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天照大神
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「高千穂市教育委員会から発掘調査の協力依頼が届いています」
東京考古学研究所長である 坂口清太郎の前に助手の窪田誠一 が封筒を手にしながら目を輝かせて言った。
「高千穂教育委員会から? 確か九州だよね」
坂口が窪田から書類を受取り読み始めた。驚愕の内容が書かれていた。
「窪田君、大変だ。貝塚跡から小型宇宙船が出土したらしい」
坂口はその書類と研究資料の束を一通り目を通すと、考え込んだ。
「先生、何か?」
窪田も坂口の読んでいた書類を見た。
「先生、高千穂は 天照大神が降臨したという伝説の地域ですよね、もしかすると、天照大神は宇宙からやって来たいうことでしょうか?」
窪田は先ほどから押し黙ったままの坂口の言葉を待った。
「分からん、全く、不可思議だ。そんなあり得ないことが実際にあったということなのか? 委員会は君にも同行もしてもらいたいということだ」
坂口の脳を持ってしてもこの状況を分析することは不可能だった。現地に行ってその宇宙船を見ようと、坂口と窪田の二人は九州に向かって研究所を飛びだした。
*
高千穂駅に到着した二人を高千穂教育委員会の委員長・ 新藤健一が出迎えた。
「お越しいただいて光栄です」
挨拶もそこそこ二人は宇宙船の保管されている施設に案内された。
「これです」
二人が見た宇宙船は手のひらに乗るサイズであった。
「随分小さいですね、このサイズに何か訳があるんでしょうか?」
「研究中の貝塚遺跡に埋まっていたため、無傷で回収できました」
坂口は30㎝四方のガラスケースに入った宇宙船を腰を屈めてのぞき込んだ。
「しかし、何か見たことのあるような宇宙船ですね」
坂口が探査船から新藤に顔を向けて訊いた。
「これはアメリカのボイジャー1号という探査船の写真です」
新藤が一枚の写真を坂口の前に差し出した。
「この探査船は約40年前に発射され、現在も航行中の探査船です。この本体の部分の形がこれに酷似しています」
坂口は写真とケースの中の宇宙船を見比べた。写真のボイジャーはアンテナやら、お皿のような物が飛びだしていて、その中心に10面体をした箱がある。坂口は手をあごに当てしばらく考えて言った。
「変ですね。40年前のボイジャーの一部と同じデザインの物が、縄文時代の貝塚から出土したことが不可解ですね」
「はい、そうです。高度の文明を持った何かが、縄文時代には既に存在して、地球に来た、と私たちも始めは推測していましたが」
「始めは推測していた? と言いますと? 」
坂口は顔をしかめて新藤の目を見つめながら言った。
「決定的に不可思議なことは、これは地球にやって来たものではない、ということです。宇宙船自体は全くの無傷ですから。大気圏突入もなかった。それと決定的な事実が発見されました。指紋です」
「指紋?」
新藤はそれを受けて、先ほどから黙ってやりとりを訊いていた窪田に目を向けた。
「そちらの窪田さんのものと判明しました」
驚いた坂口も窪田のほうへ視線を向けた。
「あれ、指紋付いちゃってました? 参ったなあ」
そう言った窪田が頭をかいて笑った。これを切っ掛けとして、窪田が過去に発見した考古学上の遺物は全てねつ造であったことが、次々と発覚した。
逮捕後からしばらくして、窪田は拘置所から「天照大神を宇宙人としてねつ造できなくて残念だった」というコメントを出した。
東京考古学研究所長である 坂口清太郎の前に助手の窪田誠一 が封筒を手にしながら目を輝かせて言った。
「高千穂教育委員会から? 確か九州だよね」
坂口が窪田から書類を受取り読み始めた。驚愕の内容が書かれていた。
「窪田君、大変だ。貝塚跡から小型宇宙船が出土したらしい」
坂口はその書類と研究資料の束を一通り目を通すと、考え込んだ。
「先生、何か?」
窪田も坂口の読んでいた書類を見た。
「先生、高千穂は 天照大神が降臨したという伝説の地域ですよね、もしかすると、天照大神は宇宙からやって来たいうことでしょうか?」
窪田は先ほどから押し黙ったままの坂口の言葉を待った。
「分からん、全く、不可思議だ。そんなあり得ないことが実際にあったということなのか? 委員会は君にも同行もしてもらいたいということだ」
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*
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「お越しいただいて光栄です」
挨拶もそこそこ二人は宇宙船の保管されている施設に案内された。
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二人が見た宇宙船は手のひらに乗るサイズであった。
「随分小さいですね、このサイズに何か訳があるんでしょうか?」
「研究中の貝塚遺跡に埋まっていたため、無傷で回収できました」
坂口は30㎝四方のガラスケースに入った宇宙船を腰を屈めてのぞき込んだ。
「しかし、何か見たことのあるような宇宙船ですね」
坂口が探査船から新藤に顔を向けて訊いた。
「これはアメリカのボイジャー1号という探査船の写真です」
新藤が一枚の写真を坂口の前に差し出した。
「この探査船は約40年前に発射され、現在も航行中の探査船です。この本体の部分の形がこれに酷似しています」
坂口は写真とケースの中の宇宙船を見比べた。写真のボイジャーはアンテナやら、お皿のような物が飛びだしていて、その中心に10面体をした箱がある。坂口は手をあごに当てしばらく考えて言った。
「変ですね。40年前のボイジャーの一部と同じデザインの物が、縄文時代の貝塚から出土したことが不可解ですね」
「はい、そうです。高度の文明を持った何かが、縄文時代には既に存在して、地球に来た、と私たちも始めは推測していましたが」
「始めは推測していた? と言いますと? 」
坂口は顔をしかめて新藤の目を見つめながら言った。
「決定的に不可思議なことは、これは地球にやって来たものではない、ということです。宇宙船自体は全くの無傷ですから。大気圏突入もなかった。それと決定的な事実が発見されました。指紋です」
「指紋?」
新藤はそれを受けて、先ほどから黙ってやりとりを訊いていた窪田に目を向けた。
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逮捕後からしばらくして、窪田は拘置所から「天照大神を宇宙人としてねつ造できなくて残念だった」というコメントを出した。
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