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第24章 幸せな食卓
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進一、慶子、純子の会議室での初めての昼食から数え、3人が顔を合わせる3回目の食事会だ。純子の希望で、食事会に植木が加わっていた。
会議室で3人の昼食をした翌朝、純子は慶子に室長室から電話を入れた。昼食には他の職員の手前、室長が会議室へわざわざ食べに行くのは周囲の目が気になる。自宅でする夕食だったらくつろぎながら食事ができ、慶子の凝った料理をゆっくり楽しめるから、夕食が取りたい、と慶子の手料理をだしに使った純子の提案に、慶子は「係長と過ごせるなら何でもする」と答えた。
「部下同士での会食なのだから、あたしも部下の植木係長を同席させるわ。慶子さんも車の中で、ヒトメボレを使ってフルフルした方だからかまわないわよね?」
フルフルとはヒトメボレの基本機能の一つである。通常、スマホアプリではフルフルして連絡先を交換する機能があるが、ヒトメボレは心を交換するのである。だから、心が結合するということは友だち以上の関係になれる。友だち以上であり、友だち以上の何になれるかは相手と本人次第だ。
慶子が運転する車の中で、純子が植木にヒトメボレを使って心の交流をしようとしたら、慶子までスマホを差し出してきて、3人でフルフルしてしまった。3人でフルフルしたのは初めてのことだ。ぼう然とした純子はこのとき慶子に言いたかった。
「あなた、何してくれたの?」
純子はあのとき、植木が若い慶子に心を奪われてしまうのではないか、と恐れた。しかし、ヒトメボレはそこまで見境なくヒトメボレにする力はないと見えた。その後、植木が常に純子に寄り添ってくれていたから純子はとても気分が良かった。
「植木さん、あたしのことが好きになったのね?」
純子は後部座席に座る植木に体を寄せた。植木は驚いた顔はしたが、体を避けたり、嫌がったりしなかった。もともと、植木は数年前から純子の存在を知って興味をいだいていた。彼は純子のことを高ねの花と思っていた。純子が既婚者とも知っていたが、彼は順子と同じ部署になれて飛び上がるようなうれしさだった。そんな植木の気持ちを純子は知る由もなかった。このとき、純子はいつか植木に「大好きよ」と告白し、自分のパートナーにしようと決心した。夫がいるというのに。
会議室で3人の昼食をした翌朝、純子は慶子に室長室から電話を入れた。昼食には他の職員の手前、室長が会議室へわざわざ食べに行くのは周囲の目が気になる。自宅でする夕食だったらくつろぎながら食事ができ、慶子の凝った料理をゆっくり楽しめるから、夕食が取りたい、と慶子の手料理をだしに使った純子の提案に、慶子は「係長と過ごせるなら何でもする」と答えた。
「部下同士での会食なのだから、あたしも部下の植木係長を同席させるわ。慶子さんも車の中で、ヒトメボレを使ってフルフルした方だからかまわないわよね?」
フルフルとはヒトメボレの基本機能の一つである。通常、スマホアプリではフルフルして連絡先を交換する機能があるが、ヒトメボレは心を交換するのである。だから、心が結合するということは友だち以上の関係になれる。友だち以上であり、友だち以上の何になれるかは相手と本人次第だ。
慶子が運転する車の中で、純子が植木にヒトメボレを使って心の交流をしようとしたら、慶子までスマホを差し出してきて、3人でフルフルしてしまった。3人でフルフルしたのは初めてのことだ。ぼう然とした純子はこのとき慶子に言いたかった。
「あなた、何してくれたの?」
純子はあのとき、植木が若い慶子に心を奪われてしまうのではないか、と恐れた。しかし、ヒトメボレはそこまで見境なくヒトメボレにする力はないと見えた。その後、植木が常に純子に寄り添ってくれていたから純子はとても気分が良かった。
「植木さん、あたしのことが好きになったのね?」
純子は後部座席に座る植木に体を寄せた。植木は驚いた顔はしたが、体を避けたり、嫌がったりしなかった。もともと、植木は数年前から純子の存在を知って興味をいだいていた。彼は純子のことを高ねの花と思っていた。純子が既婚者とも知っていたが、彼は順子と同じ部署になれて飛び上がるようなうれしさだった。そんな植木の気持ちを純子は知る由もなかった。このとき、純子はいつか植木に「大好きよ」と告白し、自分のパートナーにしようと決心した。夫がいるというのに。
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