけど・・・」
「どうするんだよ、合格通知書を受け取った時、商学部代表で挨拶しろって言われたぞ! いや、そこじゃない、魔法部の教授と商学部の教授が喧嘩になったから、一応商学部に入学すると伝えたけど、魔法部にしつこくされるぞアコル」
とっても疲れた表情でセージ部長が文句を言う。知らんがな……
「ええ~、一応って言ったんですかセージ部長? 嫌だなあ。私はDランク冒険者なのに、魔法部に入ったら虐められますよ。私の夢は、いえ目標は大商人ですから。それは譲りません」
俺は堂々と胸を張って答えた。やっちゃったものは仕方ない。
……それならそれで、秀才キャラで行くまでだよ。話し掛け難く、付き合いの悪い学生。愛想も悪い方がいいな。学校にお客さんは来ないし。
次の日は、制服や教材を購入するために高学院に向かった。
制服の試着は自分じゃないと無理だし、今日から図書館の入館が出来る。
それに、【近代魔法陣研究室】に行かなきゃいけない。
個室の確保は、自分の魔法を極めるためにも必要だし、面倒な魔法省に何か言われないためにも必要だ。
「失礼します。商学部に合格したアコルです。マキアート教授はいらっしゃいますか」と、俺はドアを開けて研究室に入った。
すると、この前も居た女性が「合格おめでとう。教授なら補助部屋にいらっしゃるわよ」って教えてくれた。
しっかりと魔法部へのお誘いを断る決心をし、俺は深呼吸をしてからノックして補助部屋のドアを開けた。
そこにはマキアート教授と、とんでもない人物が待っていた。
この前は無かったちょっと豪華なテーブルセットの椅子に座り、驚いた顔をして俺を見ている。
……ギヤァーッ! 嫌な予感しかしない。なんでだ!?
「失礼します、マキアート教授、お邪魔でしょうか学院長」
「いや、問題ない」
「これです学院長。信じられないでしょう? アコルは平民で学歴なしですよ。フッ、私の興奮を分かって頂けましたか?」
俺の顔を見て、マキアート教授は興奮したように学院長に話し掛ける。
「座りなさいアコル君、君はDランクの冒険者だそうだね。冒険者をしながらモンブラン商会で働いているのかね?」
よく見たら椅子は3脚ある。これは逃げられない配置だ。……仕方ない座ろう。
「はい学院長。私は10歳少し前に冒険者登録して、10歳からモンブラン商会で働いています」
何とも言えない圧を感じる。静かに座ってるだけなのに、王族としての威厳というか独特の雰囲気で、俺に探りを入れてくる。
「モンブラン商会では護衛の仕事でも?」
「いいえ、マキアート教授。私はレイモンド会頭の秘書見習いをしています」
「なるほど、鬼の心眼持ちのレイモンドか……君の両親の仕事は?」
「私の両親は二人ともAランク冒険者でした。父は変異種の魔獣と戦って亡くなり、母は薬師として働いています……学院長」
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