167 / 190
第29章 慶子の悩み
3
しおりを挟む
固まっていた慶子は純子に促されるままに立たされ進一の前に進まされた。進一の前に来ると純子は慶子にささやく。
「さあ、ひざまずいて……」
純子は慶子をひざまずかせると、純子は慶子の腕を離し、進一の横に移動し体を慶子に向けさせた。
「こんな会議室であなたのものを食べてるなんて、あたしたちって、そうとうな美食家かしら?」
進一は純子にいつものように刃向かえない。それでも、なんとか言葉を発した。
「いけないよ、だめだよ、こんなことをしたら、ぼくたちはおしまいだよ…… こんな純子、だめだよ」
あわてる進一を見て純子は満足そうに言った。すでに、お弁当を食べていた昼の人格・純子は消え完全な夜の人格・潤子だった。
「そうね、ここは会議室だから、ドアに鍵がかからないものね。だれかがドアを開けたら…… きっと、びっくりするわねぇー」
純子の言葉を聞いて、進一の足が震えていた。進一には、この震えが破綻する前の恐怖なのか、慶子によって受ける悦楽への期待による震えなのか分からなかった。
慶子はあの時の状況を思い出すと、やはり体が熱くなってきた。職場で進一と仕事をしていると、あの日があったからあたしたちの幸せがあるのだと思う。これも佐々木慎之介の応援によるところが大きい、と慶子は思う。このところ、慎之介のゲーム店へ足が遠のいてしまっていたことに気が付いた。決して慎之介を忘れていたわけではない。慎之介も好きだ。けれども、係長との幸せな時間に集中していただけだ。進一も好きだ。慶子は、体が2つに分けることができたらいいのに、とできもしないことを想像してがっかりした。慶子は慎之介が言っていた多情愛に自分の愛は当てはまるのか訊いてみたくなった。そう思ったら早く慎之介に会いたくなった。
慶子はベッドから立ち上がると、外出用の服に着替え始めた。ここであれこれ悩んでいても仕方ない。慶子は慎之介のいるゲーム店を久しぶりに訪れることにした。
*
「さあ、ひざまずいて……」
純子は慶子をひざまずかせると、純子は慶子の腕を離し、進一の横に移動し体を慶子に向けさせた。
「こんな会議室であなたのものを食べてるなんて、あたしたちって、そうとうな美食家かしら?」
進一は純子にいつものように刃向かえない。それでも、なんとか言葉を発した。
「いけないよ、だめだよ、こんなことをしたら、ぼくたちはおしまいだよ…… こんな純子、だめだよ」
あわてる進一を見て純子は満足そうに言った。すでに、お弁当を食べていた昼の人格・純子は消え完全な夜の人格・潤子だった。
「そうね、ここは会議室だから、ドアに鍵がかからないものね。だれかがドアを開けたら…… きっと、びっくりするわねぇー」
純子の言葉を聞いて、進一の足が震えていた。進一には、この震えが破綻する前の恐怖なのか、慶子によって受ける悦楽への期待による震えなのか分からなかった。
慶子はあの時の状況を思い出すと、やはり体が熱くなってきた。職場で進一と仕事をしていると、あの日があったからあたしたちの幸せがあるのだと思う。これも佐々木慎之介の応援によるところが大きい、と慶子は思う。このところ、慎之介のゲーム店へ足が遠のいてしまっていたことに気が付いた。決して慎之介を忘れていたわけではない。慎之介も好きだ。けれども、係長との幸せな時間に集中していただけだ。進一も好きだ。慶子は、体が2つに分けることができたらいいのに、とできもしないことを想像してがっかりした。慶子は慎之介が言っていた多情愛に自分の愛は当てはまるのか訊いてみたくなった。そう思ったら早く慎之介に会いたくなった。
慶子はベッドから立ち上がると、外出用の服に着替え始めた。ここであれこれ悩んでいても仕方ない。慶子は慎之介のいるゲーム店を久しぶりに訪れることにした。
*
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説



百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる