蜃気楼の女

窓野枠

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第39章 学園の衰退

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 邪心に支配された田所は虎視眈々と世界征服の野望を推し進める準備をしていた。すでに、学園の女子は5人編成の小グループを作った。邪心・田所は、  蜃気楼しんきろうの女をモデルに「陽炎学科かげろうがっか」を編成した。それがそもそも、邪心・田所の愚行だ。現代女子は食生活が豊かになり、女性として体は、凹凸のあるグラマーと呼べる域に成長した。田所はそう呼べるグラマー女性を選抜し、知識、教養など二の次で、入学させた。邪心・田所は田所の肉体を支配したが、教育者ではないくず野郎だった。そんな妖艶な女性ばかりを選抜したとはいえ、2000年の歳月を掛けて鍛錬された「 蜃気楼しんきろうの女」とは比較するまでもなく、基礎体力、筋力が極めて非力だった。模倣して同じ5人編成にしたが意味がなかった。なぜなら、それぞれの女が男の手足を押さえつけられない。草食男子とはいえ、その男子の力を上回る腕力を備えた女子高生がいない。極めつけのミスは、女子高生には、アラビアーナ人のような超能力が備わっていない。彼女たちはなよなよして頼りない男しかレイプできなかった。そういう貧弱な男だけしか仲間に引き込めなかった。そして、同意のないセックスは犯罪である。そんな簡単な法律も邪心・田所には知識がなかった。やみくもに、女子生徒に民主主義の時代に合わない過激的な行動を無理強いさせた。入学した女子の中には男子に性的な興味を抱かないものがいた。つまり同性愛者が3割を占めていた。
 邪心・田所の教育実習カリキュラムは、たちまち、女子生徒から批判を受け、教育者・田所が運営していた学園の名声は、地に落ちていった。希望にあふれて入学した女子生徒は、学園の教育方針に失望し、次々、転校するものが続出し、学園の生徒数は衰退の一途をたどった。性の多様性を知らなかった邪心・田所の日本征服の野望は、現代的思考を持つ生徒に、社会的に抹殺されるかもしれない状況に追い詰められていた。
 櫻子は筋肉隆々の体になった邪心・田所に期待したが、女にもてたことがなかった邪心・田所は、かつてセックスしたことがなかった。櫻子を満足させられるだけの性技を備えていなかった。邪心・田所といえども、邪心程度の能力では、超能力を持ち破壊的なパワーを持つ櫻子に、超能力で従わせることは不可能だった。相手は原子サイズに細胞を破壊できる超能力を備えた無敵の女だ。学園の女子生徒は田所の教育方針に愛想を尽かし、生徒が徐々に転校し始めた頃、櫻子は学園外に、「学校法人こころとからだをうつくしくするスクール」を創設した。教育方針は、「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」、昔から唱えられている近代オリンピック創始者であるクーベルタンの言葉だ。まさに、櫻子の生い立ちと重なるものがあり、櫻子はこの思想に傾倒し、これを自分の目指す教育方針に掲げ学校を創設する目標を掲げた。安田尚子は櫻子の右腕となって働いた。橋本のいなくなった尚子は、櫻子を姉のように慕って、二人は急速に親しくなり、安田邸にも招き入れ、両親も歓待した。学園設立のための資金は尚子の父・安田仁が中心になって協力してくれたおかげで、たくさんのパトロンが付いた。櫻子の最大の目標は、虐げられる人間をなくすこと。アラビアーナ国の認知、そのため、世界から、紛争、けんか、嫉妬、ねたみ、そねみ、いじめ、暴力、パワハラ、セクハラ、などなど、すべての負の思考を根絶することだ。当然、アラビアーナ人ゆかりの安田仁・ナルミ夫婦も全面協力してくれることになった。併せて、邪心・田所のいかがわしい教育方針を掲げた学園をつぶし、学園長を隔離し、永久的に拘束することが、厚労省の主導によって、進められることになっていた。
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