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39 謎の高校生バンド
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今日は診察ではないので、沢木医師とは昼休み時間に会ってもらえるようお願いした。
「やあ春樹君、今日は診察じゃなくて他の話?」
「はい沢木医師、この前お話しした俺の夢の件で、ようやく形になったので沢木先生にご報告を兼ねてプレゼントを持ってきました」
「確か音楽活動をするって言ってたよね?」
時刻は午後1時半、病院の食堂は随分と人が少なくなっていて、沢木先生は定食、俺はカツ丼をトレーに載せ、話しながら空いていた窓側の席に座った。
「俺は今、作詞作曲家として活動をしています。最近、俺の作った曲のCDが発売されたので、良かったら聴いてみてください」
俺は少し照れながら、事務所から送ってきたミユウさんのアルバムと、ミカさんのCDをリュックから取り出し、沢木先生に手渡した。
「これって、今ヒットしてる映画の主題歌だよね?」
「はい、作詞作曲のラルカンド・フォースは、俺のもう一つの名前です」
俺は少し小声で言いながら、シークレット活動ですけどと笑いながら付け加えた。
沢木先生は驚いたように目を大きく開けてから、自分のスマホを取り出し、音楽チャンネルのダウンロード一覧を俺に見せてくれた。そこには、新堂ミカ【離れたくない】という文字があった。
「これって、春樹君が作ったんだ・・・こ、こっちはミユウ?凄いね・・・」
「こっちは1曲だけの提供なんです。ほら、これがレコーディングの時のツーショット写真です。来月から始まる夜のドラマの主題歌に決まったようで、主演がミユウさんらしいです」
嘘じゃないですよと、ミユウさんとの写真を見せながら、ミユウさんのアルバムの中の【恋の音を聴いた朝】を指差す。
「いや、本当に凄いよ!このことは秘密なんだよね? 看護師のみんなが聞いたら凄く喜ぶと思うんだけど……」
「はい、秘密です。高校を卒業できたら……オープンにしたいと思っています……が、取りあえず、今できることをやるだけです」
「そうか、高校を卒業したら皆に教えよう。きっと、全員からサインをねだられるぞ」
沢木先生は本当に嬉しそうに笑いながら、定食を急いで掻き込んでいく。名医は午後からも忙しい。
「忙しいのに付き合ってもらってありがとうございました。9月の診察の時に、また次のCDを持ってきますね。次はアニソンですけど」
「もう次も決まってるのか? 次の診察の時、俺にだけこっそりサインを頼む」
沢木先生はそう言うと、手を振りながら急いで外来に向かって行った。
次に会った時は、印税の一部を寄附する話をしなくっちゃと思いながら、俺は病院を後にした。
7月14日午前1時、リゼットルが主題歌を歌う【あの日の夕焼けを忘れない】の放映がスタートする。
俺たちは悠希先輩の家に泊まって、記念すべき第1回の放送を全員で見る。
期末試験も終わり、少々の寝不足なんて関係ないとばかりに、スタジオの大画面の前に座って、ドキドキしながら放送開始を待っていると、オープニングの【絡んだ糸】が流れ始めた。
アニメの主人公と友人4人が、それぞれ個性的な衣装で、可愛く、カッコよく、そして戦いながら画面の中を躍動感あふれる動きで飛び回っている。
「オオーッ!!」と全員が歓喜の声を上げ、用意していた高級果汁入りのグラスで乾杯する。
原作小説もコミックも読み込んでいた俺たちは、【絡んだ糸】がファンの皆さんに受け入れられますようにと願いながら、第1回の放送を見終わった。
原作自体が面白いので、俺のクラスでも今日の放送を楽しみにしている奴が何人かいた。
「学校に行って、感想を聞くのがドキドキするな」(翔也先輩)
「俺の声って、誰も気付かなきゃいいけど・・・」(蒼空先輩)
「バンド名が違うから、大丈夫なんじゃないか?」(一俊先輩)
「一俊先輩のドラムって、独特な個性があるからなぁ……」(伯)
「誰かに似てるって言われたら、変に誤魔化すより、えっ、分かった?とか言って、わざと間違った名前のサインをするとかどうよ」
悠希先輩が、真面目なのか不真面目なのか分からないことを言ってからかう。
「それはいい。本当の俺は東京在住で芸能人なんだ!みたいな感じで」
俺も悠希先輩に乗っかって、蒼空先輩を見ながらからかってみる。
「なんの余裕だ受験生諸君?もう7月も中旬だというのに。来週からオープンキャンパスだろう?気を引き締めなきゃ、8月9月はAO入試だったよな」
せっかく楽しく浮かれているのに、啓太が蒼空先輩を睨みながら水を差す。
「可愛くないぞ啓太!」
「俺は男なんで、可愛くなくてもいいんです。先輩がインハイ予選で部活を引退したから、俺だけ春樹と一緒にオープンキャンパスに行けないんです。不平等だ!」
夏休みに入ると直ぐ、リゼットルの4人は東京へ行く。悠希先輩も家族で旅行に行くので、新しい曲の契約で東京に行く俺も含めた6人は、同じ新幹線で出掛けることになっている。
1人だけ残される啓太は、蒼空先輩から副部長に指名されたため、部活を休んでオープンキャンパスに行けなくなった。
「啓太、お土産いっぱい買ってくるから。それに、リゼットルは仕事の合間にオープンキャンパスに行くんだ。啓太は、来年また俺と行けばいいじゃん」
置いてけぼりで不機嫌な啓太の顔を覗き込みながら、俺は約束すると言って小指を差し出す。
「絶対だからな!来年は2人だけでオープンキャンパスに行くんだぞ!」
ちょっとだけ機嫌を直した啓太が、自分の小指を絡めて指切りをする。来年の夏休みは、啓太のために空けておくと俺が言ったので、仕方ないなと啓太は許してくれた。生れた時から一緒にいる啓太は、俺との指切りが大好きだと俺は知っている。
「前途多難だな蒼空」
「うるさいぞ一俊!」
啓太の過保護振りを見て、いつものように一俊先輩から突っ込みが入る。
……もしかしたら蒼空先輩は、啓太のことが好きなのかな?
そんなこんなで盛り上がった視聴会は、午前2時に終了し俺たちは眠りについた。
翌日、俺は友人たちからさり気なく、アニメの感想とオープニングソングの感想を訊いてみた。
「俺、あの曲知ってた。確か昨年ネットで話題になったコンテストで入賞してた曲だろう?俺の姉貴の医大の友人が、あのコンテストに応募してて、ポイント入れてくれって頼まれてたから、画像見てたんだ。1人だけプロに頼んだ感じの映像だったから、デジ部の俺としては気になっちゃってさ。でも、歌ってたのは全然別人だった。知らないバンドで驚いた」
「ふ、ふ~ん、そうなんだ……俺もあのコンテストの投票したよ。あの曲を歌ってるバンドの感想はどう?それと、原条が投票したお姉さんの友人って、女性?入賞したの?」
原条の意外な言葉にちょっとビビりながら、投票した人物が気になった。
「ああ女性だよ。入賞はしなかったけど、1次選考は通ってたと思う。」
「それは凄いね。アニメは面白かった?」
「ああ、俺は原作読んでるから、主人公のイメージが少し違うけど、まあまあなんじゃない。曲もアレンジされてアニソンっぽくなってた。俺は、春樹がアニメ好きだったとは知らなかったよ」
確かに俺と原条の日頃の会話には、アニメの話題は少なかった気がする。でも、姉貴がオタクで腐女子だってことは伝えていたはずだ。コンテストのことを知っている原条には、これ以上この話題を振るのは止めておこう。アニメもアニソンも、まあまあの評価をもらったので良しとしよう。
その後も部活の連中にさり気なく質問したけど、【絡んだ糸】の評価はまあまあだった。
その日の夜、7人のグループラインで、周りの評価がどうだったのか報告し合った。
概ね良好という感じの評価だったみたいで、俺は胸を撫で下ろした。
まあヒットする曲は、1回聴いたらサビや歌のフレーズが頭に残るものだ。
興味が湧けば番組宣伝PVの視聴回数が上がり、【リゼットル】とか【絡んだ糸】【あの日の夕焼けを忘れないのオープニング】とかで検索がかかるはず。
3日後には事務所から、状況の報告が来ることになっている。
今回リゼットルは、謎の高校生バンド!みたいな感じで売り出されている。
公開しているのは、バンドのメンバーが全員高校生であること、4人組であること、西日本在住であることくらいで、写真も何も表に出ていない。
CDが発売される8月末には、シルエット的に画像が流れる予定だが、全員が受験で合格するまでは、オフィシャルチャンネルも立ち上がらない。
2つの学校との協議で、リゼットルは来年の1月まで顔を出さない予定である。
3月の頭にはファーストアルバムを出す予定で、その時は勿論ばっちり顔も出して、ライブやコンサートも行っていく。
だから11月以降アルバム作成作業に入る予定で、これからは、受験と並行して曲作りもやらねばならない。
事務所からは、2曲くらいは楽曲提供して欲しいと頼まれている。
8月に入り、全員が忙しくバタバタと活動していく。
ミユウさん主演の【恋の音】というドラマは、まあまあの視聴率らしく、エンディングに流れる【恋の音を聴いた朝】は、ミユウさんのオフィシャルチャンネルで、視聴回数が120万回を超えた。
俺は夏休みの間に、最低3曲ほど作るように事務所から言われている。
1曲は再び、同じ事務所の 新堂ミカ さんに提供する予定だ。
今度は、10月から始まる創英テレビの、午後9時からスタートするドラマ主題歌のオファーで、原作小説があるのでイメージはできそうだ。
他の2曲は、出来上がってからの話になるが、ミユウさんの所属しているソウエイミュージックジャパンからの依頼らしい。詳しい提供ミュージシャンの話は聞いていない。
そして、いよいよ明日は、ヨーロッパ旅行から帰ってきた悠希先輩と、一緒に東京の大学のオープンキャンパスに行く日だ。
2つの大学を回る予定で、その後、俺は九竜副社長と共に夕食を食べる。だから今夜は、実家に居る悠希先輩と会って、ソラタ先輩(九竜副社長)のことを話さなくてはならない。
「やあ春樹君、今日は診察じゃなくて他の話?」
「はい沢木医師、この前お話しした俺の夢の件で、ようやく形になったので沢木先生にご報告を兼ねてプレゼントを持ってきました」
「確か音楽活動をするって言ってたよね?」
時刻は午後1時半、病院の食堂は随分と人が少なくなっていて、沢木先生は定食、俺はカツ丼をトレーに載せ、話しながら空いていた窓側の席に座った。
「俺は今、作詞作曲家として活動をしています。最近、俺の作った曲のCDが発売されたので、良かったら聴いてみてください」
俺は少し照れながら、事務所から送ってきたミユウさんのアルバムと、ミカさんのCDをリュックから取り出し、沢木先生に手渡した。
「これって、今ヒットしてる映画の主題歌だよね?」
「はい、作詞作曲のラルカンド・フォースは、俺のもう一つの名前です」
俺は少し小声で言いながら、シークレット活動ですけどと笑いながら付け加えた。
沢木先生は驚いたように目を大きく開けてから、自分のスマホを取り出し、音楽チャンネルのダウンロード一覧を俺に見せてくれた。そこには、新堂ミカ【離れたくない】という文字があった。
「これって、春樹君が作ったんだ・・・こ、こっちはミユウ?凄いね・・・」
「こっちは1曲だけの提供なんです。ほら、これがレコーディングの時のツーショット写真です。来月から始まる夜のドラマの主題歌に決まったようで、主演がミユウさんらしいです」
嘘じゃないですよと、ミユウさんとの写真を見せながら、ミユウさんのアルバムの中の【恋の音を聴いた朝】を指差す。
「いや、本当に凄いよ!このことは秘密なんだよね? 看護師のみんなが聞いたら凄く喜ぶと思うんだけど……」
「はい、秘密です。高校を卒業できたら……オープンにしたいと思っています……が、取りあえず、今できることをやるだけです」
「そうか、高校を卒業したら皆に教えよう。きっと、全員からサインをねだられるぞ」
沢木先生は本当に嬉しそうに笑いながら、定食を急いで掻き込んでいく。名医は午後からも忙しい。
「忙しいのに付き合ってもらってありがとうございました。9月の診察の時に、また次のCDを持ってきますね。次はアニソンですけど」
「もう次も決まってるのか? 次の診察の時、俺にだけこっそりサインを頼む」
沢木先生はそう言うと、手を振りながら急いで外来に向かって行った。
次に会った時は、印税の一部を寄附する話をしなくっちゃと思いながら、俺は病院を後にした。
7月14日午前1時、リゼットルが主題歌を歌う【あの日の夕焼けを忘れない】の放映がスタートする。
俺たちは悠希先輩の家に泊まって、記念すべき第1回の放送を全員で見る。
期末試験も終わり、少々の寝不足なんて関係ないとばかりに、スタジオの大画面の前に座って、ドキドキしながら放送開始を待っていると、オープニングの【絡んだ糸】が流れ始めた。
アニメの主人公と友人4人が、それぞれ個性的な衣装で、可愛く、カッコよく、そして戦いながら画面の中を躍動感あふれる動きで飛び回っている。
「オオーッ!!」と全員が歓喜の声を上げ、用意していた高級果汁入りのグラスで乾杯する。
原作小説もコミックも読み込んでいた俺たちは、【絡んだ糸】がファンの皆さんに受け入れられますようにと願いながら、第1回の放送を見終わった。
原作自体が面白いので、俺のクラスでも今日の放送を楽しみにしている奴が何人かいた。
「学校に行って、感想を聞くのがドキドキするな」(翔也先輩)
「俺の声って、誰も気付かなきゃいいけど・・・」(蒼空先輩)
「バンド名が違うから、大丈夫なんじゃないか?」(一俊先輩)
「一俊先輩のドラムって、独特な個性があるからなぁ……」(伯)
「誰かに似てるって言われたら、変に誤魔化すより、えっ、分かった?とか言って、わざと間違った名前のサインをするとかどうよ」
悠希先輩が、真面目なのか不真面目なのか分からないことを言ってからかう。
「それはいい。本当の俺は東京在住で芸能人なんだ!みたいな感じで」
俺も悠希先輩に乗っかって、蒼空先輩を見ながらからかってみる。
「なんの余裕だ受験生諸君?もう7月も中旬だというのに。来週からオープンキャンパスだろう?気を引き締めなきゃ、8月9月はAO入試だったよな」
せっかく楽しく浮かれているのに、啓太が蒼空先輩を睨みながら水を差す。
「可愛くないぞ啓太!」
「俺は男なんで、可愛くなくてもいいんです。先輩がインハイ予選で部活を引退したから、俺だけ春樹と一緒にオープンキャンパスに行けないんです。不平等だ!」
夏休みに入ると直ぐ、リゼットルの4人は東京へ行く。悠希先輩も家族で旅行に行くので、新しい曲の契約で東京に行く俺も含めた6人は、同じ新幹線で出掛けることになっている。
1人だけ残される啓太は、蒼空先輩から副部長に指名されたため、部活を休んでオープンキャンパスに行けなくなった。
「啓太、お土産いっぱい買ってくるから。それに、リゼットルは仕事の合間にオープンキャンパスに行くんだ。啓太は、来年また俺と行けばいいじゃん」
置いてけぼりで不機嫌な啓太の顔を覗き込みながら、俺は約束すると言って小指を差し出す。
「絶対だからな!来年は2人だけでオープンキャンパスに行くんだぞ!」
ちょっとだけ機嫌を直した啓太が、自分の小指を絡めて指切りをする。来年の夏休みは、啓太のために空けておくと俺が言ったので、仕方ないなと啓太は許してくれた。生れた時から一緒にいる啓太は、俺との指切りが大好きだと俺は知っている。
「前途多難だな蒼空」
「うるさいぞ一俊!」
啓太の過保護振りを見て、いつものように一俊先輩から突っ込みが入る。
……もしかしたら蒼空先輩は、啓太のことが好きなのかな?
そんなこんなで盛り上がった視聴会は、午前2時に終了し俺たちは眠りについた。
翌日、俺は友人たちからさり気なく、アニメの感想とオープニングソングの感想を訊いてみた。
「俺、あの曲知ってた。確か昨年ネットで話題になったコンテストで入賞してた曲だろう?俺の姉貴の医大の友人が、あのコンテストに応募してて、ポイント入れてくれって頼まれてたから、画像見てたんだ。1人だけプロに頼んだ感じの映像だったから、デジ部の俺としては気になっちゃってさ。でも、歌ってたのは全然別人だった。知らないバンドで驚いた」
「ふ、ふ~ん、そうなんだ……俺もあのコンテストの投票したよ。あの曲を歌ってるバンドの感想はどう?それと、原条が投票したお姉さんの友人って、女性?入賞したの?」
原条の意外な言葉にちょっとビビりながら、投票した人物が気になった。
「ああ女性だよ。入賞はしなかったけど、1次選考は通ってたと思う。」
「それは凄いね。アニメは面白かった?」
「ああ、俺は原作読んでるから、主人公のイメージが少し違うけど、まあまあなんじゃない。曲もアレンジされてアニソンっぽくなってた。俺は、春樹がアニメ好きだったとは知らなかったよ」
確かに俺と原条の日頃の会話には、アニメの話題は少なかった気がする。でも、姉貴がオタクで腐女子だってことは伝えていたはずだ。コンテストのことを知っている原条には、これ以上この話題を振るのは止めておこう。アニメもアニソンも、まあまあの評価をもらったので良しとしよう。
その後も部活の連中にさり気なく質問したけど、【絡んだ糸】の評価はまあまあだった。
その日の夜、7人のグループラインで、周りの評価がどうだったのか報告し合った。
概ね良好という感じの評価だったみたいで、俺は胸を撫で下ろした。
まあヒットする曲は、1回聴いたらサビや歌のフレーズが頭に残るものだ。
興味が湧けば番組宣伝PVの視聴回数が上がり、【リゼットル】とか【絡んだ糸】【あの日の夕焼けを忘れないのオープニング】とかで検索がかかるはず。
3日後には事務所から、状況の報告が来ることになっている。
今回リゼットルは、謎の高校生バンド!みたいな感じで売り出されている。
公開しているのは、バンドのメンバーが全員高校生であること、4人組であること、西日本在住であることくらいで、写真も何も表に出ていない。
CDが発売される8月末には、シルエット的に画像が流れる予定だが、全員が受験で合格するまでは、オフィシャルチャンネルも立ち上がらない。
2つの学校との協議で、リゼットルは来年の1月まで顔を出さない予定である。
3月の頭にはファーストアルバムを出す予定で、その時は勿論ばっちり顔も出して、ライブやコンサートも行っていく。
だから11月以降アルバム作成作業に入る予定で、これからは、受験と並行して曲作りもやらねばならない。
事務所からは、2曲くらいは楽曲提供して欲しいと頼まれている。
8月に入り、全員が忙しくバタバタと活動していく。
ミユウさん主演の【恋の音】というドラマは、まあまあの視聴率らしく、エンディングに流れる【恋の音を聴いた朝】は、ミユウさんのオフィシャルチャンネルで、視聴回数が120万回を超えた。
俺は夏休みの間に、最低3曲ほど作るように事務所から言われている。
1曲は再び、同じ事務所の 新堂ミカ さんに提供する予定だ。
今度は、10月から始まる創英テレビの、午後9時からスタートするドラマ主題歌のオファーで、原作小説があるのでイメージはできそうだ。
他の2曲は、出来上がってからの話になるが、ミユウさんの所属しているソウエイミュージックジャパンからの依頼らしい。詳しい提供ミュージシャンの話は聞いていない。
そして、いよいよ明日は、ヨーロッパ旅行から帰ってきた悠希先輩と、一緒に東京の大学のオープンキャンパスに行く日だ。
2つの大学を回る予定で、その後、俺は九竜副社長と共に夕食を食べる。だから今夜は、実家に居る悠希先輩と会って、ソラタ先輩(九竜副社長)のことを話さなくてはならない。
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