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第7章 小山内慶子

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「こんな変な妄想をするのはすべて純子のせいだよ」
 彼は自分の不徳な妄想をすべて妻が主導する営みのせいにして自分は聖人君子のごとく思い描く。実は、この日常から逸脱した妄想こそ、8ピッドが作ったリア・ラブゲームのスマホ、ヒトメボレの隠れた副作用であることを8ピッドすら分かっていない。リア・ラブゲームは8ピッドのプログラムどおり、精神的な愛の欲求を増幅させる装置が正常に働いていた。しかし、その愛を増幅する装置の副作用として、体の性欲を同時に異常化させていた。ゲームのプログラムのバグを8ピッドはまだ検証していなかった。
「係長 お仕事、お疲れさまー」
 彼は、あの天使のような笑顔をしながら、こんな言葉を掛けられたら速攻で死ぬな、と心中で苦笑いする。
 彼女の胸は健康そのものの発育で、身長は進一の鼻の辺りで、短めの黒い柔らかな髪の毛が首をふるたびにサラサラと揺れる。声は低からず高からず、ちょっとかすれ気味、ハスキーな声がさらに魅力か。彼はこのかすれ声を聞いたとき、彼女の唇を自分の唇でふさいでしまいたい衝動にかられる。彼女は美人ではないが、いわゆる、かわい系、と言われるタイプだ。この日は、濃紺の膝上10センチのミニスカートと白色のブラウスを着ている。スカートとおそろいの濃紺のブラジャーが、薄いブラウスを通して透けて見えてしまう。進一は慶子の傍に今、立っている。彼女の乳房の膨らみとくぼみまでもが、ブラウスのやたら大きく開いた襟から見えていた。彼はゴクンとつばを飲む込む。
「この子は何を考えて、そんなファッションで役所に来るのだ。襟が開きすぎだろ? 僕はうれしくて見てしまうだろ? きみはなんてサービスが旺盛なんだ」
 進一は心中でつぶやきながら、彼女の体の線を見つめている。総じて、どこを取っても、体だけは、進一の好みの体形だった。見ている限り、最高のエロい女だ。これで、心が大和なでしこだったら、進一は文句なしの理想の浮気相手にしたい女ナンバーワンと勝手にランキングしていた。
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