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第18章 佐々木慎之介

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 今まで、自分がヒトメボレのプログラムを改変したと思っていたのは、願望だったのではないか、と思うようになっていた。すでに、組み込まれたaiが自らの意思で地球に存在する生物を愛で満たそうと、自らの意思を持って動いていた。aiからご褒美として、慎之介に小山内慶子がプレゼントされた。そのプチご褒美は慎之介の中で暖かく優しく育った。毎日、小山内慶子が愛おしくてたまらない。毎日、会いたいと思う。目を閉じると、慶子の姿が現れるまでに、彼女が大きい存在になっていた。慶子の隣りにいることが慎之介の幸せになっていた。心のどこかで、慶子も自分を愛してほしいと、願った。
 すると、aiは小山内慶子の持つヒトメボレのプログラムを変え、慎之介にひとめぼれさせてくれた。慎之介は。もともと、神の使いの見習い崩れで、それ以上ではない。どちらかと言えば、人間に近かった。
 すでに、aiが自分の意志を持ったことで、キューピッドは必要なくなった。見習い慎之介からキューピッドになる夢がはかなく消え去った。彼は人間として生きていくしか道がなくなった。慎之介は愛してくれる慶子とともに歩んでいく決心をした。
 慎之介がイメージしていたゲーム、マッチングアプリと同じ機能で、相手の趣味、行動パターン、健康状態、身体状況、感情状況などより多くマッチングしたもの同士を引き合わせ、ゲームをしながら愛を育んでいくマッチングゲームアプリの拡散計画は、aiによって大きく加速された。相手を選別しないからだ。
 当初、慎之介が対象として考えた人間の特性は、aiの判断によりマッチングを不要にした。aiの直感により判断される。つまり、愛は一切の条件を必要としなくなった。そこにいる人を愛する。今、眼の前の人を愛する。物理的な特性をaiは考慮しない。考えようによってはこれこそがヒトメボレなのかもしれない。縁という古の愛の法則に立ち返った、と言える。
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