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第23章 幸せの共有
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勤務先の仕事を終え人格が統合された今田純子は帰宅し、寝室の化粧台の前に座っていた。キッチンで夫が夕食の支度をしているのだろうか、包丁の小気味良い音が聴こえてくる。タンタンタンタン 純子が身支度を終え、寝室を出た。台所へ進むと、小山内慶子が進一のそばで一緒に料理を作っている姿が見えた。小気味良い包丁の音は慶子が出していたと分かる。純子はそれを見て大きな声を上げた。
「あなた? どういうつもり?」
「お帰りなさい、純子さま、お邪魔しています……」
慶子は、純子の問い掛けを無視しいつものように快活に答えた。進一の部署は超過勤務がなく、ほぼ定時に終わる。二人は同じ部署で上司と部下だから一緒に退勤するのだろう。だからと言って、この女子は妻帯者の家に帰ってくるのか? 昼の人格・純子が楽しそうに夕食を作る慶子をにらんだ。まだ、純子の人格が完全に統合されるためには時間が掛かる。
昼の人格・純子は戸惑った。これは嫉妬なのだろうか? 夜の人格・潤子は嫉妬などしない。自由に生きている彼女は、こういう状況を楽しむに違いない。まだまだ、未熟だな、と昼の人格・純子は反省する。それもそのうち統合されれば、そんな気持ちは消えるに違いない。そのときこそ、わたしは喜んで幸せを受け入れる。周囲も幸せなのだから。慶子より、自分が劣るとすれば、若さだけ。若いとか、他人との比較すら無意味。みな、何も考えることもなく幸せを感じる。
夜の人格・純子は慶子と意気投合した。二人は似た者同士なのだ。そう思うとうらやましい。先輩後輩として付き合う関係は、昼の人格・純子にはなかった。周囲からは女神様、神様、仏様、弁天様、観音様などと崇められることは同レベルの関係ではない。夜の潤子は慶子という仲間を得た。統合されたとき、慶子は、わたしとも、友だちになってくれるのか。夜の人格・潤子のおかげで、今までの昼の純子は難しいかじ取りを強いられる区政の懸案事項を最善の方向に導くことができた。大抵の人間には息抜きが必要だ。心のストレスは体の抵抗力を衰えさせる。
「あなた? どういうつもり?」
「お帰りなさい、純子さま、お邪魔しています……」
慶子は、純子の問い掛けを無視しいつものように快活に答えた。進一の部署は超過勤務がなく、ほぼ定時に終わる。二人は同じ部署で上司と部下だから一緒に退勤するのだろう。だからと言って、この女子は妻帯者の家に帰ってくるのか? 昼の人格・純子が楽しそうに夕食を作る慶子をにらんだ。まだ、純子の人格が完全に統合されるためには時間が掛かる。
昼の人格・純子は戸惑った。これは嫉妬なのだろうか? 夜の人格・潤子は嫉妬などしない。自由に生きている彼女は、こういう状況を楽しむに違いない。まだまだ、未熟だな、と昼の人格・純子は反省する。それもそのうち統合されれば、そんな気持ちは消えるに違いない。そのときこそ、わたしは喜んで幸せを受け入れる。周囲も幸せなのだから。慶子より、自分が劣るとすれば、若さだけ。若いとか、他人との比較すら無意味。みな、何も考えることもなく幸せを感じる。
夜の人格・純子は慶子と意気投合した。二人は似た者同士なのだ。そう思うとうらやましい。先輩後輩として付き合う関係は、昼の人格・純子にはなかった。周囲からは女神様、神様、仏様、弁天様、観音様などと崇められることは同レベルの関係ではない。夜の潤子は慶子という仲間を得た。統合されたとき、慶子は、わたしとも、友だちになってくれるのか。夜の人格・潤子のおかげで、今までの昼の純子は難しいかじ取りを強いられる区政の懸案事項を最善の方向に導くことができた。大抵の人間には息抜きが必要だ。心のストレスは体の抵抗力を衰えさせる。
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