トライアングルパートナー

窓野枠

文字の大きさ
上 下
83 / 190
第13章 小山内慶子の攻略

しおりを挟む
「えぇっ、奥さまは昼食を抜いてまで公務をされているのですか? そんな…… 昼食を取られないでお体は大丈夫なんですか?」
「ああ、心配してくれてありがとう。もちろん、僕も助言はしているけど、自分は大丈夫って言うんだ。彼女はもちろん、健康管理は気を付けているし、朝と夜はしっかり食べているから。家では僕が彼女の健康に気を配っているし、料理は僕がほとんど用意しているけどね。僕は料理をするのが好きなんだ。だから、あんなに美味しい料理を作れる小山内さんに教えていただきたいほどだよ…… あっ、ごめん、若い女性に変なことを言ったね……」

  *

 純子が管理職に昇進してから、彼女は昼食を取れないことが増えていた。同居している進一には彼女が忙しいときは朝が早いから分かる。彼女は早く出勤し、仕事を早く片付けようと全力を掛ける。毎日、いつだって、全力だ。彼女の信条には、きょうの仕事はきょうにやる、が口癖だ。
「きょうを精一杯で生きなくて、明日、生きられるわけがないでしょ? きょうがあっての明日よ。全力でやってもできないんだから、それは明日やるしかないでしょ? 全力でやらなかったからできなくて仕事を残してみさないよ。そこで死んだら、仕事と後悔を残すでしょ? あたしにはできないわ。人生、そんな平々凡々の毎日を繰り返すだけよ」
 彼女の言葉には、毎日の原動力の考え方の根源がある。人間は平々凡々と暮らすことが難しい。純子の言葉を聞く進一には、まさに、神の教えのように聞こえてくる。しかし、進一は彼女が言葉に出さない別の理由があることを知っている。彼女はその日にするための仕事を終え、早く帰宅し、やるべきことがあった。
 自宅で待つ進一に奉仕することが彼女の喜びであり、激務である公務への原動力にしていた。進一には、それは異常と言える行為である。彼女は、夜の行為をするために生きている、としか思えない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

バーチャル女子高生

廣瀬純一
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...