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第23章 幸せの共有

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 今まで黙っていた進一が声を出した。
「しかし、なんできみの仕事を家庭に持ち込むのかな? まあ、親交を重ねるのはいいと思うよ、植木さんは腹心の部下なのだろうからね?」
「あら、慶子さんだって、あなたには腹心の部下なのでしょ? 慶子さんからいろいろと聞いているわ。今日あたり、これからのこと、ざっくばらんに話し合いましょうよね」
 ピンポーン そこへ植木が来たと見え、玄関ドアの呼び鈴が鳴らされた。
「彼が来たわ、食べながら話しましょうね」
 純子は話を中断させ、植木を迎い入れるため、玄関に向かった。
「毎週、ずうずうしくお相伴にあずかってすみません。今日も慶子さんの手料理、楽しみです」
 リビングにいったん入った植木は、勝手を知ったる他人の家とでも言うように、台所にやってきて進一と慶子にあいさつをした。
「あたしも腕を振るいたい、とは思うのですけど、慶子さんのおいしい料理をいただくととても、とても、口には出せませんよ。せいぜい、ワインを持参するくらいです」
「植木係長ったら、いやだわ、まじ、プレッシャー掛けないでくださる? ワインをいつもありがとうございますぅー」
「慶子さん、プレッシャーだなんて…… そんな心にもない謙遜して…… 若いけど大したものよね、相当、料理の英才教育を受けてきたのね?」
 純子が植木に慶子の生い立ちをほのめかす。植木は改めて慶子の方を見つめて言う。
「小山内さんは去年入所されたのですよね? 先日、今田室長とは大学の先輩後輩の仲だとお聞きしましたけど、それまで一度もうちの部署には顔を見せられませんでしたけど? 少しだけ不思議に思っています」
「植木さん、純子さまってひどい方なんですよぉー あきれるほどの、秘密主義なんです。あたしがここの役所へ入所するまでここに勤めていることを教えてくれなかったんですよぉー」
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