トライアングルパートナー

窓野枠

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第10章 転落から悟りへ

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 慎之介は額を床に付け、エロMエッサイ無の声を待った。
「慎之介ちゃーん いいよー その意気やー がんばりぃーな それと、来月のクリスマスデート難民はゼロにしてなぁー 特にあおい町に住む小山内慶子はしっかり、ホローをしてやんなさいねぇー あの子の笑顔は最高だから、神々のウケがいいからなぁー 悲しまんよーに 慎之介ちゃんさー ちゃんと対応せなあかんよぉーー その結果がいまいちだと…… だなぁー いつも温厚なわしでも、プチィッ と堪忍袋の緒が切れる、ってやつがさ、プチ 切れてしまうかもなぁー じゃー 慎之助ちゃん、気合を入れてーー 気張れやなぁーーーーーーー」
 エロMエッサイ無様の声が遠くなっていった。慎之介はあたりを見回してから大きく息を吸った。
「だれだよなぁー 持てないのを人のせいに転嫁するやつはァー 小山内慶子だぁー 早速、会わなーいかんかぁー あれ? エロMエッサイ無様のなまりがうつったぁー なんであの方は、容姿と話し方のギャップが激しいんだぁー しゃべらないと、めちゃ怖いもんなぁー 邪神とか言われているけど、めちゃ、いい神さまだよぉー ほんと、がんばりますぅー」
 消滅する慎之助を助けてくれたエロMエッサイ無様には頭の下がる慎之介だった。一息ついて、店長席に座ると、小山内慶子のプロフィールが書かれた紙が机の上に置かれていた。プロフィールの顔に覚えがあった。彼女は開店第一号のお客様だ。すごく喜んで帰っていった笑顔のすてきな女性だ。慎之助の顔がほほ笑みに変わった。
「あの子かぁー かわいい子だったなぁー 開店から1カ月がたったな。そろそろ、モニターの報告をしに来てくれる頃だよなぁー どんな恋バナを聞かせてくれるか、楽しみだなぁ」
 彼はだれもいない玄関を見つめた。ニコニコ愛嬌を振りまく慶子が現れる姿を想像していた。
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