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第26章 慶子の上京

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 昼の人格・純子は調整役の順子には、あまりにも神々しくまぶしく近づきにくい存在だった。また、夜の人格・潤子は淫らで、順子は気安く付き合うことをためらわれた。
 調整役の人格・順子は板挟みの状態に耐えられず、役目を放棄し消えたい、と毎日思っていた。調整役の順子が昼の人格・純子に一切合切、忠実に夜の人格・潤子の行動をすべて伝えていたら、昼の人格・純子は錯乱し半狂乱になり精神が崩壊していた。それを防御するため人格が3個に分離したのだ。すべての情報を共有していたら分離する必要はなかったはずだ。精神が破綻したくないから分離した。そのことを調整役の人格・順子は十分理解しての行動だった。そういう重要な人格でありながら、いてもいなくてもいいような調整役という役目に順子は嫌気がさした。いなくなれば純子の人格は崩壊する。彼女は常に板挟みの状態でストレスを抱えていた。
 とにかく、夜の奉仕活動が世間に知られたら昼の人格・純子は人々から鬼畜と呼ばれバッシングされることは明らかである。そうならないために、調整役・順子の人格が生まれた。
 当然、慶子が、夜の人格・潤子が提唱する未公開の活動を知ったらこの場から顔を真っ赤にし逃げ去ったであろう。このグループに入らなければ、慶子は両親の築いた小山内グループの承継者として、順風満帆な生活を送っていたに違いない。とんだ人間に見初められたものだ。
 夜の人格・潤子が提唱する未公表の奉仕活動内容を大まかに説明すれば、お年寄りから青少年までの性欲を満足させるサービスだ。エステ、デリヘル、ホテヘル、ソープランド、クラブ、キャバレー、バーなどどこにでもあるピンク産業である。
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