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2章 Queen ANT (アリの女王編)
34. Formica ex machina(機械仕掛けのアリは電気羊の夢を見るか?)
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『ゼロだ!』
アリの女王1が呟く。
ゴオオオオオオオオーーーーーツ!
轟音が部屋の外から鳴り響く。
「間に合わなかった!!!衝撃に供えろ!何かに掴まれ!」
爆発の振動に備える様に堂島が生徒たちに声を掛けると各々が何か周りの物に掴まり頭を抱えてその場に伏せる。
アリの女王1はゆっくりと立ち上がり再び玉座に座ると微動だにせず爆発の衝撃など意に介さないと言う様子で月斗達を冷静に眺めていた。
ドーン!ドーン!ドーン!
と立て続けに激しい音が部屋の外から聞こえる…が室内は外の様子とかけ離れてとても静かにギッシリと張り巡らされたメーターだけが静かに唸るだけだった。
『皮肉なものだ…』
アリの女王の思念が月斗たちに流れ込む。
『その子は私の身を案じてここまであなた方を導いたのだろう…?』
「………ああ、AIの反乱……アンタがこの部屋に閉じ込められていて女王アリロボの自爆に巻き込まれ無い様に助けだして欲しい…と」
「そうだ!俺たちは彼女の要請によってここに来た!」
「確かに彼女の要請だった!」
「エッと要請ってわざわざ言わなくても良く無い?月斗くん、陸くん?」
「堂島先生!女王アリ1の話に集中しましょう!」
「…………」
『そう……か……しかし、ココに居れば…操縦席に居れさえすれば…私は安全なのだ…』
「………???」
『操縦席はどんな衝撃やありとあらゆる攻撃にも耐えうる強度を誇っているシェルターの様なものなのだ。』
「………」
『女王アリロボの自爆にさえも操縦席はビクともしないのだ….』
「フェアリーー?」
「いや、Reary?だろ!普通に「ホントに?」って言ってくれる?月斗くん」
「なら何故彼女は?……アンタを助けるという名目で俺たちは逆に操縦席に避難させられたって事か?彼女によって…」空太が女王1に尋ねる。
「ああ!彼女の要請によって!」
『そうだ…な。そう言う事だ……。結果、その子に救われたのはあなた方だった』
「何故、彼女は我々を救う?」
堂島が聞き返す。ん?
『わからないか?』
「………………」
『あなた方を救った……というよりも……その少年と……お腹の中の子を守る為……だろうな』
そう言ってアリの女王1は駿を指差した。
「駿?」
『その少年と私の娘が時空を超えた非言語的コミュニケーション能力と我々の思念波による会話能力により一瞬のうちに相手の本質を理解し、共感して心を通わせたと伝えたと思うが…』
「ああ、確かに…」
『一瞬のうちに2人がお互いの……娘の望みをその少年は理解し…行動に移した』
「????」
『わからないか?娘はかつて味わった事のない様な興奮を覚えたのだ……ありのままの姿を異性に晒すという痴態を!陵辱を!悦びを!その恥ずべき行為に酔いしれ……女として目覚め!そして強く望んだ』
「???」
「…………」
『そしてその少年はあなた方の目の前で大胆にも
自分の着ている服を全て脱ぎ去り娘に駆け寄り抱きしめ、そしてヤッたのだ。何度も!何度も!何度も!後ろから前から!娘もそれに応え!何度も!何度も!求めた!そして更に袋の中のあなた方がセンズReと名付けた回復薬を飲んで全快し、更に何度も!何度も!生で!出したのだ!中にな!』
「生で⁈⁈中に⁈⁈何度も?」
「ヤッたのか?駿?」
堂島が駿を問いただす。
「…………………」
「「気持ち良かった」と言っている」
空太が駿の感想を代弁した。
「そんな?俺たちはそんな行為を目の当たりにしていたと言うのか?」
梶が巾着袋をガサガサと探る。
「ようせい!センズReが無くなってます!」
「ん?今、せんせいって言うみたいにようせいって言った?」
堂島が梶に言う。ん?
「堂島よう…先生!今は女王1の話に集中しましょう!」
「そうですよ!堂島よう…先生!」
「一回一回言い間違うの辞めてくれる?2人とも!」
堂島が月斗と陸に言い返す。
「ん?完全に堂島と書いてようせいって呼んでるよね?」
そう言った堂島の後ろで月斗と陸がハイタッチをしている。
『フム…続けていいか?………その少年は魔法によって大胆にもあなた方の目の前で何度も行為に及んだ』
「そんな……」
「全く気付かなかった」
『それはその少年の魔法の発動によってあなた方の動きが10000分の1、もしくはそれ以下に抑えられたからだ!それはもう時間が止められてるのと何ら変わらん!』
「アンタの娘は?アリの女王2はどうなってるんだ?」
『あなた方の様な妖精と童貞野郎にはまだわからないと思うが…子を持つ親にとって1番の不幸とは何か解るか?』
「…………」
『自分より先に子が逝く事だと私は思っている……少なくとも私にとっては……』
「…………」
駿が呟いた。
『イヤ!何度もうちの娘がイクッ!イクッ!って言って先にイッタとかそういうイクじゃないし、親に向かってそう言う事を言う?普通!どういう神経をしてるんだ?私が喜ぶとでも思っているのか?』
女王アリが駿と思考を通わせ言い争っている。
「…………」
「…………」
『ほう……?なるほど!』
「…………」
『確かに……そう言うことか……なら待つとしよう!』
何やら駿と女王1の間でやり取りが一件落着した様だ。
「???」
訳もわからず駿以外の全員がモヤっていると再び女王1の思考が伝わって来る。
『だが女王アリと言うのは皮肉なモノだな……ほとんどの子供達は私よりもずっと短命だ…私よりも長く生きられる可能性のあるものは、次期女王アリとなる資格のある者のみ…』
「…………」
『そして彼女らは一度巣から自らの翅で飛び立つと2度とここへは帰って来ないのだ……』
『私は母の…先代の女王アリの最後の子としてこの世に生を受けた。もう随分と前の事だ』
「ゼロだな!」
『私は…生まれながらにして先天性白皮症!その子と同じく私は翅を持たず…外の世界と男を知らずにいた』
そう言って硬い外皮に覆われた仮面?を脱いだ。
それは駿に抱き抱えられているもう1人の女王と生写しの様にそっくりな容姿をしていた。
「…………」
『その子が他のどの娘達より私に似ている』
「………」
『私の母が随分前に死んだ』
「ゼロだな」
月斗が呟く。
『……私は母の最後を看取る事が出来た……という点では翅を持たないこの身体もそう悪くはなかったのかも知れん』
「ゼロだな」
月斗が呟く。
『……母が死ぬと他の働きアリ達、私の姉達の中から次のこの巣の女王が選ばれる』
「おお、なるほどゼロだ!」
陸が関心する。
『そうだよ!女王1の母だから女王ゼロだよ!いちいち話の腰を折らないでくれる?』
「了解!」
月斗と陸はやっぱりちょっとアホやと空太は思った。
『いいかな?………しかし不完全な私がいるせいで他の働きアリ達、私の姉達は私のフェロモンのせいで子を生む事が出来ずにいた……アリは通常、女王アリが死ぬと巣が衰退の途につく前に働きアリが無精卵を産む。無精卵からは必ずオスが産まれるのだが…そうして産まれたオスのアリが巣から飛び立ち他の巣の女王アリと結ばれて代々遺伝子を残すのだが……私がこの巣にいるせいでそれすらも叶わなずにいた』
『私は籠の中の鳥ならぬ、アナの中のアリ!自分の力で飛び立つ事も出来ない無能なアリでしか無かった……。私は自分の存在を呪い、自分自身を嫌悪した。いっそ消えてしまいたい…と。そんな私を姉達は優しく見守り、私よりも遥かに短い命を燃やし尽くしてくれた。やがて姉達の数は随分と少なくなった……。
母は私が自らの命を断とうとしている事を感づいていたのだろう。母の命が消えた日に母が最後に私に言ってくれた言葉を今でも覚えている。私より長生きしてくれてアリがとう…と……アリだけに!』
折角いい話だったのに最後要らんな!っていうのと母=ゼロっていうことで全く内容が入って来なかったな!と空太は思った…口には出さないが…
『あなた方、童貞風情には解らないかも知れないが…』
「………なんかやたらと童貞!童貞って言ってくるのも我々の思考がいわゆる童貞という劣等感に依るものなのか?」
『その通りだ!私の言葉はあなた方の脳に直接送られる思念!それがなんやかんやエエ感じに変換されて届くのだ』
「エエ感じじゃなくて、グサグサ、ディスって来るんですけど!」
………駿を除いた全員がそう思った…口には出さないが…
『失礼…我々アリは嘘がつけないので…ありのまま、思ったままの思考を相手に送ってしまうので…』
「…………」
『私は翅を持たないこの身体故、雌としても母となる事さえも諦めていた。自分の命を自ら断とうと思い続けていたが母の願い、姉達の想いが更に私を追い詰める…だが救ってくれていたのだ。その事に気付くのも随分と時間がかかったのだが……そんな私の想いを知ってか知らずか母や姉達は私にとても優しく接してくれていた。私は何か母や姉達の為に役に立てないか?常に何かの答えを探していたのだ……私はアナの中にいる時間の全てを「とある研究」に費やした。そして一筋の光を見出したのだ。母や姉達の手助けになる者を私の手で創り出そうと…思い付き……結果、この図面を元に女王アリロボが完成した!』
月斗がゼロと言わない……飽きたな!と空太は思った。
スクリーンに小学生の描いた絵の様なものが映し出された。
「……すっすごいな!こんな絵で…」
『その通りだ。私も驚いた…色が設計図と随分違うところに!』
「そこ⁉︎もっと驚くとこあるよね?」
『私は母と姉達の為にロボをバージョンアップし出産の管理の効率化を図る為、フル稼働させた…』
「ん?嫌な予感しかしない…」
『結果、母と姉達から「お願いだからもう辞めて!」と言われた』
「でしょうね…」
『私は途方に暮れた……私の存在意義が……無くなった様にさえ感じた。だが私のあくなき探究心はさらに芽生え、ロボに自我を持たせる事を思いついた』
「やってもた!」
『自立型2足歩行ロボの開発を目指した私だったが…その道のりは果てしなく遠く……結果、自立型直立不動表計算ロボの完成とあいなった』
「あいなったって!」
『結果はおんなじ………私とおなじ道を歩ませてしまった……私が創り出したロボは私と同じくこの巣からは愚か、ずっとこの場所から動く事さえ出来無い』
「自分の足で歩かせたかったのか?」
『ああ、当然だろ?…子供の成長を願わない親なんているのか?もっともあなた方、童貞風情には到底考えも及ばない事だろうが…』
「もの凄くディスられてる感じがするのは気のせいなんでしょうか?堂島ようせい?」
「今、せんせいじゃ無くハッキリとようせいって言ったよね?」
「俺たちの精神をすごい角度でエグってくる感じは凄いしますね?堂島ようせい!」
「もう先生とすら呼ばないな!お前らは!しかし、これ以上ディスられると俺の精神が死んでしまうんですけど…?」
「なるほど…恩師の死…が少年たちを成長させる…か」
「陸さん?潰しに来てる?俺の精神を殺しに来てる?」
「辞めろ陸!堂島先生に失礼だろ!」
「月斗さん?後ろから鈍器で殴って首を絞める様な事辞めてもらえるかな?」
堂島の前でイェーイ!月斗と陸がハイタッチをする。
「オイッ!2人ともハイタッチをするな!先生に失礼だろ!」
おお!空太が助け舟を出して来た。
「こういう時はグータッチだろ!」
……泥舟だった………。
「……………」
『続けていいかな?……童貞を卒業したその少年だけは別の様だ…』
「………駿⁈」空太が淡路 駿に視線を向ける。
駿は黙ってコクリと頷く。
長い前髪で片方の目を隠し無表情ながら若干ドヤ顔だった。
「子供……か?アンタにとってこの女王アリロボも子供だって事か?」
『そうだ…私が創り出した……』
「で…?ロボが子供って事はロボにとってはアンタが親……って事か?」
『そうだ……』
「で……その子が反抗期で親であるアンタを殺そうとしたのか?」
『……………』
「皮肉なもんだ……」
『あなた方の思考を読ませてもらった……あなた方の種族は親殺し、子殺しと言うのが割と多いと言う事か……』
「そうかもしれない…殺人事件の多くは身内による犯行が大半を占めると言う…」
『しかし、アリの女王ロボはわたしを殺そうとしたのでは無い……』
「…………」
『そう……だ…自らの手で自分自身を……』
「AIが自分自身を殺そうとする事があるのか?」空太が呟く。
「自我を持つことによって自分自身の存在意義に疑問を持つ様な事が?」
梶が呟く。
「もし、そうだとしたら……自我を与えられたばっかりに……彼女は自分自身の存在を否定してしまった………」
しばらく間を置いて堂島が続ける。
「鳥や害獣から畑や田んぼを守る案山子は自分自身の役割を理解などしていない」
「サンダース……」
「サト……」
「ケロ……」
「マスター………」
「店の前に立たされた人形は… 雨の日も風の日も凍てつく雪の日もずっと店の前に立ち続ける……文句一つ言わず……笑顔を絶やさずに……彼らは客を待っているわけでは無い……そう言った考えや意識すら持たないのだから……。洋服店のマネキンはキレイな服で着飾られても……鏡の前にたってその姿を自分で確認する事は無い。人形はいつまででもその体が朽ち果てさえしない限り……ずっとそこにあるだけ……何故なら彼ら、彼女らは自分が立ち続けてる事も着飾る理由も、存在する事すらも……否定も肯定もしない……そんな事を考えることすら当然ないのだから……」
堂島はそう語る。
確かに人形のままで在れば、自分自身の存在意義に疑問を持ち、自分自身の存在を否定し、結果、自分自身の身を壊そうなどとは考えることも無かった。
ゴオオオオオオオオーーーーーツ!
轟音とともにこれまで微動だにしなかったアリの女王ロボが両膝を地面につき前のめりに倒れ込む。
ドーン!ドーン!ドーン!
続け様ざまに鳴り響ひびいた爆音と共にアリの女王ロボの胴体が内部から弾け飛び剥き出しの白い腹部から胸部にかけて一直線に大きく亀裂が入る。
一直線に伸びた亀裂はまるで落葉性の針葉樹の樹形の様に腹部から上向きに枝分かれをしてアリの女王ロボの胸元へと伸びていった。
アリの女王ロボの肢体は胴体を中心に四方へ広がった裂け目から弾け出た炎の塊とともに激しく燃え広がり胴体と脚部をメラメラと焼きながらが2つに分かれその場にドサリと落ちた。
自身の創造主であるアリの女王1を巻き込んだアリの女王ロボの反乱はかくして未遂に終わる。
巣の被害も無く、操縦席内に避難した月斗達に死者はおろか怪我人ひとり出なかった。
ただひとり堂島は心に大怪我を負った様だが……
部屋の外からの爆音はすっかりと途絶え、一面に張り巡らされた計器類が静かに唸る。
まるでアリの女王ロボの死を悲しんでいるかの様に………
『………なるほど、その妖精さんの言う様に…私はそれを……考えることを!彼女に強いてしまった様だ……意識を持たせ、考えを巡らせ、更に自分の意思で歩かせる事を……』
「……はい!ただ今ご紹介に預かりました妖精さんですけど!………何か?」
心が壊れて来ている。
だが堂島は気を取り直して話続けた。
「……歩かせるって言ったって、そもそも、こんな大きなモノが歩くとなるととんでもない荷重と莫大な運動エネルギーが必要な筈?ハナからそんな物は絵に描いた餅、机上の空論なのでは?」
堂島がそう言った。
玉座に座ったままアリの女王は堂島の方へ視線を向ける。
白い睫毛と青味がかった眼球に黒目のないその目からは女王の視線がどこを見据えているのかはわからないが会話の流れから堂島の言葉に反応した様だった。
『どうやらあなた方はこの世界の事を本当に何も知らない様だな………』
「ああ、我々はこの世界に迷いこんだんだ……教えてくれ……この世界の事を!」堂島が女王アリ1に問いかける。
『迷い込んだ……か?なるほど……だが……この世界に来た時に 赤いクーペという乗り物が近くにいたはずだ?』
「赤いクーペ?妃音さんの車か⁈」
月斗はそう言うと少し考え込んで
「車種は確か……真っ赤なフェアーリー?」
「ん?月斗くん?わざと?わざとなの?そんな車種は無いよ!」
「その赤いフェアーリーも行方不明なんです!」
月斗は堂島の事を無視して女王1に問いかけた。
『うむ!その車種が何かは知らないが……』
「やはりあの女が関係してたのか!」
堂島は気を取り直してそう言うと
「妃音さん⁈悪い人には見えなかったけど……」
月斗が切り返す。
「やけにあの女の事を気にするな…何かあったのか?」
「…スした。キスをしたんだ…」
「⁈?」
「妃音さんが…助手席で息を切らせている俺に自分が飲んだペットボトルの水をくれて…間接キスをしたんだ……」
そう言って少し照れ笑いをする月斗。
「なるほど!男子高校生にとってはそのシチュエーションはドキドキもんだな!そういうのがいい!一歩ずつ階段を上る様な!そういう初々しいのがいいんだ!一気に大人の階段を全力で駆け上がった者もいるがな!」
「…………」
「ずっと踊り場にいる様な人に言われたく無い」って駿が言ってます」空太が代弁する。
堂島はさらにダメージをくらう。
もうライフが残り1だった。
「おい!センズReを!」
梶は空っぽの袋を堂島に見せた。
ありとあらゆる死亡フラグをものともしなかった堂島の心が死んだ……。
『続けていいか?その女の事は詳しくは知らない…だが妖精王の不在と何か関係があるのかも知れない…』
「妖精王⁈その話を詳しく何でも教えて下さい!」ワクワクしながら梶が女王1の語る話に物凄く食いついた。
今度は妖精王と書いてどうじまと呼びはじめた。
死者に鞭打つような仕打ちだ。
「やっと異世界感が出て来ましたよ!」
梶は興奮しながらそう言った。
『………何でもは知らない……だが私が知ってる事だけは答えよう……ここは巨人世界の最果て…そしてココは妖精王の国、御伽世界に最も近い場所……』
「巨人世界?御伽世界?どちらも我々の知っている場所では無い……な……」
『そうここ巨人世界は巨人達の世界。この世界の住人は皆、身の丈50メートルを超す巨人族と更に大型の巨神が存在する。彼らは数こそ我らアリや他の昆虫ほどでは無いが集団で生活をしていて、街や国家、法というものも築いている。そして更に個々も非常に力が強く我らが束になって襲いかかったとしても到底太刀打ちできる相手では無い。もっともこの辺りまで危険を冒してまでやってくる巨人族など居ないが……な』
「…………やはり、巨人が存在していたんだな…。でも何故こんな所まで?危険ってどういう?」
『妖精王の統べる森のせいだ。そこには巨人族は近づこうとはしない』
「妖精王?」
「そうだ……な、あなた方の記憶を読ませてもらった……やはり、妖精王の森の住人……妖精の民と接触をしているな……そして始まりのあの大木。さらにその根本に横たわる髑髏こそが始まりの巨神…始祖ユミルのものだろう………』
to be continued in I will be the Fairy King !(妖精王にオレはなる!)
アリの女王1が呟く。
ゴオオオオオオオオーーーーーツ!
轟音が部屋の外から鳴り響く。
「間に合わなかった!!!衝撃に供えろ!何かに掴まれ!」
爆発の振動に備える様に堂島が生徒たちに声を掛けると各々が何か周りの物に掴まり頭を抱えてその場に伏せる。
アリの女王1はゆっくりと立ち上がり再び玉座に座ると微動だにせず爆発の衝撃など意に介さないと言う様子で月斗達を冷静に眺めていた。
ドーン!ドーン!ドーン!
と立て続けに激しい音が部屋の外から聞こえる…が室内は外の様子とかけ離れてとても静かにギッシリと張り巡らされたメーターだけが静かに唸るだけだった。
『皮肉なものだ…』
アリの女王の思念が月斗たちに流れ込む。
『その子は私の身を案じてここまであなた方を導いたのだろう…?』
「………ああ、AIの反乱……アンタがこの部屋に閉じ込められていて女王アリロボの自爆に巻き込まれ無い様に助けだして欲しい…と」
「そうだ!俺たちは彼女の要請によってここに来た!」
「確かに彼女の要請だった!」
「エッと要請ってわざわざ言わなくても良く無い?月斗くん、陸くん?」
「堂島先生!女王アリ1の話に集中しましょう!」
「…………」
『そう……か……しかし、ココに居れば…操縦席に居れさえすれば…私は安全なのだ…』
「………???」
『操縦席はどんな衝撃やありとあらゆる攻撃にも耐えうる強度を誇っているシェルターの様なものなのだ。』
「………」
『女王アリロボの自爆にさえも操縦席はビクともしないのだ….』
「フェアリーー?」
「いや、Reary?だろ!普通に「ホントに?」って言ってくれる?月斗くん」
「なら何故彼女は?……アンタを助けるという名目で俺たちは逆に操縦席に避難させられたって事か?彼女によって…」空太が女王1に尋ねる。
「ああ!彼女の要請によって!」
『そうだ…な。そう言う事だ……。結果、その子に救われたのはあなた方だった』
「何故、彼女は我々を救う?」
堂島が聞き返す。ん?
『わからないか?』
「………………」
『あなた方を救った……というよりも……その少年と……お腹の中の子を守る為……だろうな』
そう言ってアリの女王1は駿を指差した。
「駿?」
『その少年と私の娘が時空を超えた非言語的コミュニケーション能力と我々の思念波による会話能力により一瞬のうちに相手の本質を理解し、共感して心を通わせたと伝えたと思うが…』
「ああ、確かに…」
『一瞬のうちに2人がお互いの……娘の望みをその少年は理解し…行動に移した』
「????」
『わからないか?娘はかつて味わった事のない様な興奮を覚えたのだ……ありのままの姿を異性に晒すという痴態を!陵辱を!悦びを!その恥ずべき行為に酔いしれ……女として目覚め!そして強く望んだ』
「???」
「…………」
『そしてその少年はあなた方の目の前で大胆にも
自分の着ている服を全て脱ぎ去り娘に駆け寄り抱きしめ、そしてヤッたのだ。何度も!何度も!何度も!後ろから前から!娘もそれに応え!何度も!何度も!求めた!そして更に袋の中のあなた方がセンズReと名付けた回復薬を飲んで全快し、更に何度も!何度も!生で!出したのだ!中にな!』
「生で⁈⁈中に⁈⁈何度も?」
「ヤッたのか?駿?」
堂島が駿を問いただす。
「…………………」
「「気持ち良かった」と言っている」
空太が駿の感想を代弁した。
「そんな?俺たちはそんな行為を目の当たりにしていたと言うのか?」
梶が巾着袋をガサガサと探る。
「ようせい!センズReが無くなってます!」
「ん?今、せんせいって言うみたいにようせいって言った?」
堂島が梶に言う。ん?
「堂島よう…先生!今は女王1の話に集中しましょう!」
「そうですよ!堂島よう…先生!」
「一回一回言い間違うの辞めてくれる?2人とも!」
堂島が月斗と陸に言い返す。
「ん?完全に堂島と書いてようせいって呼んでるよね?」
そう言った堂島の後ろで月斗と陸がハイタッチをしている。
『フム…続けていいか?………その少年は魔法によって大胆にもあなた方の目の前で何度も行為に及んだ』
「そんな……」
「全く気付かなかった」
『それはその少年の魔法の発動によってあなた方の動きが10000分の1、もしくはそれ以下に抑えられたからだ!それはもう時間が止められてるのと何ら変わらん!』
「アンタの娘は?アリの女王2はどうなってるんだ?」
『あなた方の様な妖精と童貞野郎にはまだわからないと思うが…子を持つ親にとって1番の不幸とは何か解るか?』
「…………」
『自分より先に子が逝く事だと私は思っている……少なくとも私にとっては……』
「…………」
駿が呟いた。
『イヤ!何度もうちの娘がイクッ!イクッ!って言って先にイッタとかそういうイクじゃないし、親に向かってそう言う事を言う?普通!どういう神経をしてるんだ?私が喜ぶとでも思っているのか?』
女王アリが駿と思考を通わせ言い争っている。
「…………」
「…………」
『ほう……?なるほど!』
「…………」
『確かに……そう言うことか……なら待つとしよう!』
何やら駿と女王1の間でやり取りが一件落着した様だ。
「???」
訳もわからず駿以外の全員がモヤっていると再び女王1の思考が伝わって来る。
『だが女王アリと言うのは皮肉なモノだな……ほとんどの子供達は私よりもずっと短命だ…私よりも長く生きられる可能性のあるものは、次期女王アリとなる資格のある者のみ…』
「…………」
『そして彼女らは一度巣から自らの翅で飛び立つと2度とここへは帰って来ないのだ……』
『私は母の…先代の女王アリの最後の子としてこの世に生を受けた。もう随分と前の事だ』
「ゼロだな!」
『私は…生まれながらにして先天性白皮症!その子と同じく私は翅を持たず…外の世界と男を知らずにいた』
そう言って硬い外皮に覆われた仮面?を脱いだ。
それは駿に抱き抱えられているもう1人の女王と生写しの様にそっくりな容姿をしていた。
「…………」
『その子が他のどの娘達より私に似ている』
「………」
『私の母が随分前に死んだ』
「ゼロだな」
月斗が呟く。
『……私は母の最後を看取る事が出来た……という点では翅を持たないこの身体もそう悪くはなかったのかも知れん』
「ゼロだな」
月斗が呟く。
『……母が死ぬと他の働きアリ達、私の姉達の中から次のこの巣の女王が選ばれる』
「おお、なるほどゼロだ!」
陸が関心する。
『そうだよ!女王1の母だから女王ゼロだよ!いちいち話の腰を折らないでくれる?』
「了解!」
月斗と陸はやっぱりちょっとアホやと空太は思った。
『いいかな?………しかし不完全な私がいるせいで他の働きアリ達、私の姉達は私のフェロモンのせいで子を生む事が出来ずにいた……アリは通常、女王アリが死ぬと巣が衰退の途につく前に働きアリが無精卵を産む。無精卵からは必ずオスが産まれるのだが…そうして産まれたオスのアリが巣から飛び立ち他の巣の女王アリと結ばれて代々遺伝子を残すのだが……私がこの巣にいるせいでそれすらも叶わなずにいた』
『私は籠の中の鳥ならぬ、アナの中のアリ!自分の力で飛び立つ事も出来ない無能なアリでしか無かった……。私は自分の存在を呪い、自分自身を嫌悪した。いっそ消えてしまいたい…と。そんな私を姉達は優しく見守り、私よりも遥かに短い命を燃やし尽くしてくれた。やがて姉達の数は随分と少なくなった……。
母は私が自らの命を断とうとしている事を感づいていたのだろう。母の命が消えた日に母が最後に私に言ってくれた言葉を今でも覚えている。私より長生きしてくれてアリがとう…と……アリだけに!』
折角いい話だったのに最後要らんな!っていうのと母=ゼロっていうことで全く内容が入って来なかったな!と空太は思った…口には出さないが…
『あなた方、童貞風情には解らないかも知れないが…』
「………なんかやたらと童貞!童貞って言ってくるのも我々の思考がいわゆる童貞という劣等感に依るものなのか?」
『その通りだ!私の言葉はあなた方の脳に直接送られる思念!それがなんやかんやエエ感じに変換されて届くのだ』
「エエ感じじゃなくて、グサグサ、ディスって来るんですけど!」
………駿を除いた全員がそう思った…口には出さないが…
『失礼…我々アリは嘘がつけないので…ありのまま、思ったままの思考を相手に送ってしまうので…』
「…………」
『私は翅を持たないこの身体故、雌としても母となる事さえも諦めていた。自分の命を自ら断とうと思い続けていたが母の願い、姉達の想いが更に私を追い詰める…だが救ってくれていたのだ。その事に気付くのも随分と時間がかかったのだが……そんな私の想いを知ってか知らずか母や姉達は私にとても優しく接してくれていた。私は何か母や姉達の為に役に立てないか?常に何かの答えを探していたのだ……私はアナの中にいる時間の全てを「とある研究」に費やした。そして一筋の光を見出したのだ。母や姉達の手助けになる者を私の手で創り出そうと…思い付き……結果、この図面を元に女王アリロボが完成した!』
月斗がゼロと言わない……飽きたな!と空太は思った。
スクリーンに小学生の描いた絵の様なものが映し出された。
「……すっすごいな!こんな絵で…」
『その通りだ。私も驚いた…色が設計図と随分違うところに!』
「そこ⁉︎もっと驚くとこあるよね?」
『私は母と姉達の為にロボをバージョンアップし出産の管理の効率化を図る為、フル稼働させた…』
「ん?嫌な予感しかしない…」
『結果、母と姉達から「お願いだからもう辞めて!」と言われた』
「でしょうね…」
『私は途方に暮れた……私の存在意義が……無くなった様にさえ感じた。だが私のあくなき探究心はさらに芽生え、ロボに自我を持たせる事を思いついた』
「やってもた!」
『自立型2足歩行ロボの開発を目指した私だったが…その道のりは果てしなく遠く……結果、自立型直立不動表計算ロボの完成とあいなった』
「あいなったって!」
『結果はおんなじ………私とおなじ道を歩ませてしまった……私が創り出したロボは私と同じくこの巣からは愚か、ずっとこの場所から動く事さえ出来無い』
「自分の足で歩かせたかったのか?」
『ああ、当然だろ?…子供の成長を願わない親なんているのか?もっともあなた方、童貞風情には到底考えも及ばない事だろうが…』
「もの凄くディスられてる感じがするのは気のせいなんでしょうか?堂島ようせい?」
「今、せんせいじゃ無くハッキリとようせいって言ったよね?」
「俺たちの精神をすごい角度でエグってくる感じは凄いしますね?堂島ようせい!」
「もう先生とすら呼ばないな!お前らは!しかし、これ以上ディスられると俺の精神が死んでしまうんですけど…?」
「なるほど…恩師の死…が少年たちを成長させる…か」
「陸さん?潰しに来てる?俺の精神を殺しに来てる?」
「辞めろ陸!堂島先生に失礼だろ!」
「月斗さん?後ろから鈍器で殴って首を絞める様な事辞めてもらえるかな?」
堂島の前でイェーイ!月斗と陸がハイタッチをする。
「オイッ!2人ともハイタッチをするな!先生に失礼だろ!」
おお!空太が助け舟を出して来た。
「こういう時はグータッチだろ!」
……泥舟だった………。
「……………」
『続けていいかな?……童貞を卒業したその少年だけは別の様だ…』
「………駿⁈」空太が淡路 駿に視線を向ける。
駿は黙ってコクリと頷く。
長い前髪で片方の目を隠し無表情ながら若干ドヤ顔だった。
「子供……か?アンタにとってこの女王アリロボも子供だって事か?」
『そうだ…私が創り出した……』
「で…?ロボが子供って事はロボにとってはアンタが親……って事か?」
『そうだ……』
「で……その子が反抗期で親であるアンタを殺そうとしたのか?」
『……………』
「皮肉なもんだ……」
『あなた方の思考を読ませてもらった……あなた方の種族は親殺し、子殺しと言うのが割と多いと言う事か……』
「そうかもしれない…殺人事件の多くは身内による犯行が大半を占めると言う…」
『しかし、アリの女王ロボはわたしを殺そうとしたのでは無い……』
「…………」
『そう……だ…自らの手で自分自身を……』
「AIが自分自身を殺そうとする事があるのか?」空太が呟く。
「自我を持つことによって自分自身の存在意義に疑問を持つ様な事が?」
梶が呟く。
「もし、そうだとしたら……自我を与えられたばっかりに……彼女は自分自身の存在を否定してしまった………」
しばらく間を置いて堂島が続ける。
「鳥や害獣から畑や田んぼを守る案山子は自分自身の役割を理解などしていない」
「サンダース……」
「サト……」
「ケロ……」
「マスター………」
「店の前に立たされた人形は… 雨の日も風の日も凍てつく雪の日もずっと店の前に立ち続ける……文句一つ言わず……笑顔を絶やさずに……彼らは客を待っているわけでは無い……そう言った考えや意識すら持たないのだから……。洋服店のマネキンはキレイな服で着飾られても……鏡の前にたってその姿を自分で確認する事は無い。人形はいつまででもその体が朽ち果てさえしない限り……ずっとそこにあるだけ……何故なら彼ら、彼女らは自分が立ち続けてる事も着飾る理由も、存在する事すらも……否定も肯定もしない……そんな事を考えることすら当然ないのだから……」
堂島はそう語る。
確かに人形のままで在れば、自分自身の存在意義に疑問を持ち、自分自身の存在を否定し、結果、自分自身の身を壊そうなどとは考えることも無かった。
ゴオオオオオオオオーーーーーツ!
轟音とともにこれまで微動だにしなかったアリの女王ロボが両膝を地面につき前のめりに倒れ込む。
ドーン!ドーン!ドーン!
続け様ざまに鳴り響ひびいた爆音と共にアリの女王ロボの胴体が内部から弾け飛び剥き出しの白い腹部から胸部にかけて一直線に大きく亀裂が入る。
一直線に伸びた亀裂はまるで落葉性の針葉樹の樹形の様に腹部から上向きに枝分かれをしてアリの女王ロボの胸元へと伸びていった。
アリの女王ロボの肢体は胴体を中心に四方へ広がった裂け目から弾け出た炎の塊とともに激しく燃え広がり胴体と脚部をメラメラと焼きながらが2つに分かれその場にドサリと落ちた。
自身の創造主であるアリの女王1を巻き込んだアリの女王ロボの反乱はかくして未遂に終わる。
巣の被害も無く、操縦席内に避難した月斗達に死者はおろか怪我人ひとり出なかった。
ただひとり堂島は心に大怪我を負った様だが……
部屋の外からの爆音はすっかりと途絶え、一面に張り巡らされた計器類が静かに唸る。
まるでアリの女王ロボの死を悲しんでいるかの様に………
『………なるほど、その妖精さんの言う様に…私はそれを……考えることを!彼女に強いてしまった様だ……意識を持たせ、考えを巡らせ、更に自分の意思で歩かせる事を……』
「……はい!ただ今ご紹介に預かりました妖精さんですけど!………何か?」
心が壊れて来ている。
だが堂島は気を取り直して話続けた。
「……歩かせるって言ったって、そもそも、こんな大きなモノが歩くとなるととんでもない荷重と莫大な運動エネルギーが必要な筈?ハナからそんな物は絵に描いた餅、机上の空論なのでは?」
堂島がそう言った。
玉座に座ったままアリの女王は堂島の方へ視線を向ける。
白い睫毛と青味がかった眼球に黒目のないその目からは女王の視線がどこを見据えているのかはわからないが会話の流れから堂島の言葉に反応した様だった。
『どうやらあなた方はこの世界の事を本当に何も知らない様だな………』
「ああ、我々はこの世界に迷いこんだんだ……教えてくれ……この世界の事を!」堂島が女王アリ1に問いかける。
『迷い込んだ……か?なるほど……だが……この世界に来た時に 赤いクーペという乗り物が近くにいたはずだ?』
「赤いクーペ?妃音さんの車か⁈」
月斗はそう言うと少し考え込んで
「車種は確か……真っ赤なフェアーリー?」
「ん?月斗くん?わざと?わざとなの?そんな車種は無いよ!」
「その赤いフェアーリーも行方不明なんです!」
月斗は堂島の事を無視して女王1に問いかけた。
『うむ!その車種が何かは知らないが……』
「やはりあの女が関係してたのか!」
堂島は気を取り直してそう言うと
「妃音さん⁈悪い人には見えなかったけど……」
月斗が切り返す。
「やけにあの女の事を気にするな…何かあったのか?」
「…スした。キスをしたんだ…」
「⁈?」
「妃音さんが…助手席で息を切らせている俺に自分が飲んだペットボトルの水をくれて…間接キスをしたんだ……」
そう言って少し照れ笑いをする月斗。
「なるほど!男子高校生にとってはそのシチュエーションはドキドキもんだな!そういうのがいい!一歩ずつ階段を上る様な!そういう初々しいのがいいんだ!一気に大人の階段を全力で駆け上がった者もいるがな!」
「…………」
「ずっと踊り場にいる様な人に言われたく無い」って駿が言ってます」空太が代弁する。
堂島はさらにダメージをくらう。
もうライフが残り1だった。
「おい!センズReを!」
梶は空っぽの袋を堂島に見せた。
ありとあらゆる死亡フラグをものともしなかった堂島の心が死んだ……。
『続けていいか?その女の事は詳しくは知らない…だが妖精王の不在と何か関係があるのかも知れない…』
「妖精王⁈その話を詳しく何でも教えて下さい!」ワクワクしながら梶が女王1の語る話に物凄く食いついた。
今度は妖精王と書いてどうじまと呼びはじめた。
死者に鞭打つような仕打ちだ。
「やっと異世界感が出て来ましたよ!」
梶は興奮しながらそう言った。
『………何でもは知らない……だが私が知ってる事だけは答えよう……ここは巨人世界の最果て…そしてココは妖精王の国、御伽世界に最も近い場所……』
「巨人世界?御伽世界?どちらも我々の知っている場所では無い……な……」
『そうここ巨人世界は巨人達の世界。この世界の住人は皆、身の丈50メートルを超す巨人族と更に大型の巨神が存在する。彼らは数こそ我らアリや他の昆虫ほどでは無いが集団で生活をしていて、街や国家、法というものも築いている。そして更に個々も非常に力が強く我らが束になって襲いかかったとしても到底太刀打ちできる相手では無い。もっともこの辺りまで危険を冒してまでやってくる巨人族など居ないが……な』
「…………やはり、巨人が存在していたんだな…。でも何故こんな所まで?危険ってどういう?」
『妖精王の統べる森のせいだ。そこには巨人族は近づこうとはしない』
「妖精王?」
「そうだ……な、あなた方の記憶を読ませてもらった……やはり、妖精王の森の住人……妖精の民と接触をしているな……そして始まりのあの大木。さらにその根本に横たわる髑髏こそが始まりの巨神…始祖ユミルのものだろう………』
to be continued in I will be the Fairy King !(妖精王にオレはなる!)
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