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第12章 始まり
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勘太郎は、浩志のガールフレンドが痴漢をした女性、と知り当惑した。ガールフレンドに痴漢をしたことが浩志に知られたら、と考えると何も手に付かなかった。
「浩志にどう言い訳したらいいんだ…… いや、言い訳なんてできない…… 痴漢行為そのものが非難されて当然なのに…… あり得ないことに…… 浩志の彼女に痴漢をしていたなんて…… あああ…… どうしよう」
勘太郎は寝室のベッドに腰掛け両手で頭を抱え考えていた。否、考えている振りをしているだけで対応策は決まっていた。ガールフレンドに会ったとき心から謝罪する。そういう結論を出しながらも「彼女が仁美に似ていなければこんな間違いを起こさなかった」と、心中で何度も後悔ばかりがよみがえる。彼女を見て20年以上眠っていた性欲が起きた。そして、やらかしてしまった。
勘太郎は痴漢という自己中心的な欲望を、己の卑劣極まりない犯罪を、衝動が抑えられず本能に負けて実行していた。彼女の体をなで回し、極めつけは手を握ってしまった。俺は野獣ではない。人間だ。しかし、本能に負けた結果が痴漢行為だった。こういう性犯罪者は本能が消失するまで隔離したほうがいいと人ごとのように思った。
勘太郎は己の痴漢事件を振り返り、実に狡猾、巧妙に痴漢を実行していた、と自賛した。痴漢行為をあたかも事故のように偶発的にしてしまったように見せ掛けた。
「俺は悪くない」
自分を正当化する言葉が口をついて出る。ネームプレートを彼女の体に絡めたり、手提げカバンを彼女の前の足下に落下させたり、さも、偶発的な事故を装った。とっさに思い付いた計画的な性犯罪は天性の才能ではないか。
偶発事故を口実に、彼は彼女の体の至る所をなで回して歓喜していた。20年以上、彼は変質的な性癖を隠してきたが、ただ単に、仁美と似ている女性と出会ったことによって変態性が鎌首をもたげた。
勘太郎の本性は変態であり、変質者である。その変質的な痴漢行為をガールフレンドにしたことが明らかにされたとき、浩志は父に失望しこの家を出るに違いない。そして、ここへ二度と戻ることはないだろう。
「浩志にどう言い訳したらいいんだ…… いや、言い訳なんてできない…… 痴漢行為そのものが非難されて当然なのに…… あり得ないことに…… 浩志の彼女に痴漢をしていたなんて…… あああ…… どうしよう」
勘太郎は寝室のベッドに腰掛け両手で頭を抱え考えていた。否、考えている振りをしているだけで対応策は決まっていた。ガールフレンドに会ったとき心から謝罪する。そういう結論を出しながらも「彼女が仁美に似ていなければこんな間違いを起こさなかった」と、心中で何度も後悔ばかりがよみがえる。彼女を見て20年以上眠っていた性欲が起きた。そして、やらかしてしまった。
勘太郎は痴漢という自己中心的な欲望を、己の卑劣極まりない犯罪を、衝動が抑えられず本能に負けて実行していた。彼女の体をなで回し、極めつけは手を握ってしまった。俺は野獣ではない。人間だ。しかし、本能に負けた結果が痴漢行為だった。こういう性犯罪者は本能が消失するまで隔離したほうがいいと人ごとのように思った。
勘太郎は己の痴漢事件を振り返り、実に狡猾、巧妙に痴漢を実行していた、と自賛した。痴漢行為をあたかも事故のように偶発的にしてしまったように見せ掛けた。
「俺は悪くない」
自分を正当化する言葉が口をついて出る。ネームプレートを彼女の体に絡めたり、手提げカバンを彼女の前の足下に落下させたり、さも、偶発的な事故を装った。とっさに思い付いた計画的な性犯罪は天性の才能ではないか。
偶発事故を口実に、彼は彼女の体の至る所をなで回して歓喜していた。20年以上、彼は変質的な性癖を隠してきたが、ただ単に、仁美と似ている女性と出会ったことによって変態性が鎌首をもたげた。
勘太郎の本性は変態であり、変質者である。その変質的な痴漢行為をガールフレンドにしたことが明らかにされたとき、浩志は父に失望しこの家を出るに違いない。そして、ここへ二度と戻ることはないだろう。
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