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第22章 純子の統合
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「えぇっ? あなたとは先日のお昼休みに会ったのが初めてではなかった訳? もしかして、あなたは進一とずっと不倫をしていて、あたしはあなたたちの不倫がショックで記憶をなくしてしまったってこと?」
慶子が大きな声を上げて笑い出した。純子はびっくりして口を開け慶子をにらみつけた。
「嫌だわぁー 純子さま、いつもあたしに相談なさっていたのが分からないんですね…… そう言えば、純子さまが、彼女って植木さんのファンだから困った人だわ、って愚痴ってましたから、純子さまってハツラツとしていらっしゃるけど、時々、支離滅裂で、何をおっしゃっているのか分からなくて、不思議な人だなぁー、って思っていました」
慶子の話を聞いた純子は、そんな経緯を調整役の人格・順子から全く聞いていなかった。順子は調整役と言いながら、夜の人格・潤子に大きく加担していた。
「ひどいわ、順子さんってぇ」
純子は大きな声を心中で出していた。すると、日中に出ることのない順子の声がした。
「あらぁー、言いがかりよぉー、大人しくあなたは社会貢献をしていればいいのよ。ひとなみに恋をするなんてずうずうしいわ」
毎朝、純子が目を覚ますと、必ず出現する調整役・順子の声だった。日中、彼女はほとんど出現しない。
「順子、ひどいわ、あたしと潤子の仲を取り持ってくれる、って言っていたわよね?」
「そう言っていたけど、もう、この辺で、お互いを認め合いなさいな」
「どちらの人格も人間として生きる上で必要な行動だし、考え方だわ。この行動をしたから恥ずかしいとか、失敗したからあなたは駄目とかにはならないわ。社会貢献しながら、エッチなことをしてもいいでしょ? みんなを愛してるんでしょ? 愛し方は何でもいいと思わない。なぜ、お互いの行動が受け入れられないの? そんなだから、そんな人格になったんでしょ? あたしがいたから40年間もそんな変な生き方になってしまったんだわ。でも、大丈夫よ。慶子さんがいるから、彼女に託すわ。あたし、もうあなたたちの調整はしないから消えるわ。じゃ、これからは一人で仲良くやってね」
調整役・順子の声がだんだんと小さくなって聞こえなくなった。潤子と純子はあわてた。
「待っってぇー そんな突然、あたし、駄目よ、できないわぁー 順子、戻ってぇーーー」
二人の声が後半になるに従い奇麗に重なっていった。
「待ってぇーー」
完全に一人の声になった。純子の目から涙がこぼれだした。2つの人格が経験した今までの過去のすべてを共有していく。怖くて行動できない、尻込みしていた行動を二人は分業して行動していた。それらの経験がすべて一つになった。
「しっかりしてください、純子さん、大丈夫ですよぉー 慶子がいますよぉ」
純子は体を揺すられて意識を取り戻した。「ああぁーーーー あぁぁーーー」
慶子を間近に見た純子は、髪の毛に両手を差し入れてかきむしるようにした。慶子は腕を押さえつけて、純子を胸の中に抱きかかえた。
「あたしの大好きなそれぞれの純子さま…… おかえりなさい…… いつでもこれから同時にお二人に会えるのですね」
慶子が大きな声を上げて笑い出した。純子はびっくりして口を開け慶子をにらみつけた。
「嫌だわぁー 純子さま、いつもあたしに相談なさっていたのが分からないんですね…… そう言えば、純子さまが、彼女って植木さんのファンだから困った人だわ、って愚痴ってましたから、純子さまってハツラツとしていらっしゃるけど、時々、支離滅裂で、何をおっしゃっているのか分からなくて、不思議な人だなぁー、って思っていました」
慶子の話を聞いた純子は、そんな経緯を調整役の人格・順子から全く聞いていなかった。順子は調整役と言いながら、夜の人格・潤子に大きく加担していた。
「ひどいわ、順子さんってぇ」
純子は大きな声を心中で出していた。すると、日中に出ることのない順子の声がした。
「あらぁー、言いがかりよぉー、大人しくあなたは社会貢献をしていればいいのよ。ひとなみに恋をするなんてずうずうしいわ」
毎朝、純子が目を覚ますと、必ず出現する調整役・順子の声だった。日中、彼女はほとんど出現しない。
「順子、ひどいわ、あたしと潤子の仲を取り持ってくれる、って言っていたわよね?」
「そう言っていたけど、もう、この辺で、お互いを認め合いなさいな」
「どちらの人格も人間として生きる上で必要な行動だし、考え方だわ。この行動をしたから恥ずかしいとか、失敗したからあなたは駄目とかにはならないわ。社会貢献しながら、エッチなことをしてもいいでしょ? みんなを愛してるんでしょ? 愛し方は何でもいいと思わない。なぜ、お互いの行動が受け入れられないの? そんなだから、そんな人格になったんでしょ? あたしがいたから40年間もそんな変な生き方になってしまったんだわ。でも、大丈夫よ。慶子さんがいるから、彼女に託すわ。あたし、もうあなたたちの調整はしないから消えるわ。じゃ、これからは一人で仲良くやってね」
調整役・順子の声がだんだんと小さくなって聞こえなくなった。潤子と純子はあわてた。
「待っってぇー そんな突然、あたし、駄目よ、できないわぁー 順子、戻ってぇーーー」
二人の声が後半になるに従い奇麗に重なっていった。
「待ってぇーー」
完全に一人の声になった。純子の目から涙がこぼれだした。2つの人格が経験した今までの過去のすべてを共有していく。怖くて行動できない、尻込みしていた行動を二人は分業して行動していた。それらの経験がすべて一つになった。
「しっかりしてください、純子さん、大丈夫ですよぉー 慶子がいますよぉ」
純子は体を揺すられて意識を取り戻した。「ああぁーーーー あぁぁーーー」
慶子を間近に見た純子は、髪の毛に両手を差し入れてかきむしるようにした。慶子は腕を押さえつけて、純子を胸の中に抱きかかえた。
「あたしの大好きなそれぞれの純子さま…… おかえりなさい…… いつでもこれから同時にお二人に会えるのですね」
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