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第4章 リア・ラブゲーム
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天使見習いの落ちこぼれである8ピッドは、一人でゴッドゲーム店の開店準備をしていた。商品はただ1点の「リア・ラブゲーム」というアプリ付スマートホンである。
その商品を売るため、幅、奥行きき30cmのガラスケースを高さ1mほどの白い台座の上に載せ、幅、奥行き10mの店舗の中央にセッティングした。床は商品が映えるように暗い色にした。黒より暗い色。だれもがこの床に立つと、深い底なし沼に落ちそうな気持ちになって、ショーケースにつかまろうとする。そして、ショーケースの中のリア・ラブゲームに出合いさらなる深い闇に飲まれていくのだ。不毛の愛の中に漂いながら、いつに流れ着くともなく流されていく不毛の愛へと進む。
目を閉じた彼はイメージを膨らませる。ふっと笑いながら息を大きくはく。玄関に大きな歩調で歩いていき、ドアの前できびすを返す。商品は1個しかないから店に入ればすぐに目に付く。
「ビバ ハッピー リア・ラブゲーム ディア エロMエッサイ無さま」
彼は両手を頭上より高く上げ、感極まり声を上げる。ショーケースは四方からライトアップし、床からケースが浮き上がって見えるよう工夫した。まさに未来の不滅の愛を連想させる演出となっている。どこか恐怖さえ感じる。彼はこの商品を手にした人間を思い描いて身震いする。
この建物は幅5mほどある道路に面した商店街に建つ。この店から1キロほどにある住宅街の住民は駅まで、このあおい商店街を必ず通る。だれもがこの店の前を通るが、だれにでも見えるというわけではない。それはこの店が神の息の掛かった店だからだ。神より選ばれし者にしか見えない。それもただならぬ神といえる邪神だ。愛に飢えた子羊をこの店に「リア・ラブゲーム」という餌で呼び寄せる。呼び寄せられ捕獲され飼いならされた子羊は、さらなる愛に迷える子羊を引き寄せる。いつしかこの世は禁断の愛で満たされる。
「ビバ ウエルカム エロMエッサイ無さま リア・ラブゲーム」
喚起した彼はまたしても両手を頭上に大きく掲げる。
「ビバ エロMエッサイ無さま ビバ エロMエッサイ無さま ビバ エロMエッサイ無さま」
彼は彼の主の名前を大きな声を上げて叫んだ。特に、邪神界の存在は絶対に知られてはならない。
「この計画は人間に知られてはならない」
どこからともなく低い声が響いた。彼はその場で天界を見上げて床にひれ伏した。しばらくして、彼は額を上げてほほ笑みつぶやいた。
「邪神界へ迷える愛に飢えた子羊たちよ ウエルカム」
その商品を売るため、幅、奥行きき30cmのガラスケースを高さ1mほどの白い台座の上に載せ、幅、奥行き10mの店舗の中央にセッティングした。床は商品が映えるように暗い色にした。黒より暗い色。だれもがこの床に立つと、深い底なし沼に落ちそうな気持ちになって、ショーケースにつかまろうとする。そして、ショーケースの中のリア・ラブゲームに出合いさらなる深い闇に飲まれていくのだ。不毛の愛の中に漂いながら、いつに流れ着くともなく流されていく不毛の愛へと進む。
目を閉じた彼はイメージを膨らませる。ふっと笑いながら息を大きくはく。玄関に大きな歩調で歩いていき、ドアの前できびすを返す。商品は1個しかないから店に入ればすぐに目に付く。
「ビバ ハッピー リア・ラブゲーム ディア エロMエッサイ無さま」
彼は両手を頭上より高く上げ、感極まり声を上げる。ショーケースは四方からライトアップし、床からケースが浮き上がって見えるよう工夫した。まさに未来の不滅の愛を連想させる演出となっている。どこか恐怖さえ感じる。彼はこの商品を手にした人間を思い描いて身震いする。
この建物は幅5mほどある道路に面した商店街に建つ。この店から1キロほどにある住宅街の住民は駅まで、このあおい商店街を必ず通る。だれもがこの店の前を通るが、だれにでも見えるというわけではない。それはこの店が神の息の掛かった店だからだ。神より選ばれし者にしか見えない。それもただならぬ神といえる邪神だ。愛に飢えた子羊をこの店に「リア・ラブゲーム」という餌で呼び寄せる。呼び寄せられ捕獲され飼いならされた子羊は、さらなる愛に迷える子羊を引き寄せる。いつしかこの世は禁断の愛で満たされる。
「ビバ ウエルカム エロMエッサイ無さま リア・ラブゲーム」
喚起した彼はまたしても両手を頭上に大きく掲げる。
「ビバ エロMエッサイ無さま ビバ エロMエッサイ無さま ビバ エロMエッサイ無さま」
彼は彼の主の名前を大きな声を上げて叫んだ。特に、邪神界の存在は絶対に知られてはならない。
「この計画は人間に知られてはならない」
どこからともなく低い声が響いた。彼はその場で天界を見上げて床にひれ伏した。しばらくして、彼は額を上げてほほ笑みつぶやいた。
「邪神界へ迷える愛に飢えた子羊たちよ ウエルカム」
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