イケメン歯科医の日常

ー第3話ー 衛生士の虫歯 (2)

「んっ……んんー!!」

「痛いなぁ。
麻酔薬入って圧がかかるからちょっと頑張るよ。」


針を刺して麻酔薬を注入するとやはり痛みが強いようで声が出ている。


「はい、麻酔終わり。
少し時間置くからゆっくりしてていいからね。」

「んっ…ｸﾞｽｯ……(泣)」

「大丈夫、あと切開したら今日は終わりだからな。」


俺なりに優しい言葉をかけたつもりだったが、切開という言葉にビクンと反応していた。

んーどうも子供と女性の対応は難しい…。


「そろそろか。
よし、あとひとつ頑張ったら楽になるからな。
はい、開けて。」

「んっ……ぁ……(泣)」

「危ないから大きく開けるからね。
はい、ちょっと頑張るよー。」


頑張って小さく開かれた口だったが、誤って違うところを切ってしまわないよう指で大きく開いて固定した。

そして腫れている歯茎にメスをスッといれた。

ブワッと溢れてくる大量の膿。


「今たくさん膿出てるからね。
これだけ溜まってたら痛かったでしょ。
早めに言ってくれれば良かったのに。
ちょっと中いじるから頑張れ。」

「…あっ……んー!!(泣)」


傷口の中に鋭匙を入れてゴリゴリ。

中の感染している組織を取るための必要な処置。

これが奥まで麻酔が届いてないことが多く痛いことがある。

だから麻酔を足すにしても傷口の奥に針を刺して麻酔薬を注入することになるために当然痛みがある。

悩んだが、このまま続けることにした。


「はい、おしまい。
もう終わったからねー。
うがいしていいよー。」


傷口を閉じてしまうと膿がまた溜まって繰り返すため、傷口は開いたままで今日は終わることに。


「んんっ...(泣)」

「痛かったな、よく頑張った(撫)」

「……っ…/////」

「あ、悪い…(焦)」

「い、いえ…/////
あ、ありがとうございました！
…お疲れ様でした、お先に失礼しますっ…！」


俺は何をしてんだ。

子犬みたいでつい撫でてしまった。

変質者と思われたかな。

逃げるように帰って行った日高さん。

まぁ頑張ったのには変わりないからな。

ふっ、ピュアだな、つい虐めたくなってしまう。



いつもスタッフにちょこちょこイジワルをしてみたり、ちょっかいを出したりしている堺先生なのでした。