16 / 190
第2章 管理職昇任試験
1
しおりを挟む
今田進一が役所に登用されて、初めての昇任試験を受けたが不合格、そして、1年が経ち、2度目の受験だった。去年、彼は初めての試験だし、1発合格はありえないと思っていた。だから、不合格は予想していた。しかし、彼は今年は別だった。妻に刺激を受け、試験に備え、受験対策に力を入れた。目立たないフツメンの彼でも、バリバリキャリアウーマンの女性とひとつ屋根の下にいるのだから、多少の功名心は生まれて当然だった。組織としては上司となっている妻に、少しは追いつきたい、と少なからず思っていた。
「純子、輝いてるなぁ」
彼は役所のイベントで彼女のもとへ部下が近づくなり指示を出している彼女の姿を見てつぶやいた。だから、彼女に自分も少しは近づきたい、と思った。入所当初から期待されていた妻は順調に昇格し役職の位置を一歩ずつ上げた。彼女の学歴、能力からすれば、当然の結果だ。
あるとき、彼は支援で行ったイベント会場で彼女の部下が会話している声が聞くとはなしに耳に入った。
「今田課長って輝いて見えますよね? オーラっていうんですか?」
会議の準備に出た新人職員は、大抵、彼女を初めて見ると、決まってだれもが同じ言葉を先輩職員に言う。彼女の自然に放つオーラにだれもが魅了された。
「きれいな方ですねぇ」
「ああ、それに性格の良さもピカイチだからね」
「え? どんなふうにですか?」
「ここだけの話、困った人を助ける女神さまとでも言えばいいのかなぁ」
「なんですか? それ?」
理由を聞かれたベテラン職員は新人職員の耳元に口をゆっくり近づけて声を低くして言う。
「きみもだんなさんを見れば分かるよ」
「はぁー?」
「人を外見で判断しない人、って、まさに彼女のことだな、って、思うから」
「え? なんですか、それ? ますます分かりませんよぉー」
「純子、輝いてるなぁ」
彼は役所のイベントで彼女のもとへ部下が近づくなり指示を出している彼女の姿を見てつぶやいた。だから、彼女に自分も少しは近づきたい、と思った。入所当初から期待されていた妻は順調に昇格し役職の位置を一歩ずつ上げた。彼女の学歴、能力からすれば、当然の結果だ。
あるとき、彼は支援で行ったイベント会場で彼女の部下が会話している声が聞くとはなしに耳に入った。
「今田課長って輝いて見えますよね? オーラっていうんですか?」
会議の準備に出た新人職員は、大抵、彼女を初めて見ると、決まってだれもが同じ言葉を先輩職員に言う。彼女の自然に放つオーラにだれもが魅了された。
「きれいな方ですねぇ」
「ああ、それに性格の良さもピカイチだからね」
「え? どんなふうにですか?」
「ここだけの話、困った人を助ける女神さまとでも言えばいいのかなぁ」
「なんですか? それ?」
理由を聞かれたベテラン職員は新人職員の耳元に口をゆっくり近づけて声を低くして言う。
「きみもだんなさんを見れば分かるよ」
「はぁー?」
「人を外見で判断しない人、って、まさに彼女のことだな、って、思うから」
「え? なんですか、それ? ますます分かりませんよぉー」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる