37 / 48
3章 シュレーディンガーの猫編
38. And become a father (そして父になる。) (挿絵あり)
しおりを挟む1
巨大な塔の中にアリの女王の姿を模した女王アリロボの残骸が地面に散らばっている。
それを数台の(アームド.リアクタブル.インターフェイス)と呼ばれるARIが回収して回る。
硬い外殻を持たない下半身は脆くも崩れ去り、操縦席のある胸部から上が辛うじて形を残していた。
アリ特有の大きな眼は光と色を失い灰色に近い黒に染まっている。
かすかに開いた操縦席の扉から計器類の青い光が静かにモーター音を出して唸っていた。
その中でアリの女王1が座席に横たわった娘の女王アリ2に目を向けている。
彼女の傍らに淡路駿が両腕をダラリと垂らし首を垂れながら椅子に座り込んでいた。
明るめの栗色の髪の毛は全て白髪と化している。
女王アリと交尾する為だけに存在するアリの雄の生涯は短く、そして儚い命だという。
雄アリは背中から生えた翅で巣から飛び立ち同じく他の巣から飛び立った女王アリと空中で交尾をした後、短い一生を終える。
女王アリと交尾が出来る雄アリはまだ幸運な方で、それすら叶わない雄アリも多い。
アリの種類によっては、結婚飛行と呼ばれるこの行為で女王アリは雄アリを交尾したまま巣へと戻り、巣にいる働きアリ等が一斉に交尾中の雄の体を引きちぎり、餌とする。
行為の最中に身体を引きちぎられながらも雄アリの腹部はそのまま残され交尾が続けられるという。
そして彼の体が完全に解体され、働きアリや産まれてくる幼虫の餌となる。
自然界において雄よりも雌の方が体格的に恵まれているものが多い。
元来、生物学的にも精神的にも雄は逆立ちしたって雌には勝てないのだ。
日本に於いて長く続いた男尊女卑といった考え方も、その考え方や思想、思い込みによる失言で退陣を余儀なくされたお偉方も元を正せば赤ん坊として母親から命を授けてもらったのだ。
幾つになっても男は母親からすれば子どもであり、幾つになっても男からすれば母親は母なのだから、男が潜在的にも遺伝子的にもすぐれた女性への劣等感から来る反発心と母親に対する愛憎やらから生じたものだといえないだろうか?
男は自分の子がオギャーとこの世に生を受けるまで父親になるという自覚が無く、逆に女性は胎内に子を宿した時から既に母親への一歩を踏み出すのだから意識に差が生じ覚悟に差が生まれるのだ。
仲間や産まれてくる我が子の糧となる事が幸せというのなら自然界に於ける多くの昆虫の雄の存在意義とは子孫繁栄の為の自己犠牲に他ならない。
虫たちに自己犠牲といった精神があるのかどうかは疑問だが女社会のアリの世界には「アリの王」なるものは存在しない。
そして父になるという感覚も無く命が終わる。
女王アリ1は数時間前に「アリの王にオレはなる!」と言った物言わぬこの少年に目を向け想いを巡らしていた。
2
「なぁ月斗!こんな状況で何なのだが……今、目の前で怒ってるネコを持って帰ったらダメだろうか?」
小声で千里が隣を歩く月斗に話かける。
「エッ?ダメに決まってるでしょ!どういう思考してるの?持って帰るって?」
同じく月斗の隣を歩く心愛が小声で言い返す。
「いや心愛ちゃんならわかるだろ?あのトコトコ歩く姿とかキュンです!じゃないか?」
千里がやってみせた指のポーズは「キュンです」では無く「エンガチョ」の形になっていた。
「ホントにこんな状況で何なの?バカなの?」
若干6才にして正論だ。
「うしろでゴチャゴチャうるさいニャ!黙ってついてくるニャ!」
そう言って前を歩くのはさっきのカレー屋の店員の黄色いネコ(仮)だ。
「ワァ!怒られた!でっ!でもこの小さくて可愛いいモノとか人とかネコ(仮)とかに怒られるって言うのも何だかワクワクするな!」
また千里の変なスイッチが入り
「ワクワクするニャ!ってニャに?」
黄色いネコ(仮)にまた怒られた。
「しばらくこの部屋で待っとくニャ!」
そう言ってネコ(仮)は部屋から出て行く。
部屋は畳10枚分くらいの広さで奥には先客が4人いた。
3
10畳の部屋に前の列に3人、後ろに4人が1ヶ所に集められている。
その前にネコ(仮)の人が立って喚いていた。
「あのね!自分達の立場ってモンをわかってるニャ?無銭飲食とかお金持たずに買い物とか、ほんとにあり得ないのニャ!もうすぐ社長がここにやって来るニャ!大人しくしとくニャ!」
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎ ♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎ ♢♦︎♢♦︎♢
「社長……まだかニャ…」ソワソワ
……………………………ソワソワ
「社長……遅いニャ」
「ええっと!そこニャ!そこ!うるさいニャ!何待ちかって?社長待ってるニャ!」
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎ ♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎ ♢♦︎♢♦︎♢
「エッ?クレーム対応ニャ?社長クレーム対応してるのニャ……」
何やら他のネコ(仮)との話し声が聞こえその場が騒がしくなった。
「エッ、きみ達、さるぐつわされて口塞がれてるのわかってるニャ?この状況わかってるニャ?説教されてるのホントにわかってるニャ?何でそうなってるかわかってるニャ?…こっちが黙ってたらピーチクパーチクと騒がしいから口塞いで喋れない様にしてるニャ!別にこっちも好きでやってるわけじゃ無いニャ!」
「見てないニャ!前に座ってる子のパンツをチラチラ見て無いニャ!言いがかりはよすニャ!」
「ゴメンにゃ!見苦しいモノを見せてしまったって!逆に謝らないで欲しいニャ…なんかゴメンにゃ!実にいいもん見させてもらったニャ!」
「エッ、ニャに?このみどり色のさるぐつわだと全員、鬼にされた妹みたいニャ?って?鬼にされた妹みたいってニャ?」
「ニャンなの?鬼にされた妹ってニャンなの?知らないニャ!」
「そりゃ、そうニャ!鬼にされたら無惨って言うかそりゃ無念だニャ!」
「エッ、無念じゃニャくて無惨?無惨にされたってニャにを?」
「されたって何ニャ?エッ?サマ?サマってニャに?コワイコワイ!きみらの言ってることがわからなすぎてコワイにゃ!無念サマ?無念じゃニャくて?ニャんで無惨にサマって付くニャサマってなにニャ?」
「そんなん知らないニャ!」
「ニャに?そのちょいちょい挟んで来る画風が違うって何ニャ?」
「エッ?この姿のコトにゃ?知らないニャ!こっちから見たらきみらの方が画風が違うニャ!ーーーーって画風ってニャんにゃーーー⁈!!!」
「ていうかそこ!説教中ニャンだからうるさいニャ!」
「何でネコニャのにチューって?そりゃネコだって中とか言うニャ!説教中を説教ニャンとか説教ネコとか言ったらおかしいニャ!まぁ説教してるネコだから説教ネコには違いニャいけど!ってうるさいニャ!」
「そこニャ!そこニャ!あまりにも緊張感を感じれないニャ!」
「てゆうかニャンなの?てかニャンなのニャ!きみらは!さるぐつわで口を塞がれてるのにニャンなのさっきから!きみらの心の声がガンガンこの頭の中に次から次へと入って来てうるさいニャ!口塞いでても全く意味無いニャ!」
「何がネコの額くらい狭い頭ニャ?何ニャ?何ガンガンガンガン次から次へとディスって来るニャ?」
「エッ!コレって魔法ニャの?こんな魔法ってあんの?ニャに?ディスり殺しでもすんの?メンタル破壊しに来てるのニャ?」
「そんでソコ!その金髪のきみニャ!」
「きみに関してはアレだニャ…反省どころかさっき完全にこっちのタマとりに来てたニャ?全力でニャ!」
「ネコだけにタマってかニャ?タマとりにってかニャ?」
「うっせーニャ!今どきそんな名前のネコは居ないニャ!」
「エッ?名前は?てかニャ?」
「名前はてかニャ?…恥ずかしいニャ…」
「絶対笑わないニャ?」
「て言いながら絶対笑うニャ……」
「エッ?ホントかニャ?ホントかニャ?」
「ランスロット…ニャ…」
「………」
「ハイ、全員コロすニャ!」
4
♢♦︎♢金木猫商会♢♦︎♢
建物の入り口に看板が立ててある。
部屋の中には色とりどりのネコ(仮)が前後2列に並べられ前の列に3匹、後ろの列に4匹が全員正座をさせられていた。
その前に白衣姿で片手に竹刀を持った人物が立っていた。
応徳学園高等部ハンドボール部顧問にして物理教師の堂島 海里は手にした竹刀で床をガンガン叩きながら
「エッ!あったかい温泉に浸かって汚れと疲れを取ろうと思って入ったら水って!ほとんど水ってどういう事?風邪ひくでしょ?!」
かなり怒っている様子が見て取れる。
他のネコ(仮)から社長と呼ばれるネコ(仮)は他のネコ(仮)たちよりも更に一回り小さく色は白かった。
「それはホント申し訳ニャいと思ってるニャ…」
前列の真ん中にいるネコが土下座をする。
それに合わせて他のネコも一斉に頭を下げる。
「それにニャって?ニャって何?人と真剣な話をしてる時に語尾にニャって?それに変な着ぐるみなんか着て?ホントに反省してるんですか?」
「着ぐるみって何の事ニャ?」
「そのネコの様な感じの!」
「コレかニャ?コレはみんなこんな感じニャ!」
「こんな感じ…だと?あなた方はみんなこんな感じなのか?」
堂島の後ろに居た梶 大作(堂島が顧問を務めるハンドボール部の1年)がさらに輪をかけた様に怒っていた。
「急に?エッ?怖いニャ!急に天パで目の細い子がめっちゃキレてくるニャ!」
「天パとか目が細いとか言うな!人猫だとか人狼とか人虎って聞いてちょっとワクワクした自分が馬鹿みたいっすよ!何コレ?着ぐるみ?あざとい可愛いさとか演出してんすか?全部の中の綿を抜いてやろうか?⁈」
異世界や、ファンタジー好きの梶 大作にとって余りにも自分の思い描いていた世界観とのギャップに怒りが頂点に達した様子だ。
「エッ!お腹のはらわたを抜かれるかニャ?勘弁して欲しいニャ!それにこんな怒られる事かニャ?とんでもないクレーマーにゃ!」
「あったかい風呂に浸かろうとして水風呂に浸からされたら怒るでしょ?普通。」
堂島はさらに竹刀でバンバン床を叩く。
「そりゃそうニャ!でもまだお代をいただいて無いニャ……どうすれば許してもらえるニャ?全く今日はお金を持ってない奴らばっかりニャ!!」
「んん?……」
「小さい子どもも混ざってたニャ!親の顔が見てみたいニャ!お金が足りない分働いてもらおうにも子どもだから親の了承がニャいと無理ニャ…早く親に来てもらってキッチリ払ってもらうニャ!」
「んん?お金?」
「お金ニャ…ウチも商売でやってるニャ!お金貰わないと商売あがったりニャ!」
「ちなみに……お金はどういう単位…ですか…ね?」
「お金はお金ニャ!マネーに決まってるニャ!」
「マネー?…………エッと、それは念のために聞きますけど、日本円にするとおいくらくらいでしょう……か?」
「日本円?日本円て何ニャ?」
「で…ですよ…ね…ちなみに…その1マネーで買える物って何ですかニャ?」
「何で急に語尾にニャ!な?1マネーじゃ何にも買えないニャ!もしかしてアンタらもお金が無いニャ?まさか…あの連中と知り合い…かニャ?」
「ど……どうか……ニャ?……」
堂島は目の前のネコ(仮)から目を逸らしながら答えた。
5
「覚悟はいいかニャ?」
ネコ(仮)の雰囲気が一変する。
目の前のネコ(仮)は身体から煙の様に蒸気を発していた。
首輪に付いた鈴が「チリーン」と音を立てる。
「この姿になった吾輩は手が付けられ無いニャ!」
するとネコ(仮)の身体がみるみる大きく膨れ上がる。
マズイ!全員死ぬ!
コイツは狼に変身する獣化人ならぬ獣化猫とでもいったところか?
いや!「ライカンスロープ」とはギリシャ語の狼を意味する「ライコス」と人間を意味する「アンスロープス」を組み合わせた言葉として「狼に変身する人間」だとするならば「猫に変身するネコ」だとギリシャ語で猫を意味する「ガートス」と人間を意味する「アンスロープス」で「ガートスロープ」「ガートスアンスロープス」だとおかしくないか?……だとすると「ガートスガートス」もしくは「ガートガートス」???ウェアウルフは「人」を意味する「Wer」と、「狼」を意味する「Wolf」を組み合わせた言葉だから半狼人!
とすれば「ウェアキャット」もしくは「ワーキャット」!
でも着ぐるみみたいなネコ(仮)だから着衣を意味する(Wear)って事で「服を着ているネコ」!
即ちウェアキャットでいいか!
………と空太が考えを巡らしている間に目の前のネコ(仮)は獣化を完了していた。
「なんかすごいいっぱい難しい単語が頭の中にガンガン流れ込んで来て獣化に専念出来なかったらニャ!」と言って元の愛らしい姿に戻っていた。
「なんかすごい角度からの攻撃をしてくる魔法ニャ……」
「とにかく…きみらが働いて返すにしても、両親とか保護者に払ってもらうにしても社長に来てもらって判断を仰ぐしかニャいにゃ…」
6
「それで?きみらの世界ではお金がニャくても物が買えたりサービスを利用したりする事が出来るって事かニャ?」
「ええ、まぁ割と電子マネーやアプリ決済なんかが日常化して普及はして来てます…ね」
「だからココでもそんニャ感じでガンガン買い物をしたとでも言うニャ?」
「エッと…蟻都市っておっしゃいましたっけ?この都市の運営はアリの女王の管轄下なんじゃないんですかね?」
「都市全体はアリの女王達の管轄だニャ!でもこの辺り一帯の娯楽施設や飲食、商店などは我々、金木猫商会が牛耳ってるニャ!ネコだけど牛耳ってるニャ!」
この世界特有なのだろうか?……アリだけに…だとかアリなのに馬車馬…だとか…。
「アリの女王達?あの2人以外にも女王アリが?」
「ニャ??そんな事も知らないのニャ?蟻都市は幾つものアリの巣が集まって出来た一つの巨大都市ニャ!ここの女王さんはその中の1人にすぎニャいニャ!」
「幾つもの巣?」
「コロニーが幾つも集まってサイドと呼ばれてるニャ!」
「サイド⁈」運転手の三原さんがやけに食いつく!
「ちなみに…サイドに番号とか付いてたりします?」
「もちろんニャ!ここはサイド7と呼ばれてるニャー!」
「来たーーーーーー!」何故か三原さんがテンションMAXに!
「もしかしてサイド3とかが独立しようとしてたりしてません?」
「⁈⁈⁈……ニャ⁉︎ ……何故…ソレを?」
「やはり…」
「コレはこの巣ではあまり知られてニャい事ニャのだが…いくつかの巣がサイド3に攻め落とされたって噂ニャ…」
「巣が攻め落とされた⁈ですと?正に!「巣落とし!」」
「ニャ!ニャぜソレを?」
なんか三原さんとネコの社長の2人が盛り上がっているどうやらアリの社会も色々あるようだ。
7
「なぁ月斗!こんな時に何なんだが目の前の黄色いネコの人よりも、さっきチラッと見た青いネコの人の方が私は好みだ…私はアッチの方を持って帰りたい。」
「なっ!」
その場にいるみんなに猫耳でフリフリの服を着た千里が青い猫を抱えてる映像が流れて来た。
「失礼!私の妄想が、流れ出た様ですわ!」
「だが月斗が赤い方が良いって言うのなら私は赤い方でも構わんが…」
本人は気づいて無いようだ!話を続けている。
「…………」
「何まだそんな事言ってるの?バカなの?」
「心愛ちゃんはなかなか手厳しいな!だが可愛い子にキツく言われるのも堪らんな!」
「失礼だけどあなた本当に高校生?喋り方が女子高生っぽく無いんですけど?なんかオッサンっぽいんですけど?」
「アラ?お姉さまに対してそんな事をよくおっしゃいますわ?お姉さまはれっきとしたナイスバディの女子高生でございますわよ?」
ナイスバディの南 千里の映像が皆の脳裏に浮かぶ。
「なっ!」
「やっぱり赤が好きなら赤でもいいぞ!」
やはり当の本人はまた気づいてないようだ。
「そう言うあなたも変な喋り方!」
「まぁ生意気ですわね!でもお子様の割に物の考え方がしっかりしてますわね!気に入りましたわ!」
「フン!お子様扱いしないで!」
そんなやり取りがある中、突然ドアが開き青いネコの人が入って来た。
「騒がしいニャ!きみらにさるぐつわしても意味ニャいので外したら外したでうるさいニャ!」
前列に心愛、千里、京華が座り後ろに陸、月斗、空太の順で座らされている。
「成功ニャ!アイツの魔法を封じたニャ!もうすぐ社長がここに来るニャ!」
部屋の隅っこに1人離されて今橋 心司がいた。
青いネコの人の後ろから一際小さい白いネコの人が現れる。
「か!カワイイ!」
「ありがとニャ!」
千里の言葉に答えたその白いネコの人はドアの外にいる人物を手招きした。
「うわぁ!月斗見たか?手招きが堪らん!」
千里のテンションがかなり上がっていると室内に手招きされた人物が入って来た。
「よ…よう!」
堂島 海里32歳独身だった。
「堂島先生!」
女の先生を「おかあさん」と呼び間違えてしまう様に堂島 海里32歳独身はお父さんと呼ばれた。
便乗するかのように面白がって他の生徒達も堂島の事をお父さんと呼んだ。
そしてこの歳まで童貞を守り抜いた堂島は父になった。
「やっぱり保護者だったニャ!」
白いネコの人が怒りの感情を抑えながら静かにそう言った。
8
操縦席内は計器類の青い光に照らされながら静かにモーターが音を立てていた。
娘の傍らに少年は両腕をダラリと垂らし首を垂れながら椅子に座り込んでいた。
靴下以外の衣類を脱ぎ捨てた状態。
親指の部分が穴が空いている。
駿の明るかった髪色は白髪と化していた。
女王アリ1は数時間前に「アリの王にオレはなる!」と言った物言わぬこの少年は、オスのアリの様に命を落とすどころかその魔法の特性によって触れたものにも自身同様の能力を与え、異種族間での交配を堕胎する事なく推し進めることに成功し着床から懐妊までを一気に進めた。
シートに横たわっていたアリの女王2は眩いばかりの光を放ちながらゆっくりと足を床に下ろし立ち上がる。
その容姿は女王アリ1の姿に酷似していたが、みるみる変化をはじめ……やがて人間の女性の様な顔立ちとなった。
「京華…」
その姿を見た少年はそう言葉を発し軽くガッツポーズをする。
『恐ろしい子!』
『その少年の望む姿に擬態したのか…』
人間に近い姿に擬態した女王2の腹が大きくなっていた。
そうして彼は父になった。
「そして父になる」完
to be continued in 38.magical Love toys(魔法の愛玩具)
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
追放された【助言士】のギルド経営 不遇素質持ちに助言したら、化物だらけの最強ギルドになってました
柊彼方
ファンタジー
*『第14回ファンタジー小説大賞【大賞】受賞作』
1.2巻発売中! コミカライズ好評連載中!
「お前はもう用済みだ。ギルドから去れ」
不遇スキルである『鑑定』を持つ【助言士】ロイドは優秀な人材を見つけるために、最強ギルドと呼ばれる『太陽の化身』でボロ雑巾のように扱われていた。
そして、一通り勧誘を終えるとギルドマスターであるカイロスから用済みだと、追放されてしまう。
唐突な追放に打ちひしがれてしまうロイドだったが、エリスと名乗る女性に自分たちでギルドを作らないかと提案された。
エリスはなんと昔、ロイドが一言だけ助言をした底辺鍛冶師だったのだ。
彼女はロイドのアドバイスを三年間ひたすら守り続け、初級魔法を上級魔法並みに鍛え上げていた。
更にはあり得るはずもない無詠唱、魔法改変等を身につけていたのだ。
そんな事実に驚愕したロイドは、エリスとギルドを作ることを決意する。
そして、それなら不遇な素質持ちを集めよう。自分たちと同じ環境である人を誘おうというルールを設けた。
ロイドは不遇な素質を持つ人たちをギルドに加入させ、ただ一つのことを極めさせ始めた。一般レベルで戦えるようにするために。
だが、これが逆に最強への近道になってしまう。
そして、ロイドが抜けた太陽の化身では徐々に腐敗が始まり、衰退し始めていた。
新たな人材、策略。どんな手を使ってでもロイドたちを蹴落とそうとするが、すべて空回り。
これは、ロイドによって不遇な素質を極めた仲間たちが、ロイドとともに最強のギルドを作っていくような、そんな物語。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

【本編完結】転生隠者はまったり怠惰に暮らしたい(仮)
ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。
そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。

だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

女神の代わりに異世界漫遊 ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~
大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。
麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。
使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。
厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒!
忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪
13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください!
最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^
※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!
(なかなかお返事書けなくてごめんなさい)
※小説家になろう様にも投稿しています

君が僕を呼んだから
radio
ファンタジー
「君が僕を呼んだから」
そんな声が聞こえた気がした。
そして俺は目を瞑った。
「ここはどこだ?」
目が覚めると暗い空間に俺はいた。
初めての作品です。
はめられた主人公が復讐する話。
つたない文章ですがお付き合い願えたら嬉しいです。

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~
りーさん
ファンタジー
ある日、異世界に転生したルイ。
前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。
そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。
「家族といたいからほっといてよ!」
※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる