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18 審査結果
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本日、二話同時更新しました。
17 グループライン から先にお読みください。
翌日、俺は部活の後で悠希先輩に昨日の出来事を打ち明け、もしもの時は学校に居残るか、先輩の部屋で時間を潰させて欲しいと頼むことにした。
スクールバスの申請は出したが、現在定員がほぼ一杯で、申請が通っても来月10月からになると説明された。今日が25日だから、あと5日、明日は日曜だから危険なのは4日間だけだ。
「悠希先輩、ちょっと相談があるんですが、部活の後で家にお邪魔していいですか?」
「ああ、もちろん、今日は晩飯食ってけよ。祖母が魚を貰ったって言ってたからさ」
「いえいえ、そんなに甘えられません」
今日は厄介なお願い事をする予定なのに、晩御飯まで頂くなんてとてもできない。
部活の方はというと、大きな大会のエントリーの締め切りが迫っていて、今月中にも提出する予定だ。
デジ部は、6月の文化祭までに作品を1本仕上げて、期末試験後にもう1本作品を作る。その後改良を重ねて10月の始めが締め切りのコンテストに出品する。11月に1次予選があり、通過すれば最終審査発表のために、12月に代表が数人で東京に行く。
過去に数回、1次を通過している。合格したこともあるが、優秀賞をとったことは未だない。今年は天才肌の悠希先輩がいるので、去年よりも仕上がりがいい。皆で予選通過を期待している。
部活が終わって、俺は悠希先輩の家に向かうが、なんだか足取りが重い。
きっと先輩は凄く心配するだろうし、理事長権限とかをこっそり使いそうで怖い。
「予想通りではあるが、【絡んだ糸】は強いな。今日の時点で8位だから、トップ10入りは間違いないだろう。【青い彼方】だって20位には入ると思う。やっぱ春樹は、歌を作る才能があるってことだな」
「違いますよ。先輩の映像が凄いんです。こっちはセミプロがプロデュースしてるんですから、全体的な仕上がりで断然有利です。歌は下手なんですから」
正直なところ、俺の歌唱力ではプロは無理だと実感している。元々シンガーではなく、作詞作曲の方が本命だし、そっちで入選したらなんて……いや、無理だとは分かってる。でもちょっとだけ期待している自分が笑える。
作詞作曲は中間発表などないから、最終審査までさっぱり状況が分からない。
パソコンを見ている先輩の隣に座って、ランキング上位の曲を一緒に聴く。
上位の3位までは、メロディーが覚えやすくシンガーの声がいい。
とても勝負なんてできないと素直に思える俺は、悔しいとさえ思えなかった。
「ところで、俺に話ってなんだ? 愛の告白なら何時でも受け付けるぞ」
いつものように冷蔵庫から高級なジュースを取り出して、冗談を言いながら高そうなグラスに注いでいく。割れたらどうしようとビビる俺は一般的市民だから仕方ない。
「はあ、実は、山見高に通ってる中学の時の先輩から、無理矢理付き合えと脅されまして、断ったんですが、昨日またしつこくされて……電車の中で体を触られて固まっていたところを、偶然途中から電車に乗ってきた、伯に助けられました」
俺は話ながら恥ずかしくなり、段々下を向いてしまう。
「何だと! 体を触られた?」
凍るような冷たく低い声で、悠希先輩が俺の顔をじろりと睨んだ。威圧感が半端ない。
「いや、頭とか肩とかですけど・・・ちょっとヤバイ先輩で、暴力行為で停学になったりしてて、助けてくれた伯が、啓太や蒼空先輩にも相談した方がいいと言うので、マ〇クで相談に乗って貰ったんです」
「春樹、包み隠さず全部話せ。昨日の話し合いの内容も、相手のことも全部だ!」
予想通りに怒っている先輩に、俺は中学の時の話から、先週の金曜に迫られて断ったこと、そして昨日また脅されたこと、伯に助けられて4人でマ○クに行ったこと、そして相手の人物についても全部白状した。
「レイプ? 啓太にもう抱いたのかと訊いただと?……文化祭の時のヤツか」
悠希先輩は、本当に怒ると無表情になる。激しい感情は表に出さず、一見淡々と話したりする。今日の顔はマジでやばい!
「それで伯は、伯はお前になんて言ったんだ?」
悠希先輩は高級グレープフルーツジュースを一口だけ飲んで、窓の方に移動しながら伯のことを質問した。
「ええっと、強くなれとか、自分の身は自分で守れとか、いつも警戒している啓太の気持ちが分かったとか、俺が傷つけられるのは嫌だとか……スクールバスが一番安全だからバスにしてくれって……」
俺は伯の言葉を思い出しながら悠希先輩に伝える。
先輩は窓の外を眺めながら、フーッと深く息を吐いて「そうか」と答えた。そしてカーテンを一気に閉めた。
「西陽が眩しいから……クソッ! 同じか……そのタイミングで助けに現れるのか」
悠希先輩はなんだかよく分からない言葉を呟きながら、ツカツカと俺の所に早足で戻ってきて、座っている俺をいきなり抱き締めた。
……あれ?先輩?どうしたんですか?
「春樹、あんまり心配させるな……俺はもう失敗したくない。お前を失いたくないんだ」
「だ、大丈夫です。バスの申請もしました。来月から暫くスクールバスにします。スクールバスがダメだった時は、先輩のスタジオで時間を潰させてください。先輩?」
心配のあまり俺を抱き締めたと思われる先輩の、背中に回した手が震えている。
……もう失敗したくないって何だろう? お前を失いたくないって・・・なんで先輩が震えてるんだろう?
「俺、戦います。絶対に自分を守ります。大丈夫です。だから先輩・・・」
なんだか先輩が泣いているような気がして、俺も先輩の背中に手を回し、背中を大丈夫、大丈夫って感じでポンポンと叩いてみる。
時間にして3分? いや5分?……俺を抱き締めていた先輩の腕が緩んで、俺から体を離していく。そして隣に座り直す。
先輩は残りのジュースを一気にゴクゴクと飲み干し、「ごめん、気が動転した」と言って謝った。
別に俺は嫌じゃなかったし、先輩がもの凄く心配してくれたんだと分かっているから、寧ろ抱き締められて安心した気がする。
「まあ、いつの時代にも害虫のようなヤツはいる。捻り潰してもいいが、無視するのが一番だろう。俺だって啓太たちと一緒だ。何かあればお前を守る。最善の方法でな」
「先輩が捻り潰すなんて言ったら、本当にやりそうで心配です」
俺がそう言って笑ったので、ようやく先輩も笑ってくれた。
やっぱり王子的な発言なんだと思いながら、そういえばガレイル王子も、ラルカンドを襲った奴等を害虫だと言っていた気がして、不思議な気持ちになった。
月曜と水曜は、嫌なヤツと朝だけ同じ電車になったが、過保護な啓太と心配性の伯、蒼空先輩のお陰で事なきを得た。
残り少ない電車通学の朝、俺は伯と楽しく話せたし、ベースの教室のない日は、図書室で時間を潰して、帰りも同じ電車に乗ってくれて嬉しかった。
なんとか無事に9月を遣り過ごし、10月に突入した。
10月1日(金)、今日はいよいよポイント投票結果が発表される。
昨夜23時59分で締め切られた投票結果で、シンガーソングライター部門と、アニソン部門のポイント上位が決定する。
ポイント上位3位までがポイント賞受賞作品となり、賞品として旅行券5万円が贈られる。上位10位までは、1年間映像が流され続ける特典がつく。
ポイント投票結果は、【絡んだ糸】が4位で【青い彼方】は12位だった。
3位には入れなかったが、4位になったことが既に奇跡的である。
俺は今日からバス通学だが、今日は悠希先輩の家に泊まって、10位入賞の祝賀会をすることにした。
先輩のお婆様が、得意の料理を振る舞ってくれて、楽しい夕食時間を過ごした。
明日は全国模試だが、今更勉強してもしょうがないので、悠希先輩とまた曲を作る計画を立てたり、今度はバラードにしようと話をしたりして、大いに盛り上がった。
《 うたクリエーター 新人部門 君もプロを目指そう 》の、本選の1次審査の結果発表は10月20日である。
本選は、ポイントや視聴回数を考慮し、プロの音楽家たちの審査で行われる。
まあ、入賞することもないだろうけど、俺はこれからも歌を作っていこうと思う。
ちなみに、最終審査の発表は11月11日である。
作詞・作曲・シンガーソングライターの各部門は、1次審査で30作品に絞られる。
そして最終審査では、【大賞】が賞金30万円で、デビュー又はプロとして活動が約束される。
【金賞】は2作品で、賞金は15万円。プロとしての活動が可能である。
シンガーソングライター部門だけ、【銀賞】が3作品あり賞金は10万円。プロにはなれないが、オファーがあればチャンスがあるかもしれない。
アニソン部門は【特別賞】として、TVアニメの主題歌となり、即、デビューが確定する。【金賞】や【銀賞】はない。
来年も元気だったらチャレンジしてみようかなと、【絡んだ糸】がポイントランキング4位だったので、少しだけ欲が出てきた。
悠希先輩と一緒に布団を並べ、これまでのことに感謝しながら、慣れない高級羽毛布団で俺は眠りについた。
17 グループライン から先にお読みください。
翌日、俺は部活の後で悠希先輩に昨日の出来事を打ち明け、もしもの時は学校に居残るか、先輩の部屋で時間を潰させて欲しいと頼むことにした。
スクールバスの申請は出したが、現在定員がほぼ一杯で、申請が通っても来月10月からになると説明された。今日が25日だから、あと5日、明日は日曜だから危険なのは4日間だけだ。
「悠希先輩、ちょっと相談があるんですが、部活の後で家にお邪魔していいですか?」
「ああ、もちろん、今日は晩飯食ってけよ。祖母が魚を貰ったって言ってたからさ」
「いえいえ、そんなに甘えられません」
今日は厄介なお願い事をする予定なのに、晩御飯まで頂くなんてとてもできない。
部活の方はというと、大きな大会のエントリーの締め切りが迫っていて、今月中にも提出する予定だ。
デジ部は、6月の文化祭までに作品を1本仕上げて、期末試験後にもう1本作品を作る。その後改良を重ねて10月の始めが締め切りのコンテストに出品する。11月に1次予選があり、通過すれば最終審査発表のために、12月に代表が数人で東京に行く。
過去に数回、1次を通過している。合格したこともあるが、優秀賞をとったことは未だない。今年は天才肌の悠希先輩がいるので、去年よりも仕上がりがいい。皆で予選通過を期待している。
部活が終わって、俺は悠希先輩の家に向かうが、なんだか足取りが重い。
きっと先輩は凄く心配するだろうし、理事長権限とかをこっそり使いそうで怖い。
「予想通りではあるが、【絡んだ糸】は強いな。今日の時点で8位だから、トップ10入りは間違いないだろう。【青い彼方】だって20位には入ると思う。やっぱ春樹は、歌を作る才能があるってことだな」
「違いますよ。先輩の映像が凄いんです。こっちはセミプロがプロデュースしてるんですから、全体的な仕上がりで断然有利です。歌は下手なんですから」
正直なところ、俺の歌唱力ではプロは無理だと実感している。元々シンガーではなく、作詞作曲の方が本命だし、そっちで入選したらなんて……いや、無理だとは分かってる。でもちょっとだけ期待している自分が笑える。
作詞作曲は中間発表などないから、最終審査までさっぱり状況が分からない。
パソコンを見ている先輩の隣に座って、ランキング上位の曲を一緒に聴く。
上位の3位までは、メロディーが覚えやすくシンガーの声がいい。
とても勝負なんてできないと素直に思える俺は、悔しいとさえ思えなかった。
「ところで、俺に話ってなんだ? 愛の告白なら何時でも受け付けるぞ」
いつものように冷蔵庫から高級なジュースを取り出して、冗談を言いながら高そうなグラスに注いでいく。割れたらどうしようとビビる俺は一般的市民だから仕方ない。
「はあ、実は、山見高に通ってる中学の時の先輩から、無理矢理付き合えと脅されまして、断ったんですが、昨日またしつこくされて……電車の中で体を触られて固まっていたところを、偶然途中から電車に乗ってきた、伯に助けられました」
俺は話ながら恥ずかしくなり、段々下を向いてしまう。
「何だと! 体を触られた?」
凍るような冷たく低い声で、悠希先輩が俺の顔をじろりと睨んだ。威圧感が半端ない。
「いや、頭とか肩とかですけど・・・ちょっとヤバイ先輩で、暴力行為で停学になったりしてて、助けてくれた伯が、啓太や蒼空先輩にも相談した方がいいと言うので、マ〇クで相談に乗って貰ったんです」
「春樹、包み隠さず全部話せ。昨日の話し合いの内容も、相手のことも全部だ!」
予想通りに怒っている先輩に、俺は中学の時の話から、先週の金曜に迫られて断ったこと、そして昨日また脅されたこと、伯に助けられて4人でマ○クに行ったこと、そして相手の人物についても全部白状した。
「レイプ? 啓太にもう抱いたのかと訊いただと?……文化祭の時のヤツか」
悠希先輩は、本当に怒ると無表情になる。激しい感情は表に出さず、一見淡々と話したりする。今日の顔はマジでやばい!
「それで伯は、伯はお前になんて言ったんだ?」
悠希先輩は高級グレープフルーツジュースを一口だけ飲んで、窓の方に移動しながら伯のことを質問した。
「ええっと、強くなれとか、自分の身は自分で守れとか、いつも警戒している啓太の気持ちが分かったとか、俺が傷つけられるのは嫌だとか……スクールバスが一番安全だからバスにしてくれって……」
俺は伯の言葉を思い出しながら悠希先輩に伝える。
先輩は窓の外を眺めながら、フーッと深く息を吐いて「そうか」と答えた。そしてカーテンを一気に閉めた。
「西陽が眩しいから……クソッ! 同じか……そのタイミングで助けに現れるのか」
悠希先輩はなんだかよく分からない言葉を呟きながら、ツカツカと俺の所に早足で戻ってきて、座っている俺をいきなり抱き締めた。
……あれ?先輩?どうしたんですか?
「春樹、あんまり心配させるな……俺はもう失敗したくない。お前を失いたくないんだ」
「だ、大丈夫です。バスの申請もしました。来月から暫くスクールバスにします。スクールバスがダメだった時は、先輩のスタジオで時間を潰させてください。先輩?」
心配のあまり俺を抱き締めたと思われる先輩の、背中に回した手が震えている。
……もう失敗したくないって何だろう? お前を失いたくないって・・・なんで先輩が震えてるんだろう?
「俺、戦います。絶対に自分を守ります。大丈夫です。だから先輩・・・」
なんだか先輩が泣いているような気がして、俺も先輩の背中に手を回し、背中を大丈夫、大丈夫って感じでポンポンと叩いてみる。
時間にして3分? いや5分?……俺を抱き締めていた先輩の腕が緩んで、俺から体を離していく。そして隣に座り直す。
先輩は残りのジュースを一気にゴクゴクと飲み干し、「ごめん、気が動転した」と言って謝った。
別に俺は嫌じゃなかったし、先輩がもの凄く心配してくれたんだと分かっているから、寧ろ抱き締められて安心した気がする。
「まあ、いつの時代にも害虫のようなヤツはいる。捻り潰してもいいが、無視するのが一番だろう。俺だって啓太たちと一緒だ。何かあればお前を守る。最善の方法でな」
「先輩が捻り潰すなんて言ったら、本当にやりそうで心配です」
俺がそう言って笑ったので、ようやく先輩も笑ってくれた。
やっぱり王子的な発言なんだと思いながら、そういえばガレイル王子も、ラルカンドを襲った奴等を害虫だと言っていた気がして、不思議な気持ちになった。
月曜と水曜は、嫌なヤツと朝だけ同じ電車になったが、過保護な啓太と心配性の伯、蒼空先輩のお陰で事なきを得た。
残り少ない電車通学の朝、俺は伯と楽しく話せたし、ベースの教室のない日は、図書室で時間を潰して、帰りも同じ電車に乗ってくれて嬉しかった。
なんとか無事に9月を遣り過ごし、10月に突入した。
10月1日(金)、今日はいよいよポイント投票結果が発表される。
昨夜23時59分で締め切られた投票結果で、シンガーソングライター部門と、アニソン部門のポイント上位が決定する。
ポイント上位3位までがポイント賞受賞作品となり、賞品として旅行券5万円が贈られる。上位10位までは、1年間映像が流され続ける特典がつく。
ポイント投票結果は、【絡んだ糸】が4位で【青い彼方】は12位だった。
3位には入れなかったが、4位になったことが既に奇跡的である。
俺は今日からバス通学だが、今日は悠希先輩の家に泊まって、10位入賞の祝賀会をすることにした。
先輩のお婆様が、得意の料理を振る舞ってくれて、楽しい夕食時間を過ごした。
明日は全国模試だが、今更勉強してもしょうがないので、悠希先輩とまた曲を作る計画を立てたり、今度はバラードにしようと話をしたりして、大いに盛り上がった。
《 うたクリエーター 新人部門 君もプロを目指そう 》の、本選の1次審査の結果発表は10月20日である。
本選は、ポイントや視聴回数を考慮し、プロの音楽家たちの審査で行われる。
まあ、入賞することもないだろうけど、俺はこれからも歌を作っていこうと思う。
ちなみに、最終審査の発表は11月11日である。
作詞・作曲・シンガーソングライターの各部門は、1次審査で30作品に絞られる。
そして最終審査では、【大賞】が賞金30万円で、デビュー又はプロとして活動が約束される。
【金賞】は2作品で、賞金は15万円。プロとしての活動が可能である。
シンガーソングライター部門だけ、【銀賞】が3作品あり賞金は10万円。プロにはなれないが、オファーがあればチャンスがあるかもしれない。
アニソン部門は【特別賞】として、TVアニメの主題歌となり、即、デビューが確定する。【金賞】や【銀賞】はない。
来年も元気だったらチャレンジしてみようかなと、【絡んだ糸】がポイントランキング4位だったので、少しだけ欲が出てきた。
悠希先輩と一緒に布団を並べ、これまでのことに感謝しながら、慣れない高級羽毛布団で俺は眠りについた。
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