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第37章 田所学園長の復活
3話
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しかし、念のため、別れられないよう、入籍させて拘束しておこう、とたくらんだ。だから、婚姻届を出した。超能力で自分だけは配偶者なら抹殺しないと思った。著名な教育者と言われた人間が人道に外れたことをし始めたのは、彼の良心に闇の世界の邪心が浸食してきたからだ。邪心によって、外道に成り下がった田所は、自分の都合のいいように画策を加速させた。その邪心ですら、読みが足らなかった。奪った橋本の肉体が、安田尚子により、超能力を与えられたことが、予想できなかった。
「櫻子さん、ちょっと自分の顔を見たいんだ。そこの机の引き出しから手鏡を持ってきてくれないか?」
櫻子に言ってから、田所はベッドから上半身を上げようとすると、腹筋だけで上体が軽快に上がった。今まで腕で支えながら、ゆっくりでないと上体が起こせなかったことがうそのような体の変化に驚いた。起き上がってから寝間着の襟を持ち上げ胸を見た。盛り上がった大胸筋、くびれた腹筋が見えた。
(そうだ、これは橋本くんの体だ。えっ? なぜ? 私が生きているんだ? 確か、橋本くんに後継者としてここを任せると話した。だから、この体は橋本くんの体であるはず。施術が失敗した? この結果は? 橋本くんはどうした?)
「はい…… どうぞ」
田所の前に、手鏡を差し出された。思いがけないところから出された手鏡の先を見た。安田尚子だった。いつのまにか、田所の脇に立っていた。櫻子が怖い尚子はベッドから離れて隠れていた。尚子は口を橋本の耳に寄せてきた。
「おじさん…… どう? 学園長の記憶がちゃんと入ってる?」
尚子が櫻子に聞こえないように小声で話す。その様子を見て、気が付いた櫻子が尚子をにらんだ。
「あんた、何してるの? 平八さんはあたしが最初だからね! 順位が分かってるのぉ?」
「も、もちろんです、櫻子様を差し置いてそんな大それた事などいたしませんから……」
尚子は心底櫻子に恐怖を感じた。先日、櫻子の怒りを静め、東京の破壊は食い止めたが、いつ、この人の気まぐれの逆鱗(げきりん)に触れ、すべてが破壊されるか気が気ではない。超危険な女だ。そうは思ったが、尚子は櫻子を好きになっていく。なぜなら、櫻子は宮殿で大切に育てられている。 蜃気楼の女とは言え、ラービアこと櫻子は国の女たちのように幼少の頃から体を鍛えていない。自分と同じ華奢(きゃしゃ)な体なのだ。だから、体力、筋力のない櫻子は、橋本と数時間にわたり愛し合えない、と見た。
「おじさんの筋肉、すごいよねぇー 記者なのに、宝の持ち腐れとはこのことよね。アァー でも、取材で駆け回るには必要な筋肉よねぇ、でも、これからはあたしも存分に活用してあげるからぁー ここの筋肉もねぇ」
尚子はフフッと軽く笑いながら、掛け布団に差し入れた手で橋本の局部を握った。櫻子から見えない位置で、橋本の局部を握りしめている。案の定、橋本の局部は反応が早く固さをすぐに増していく。
何事もないような顔で、尚子から渡された手鏡を手にした田所は、顔の前に持って行く。鏡の中に、橋本の顔が写っていた。超イケメンの顔ではない、そのまま、橋本の顔だ。
「顔が変わっていないぞぉ!」
期待していた田所は思わず失望の声を張り上げた。それを聞いた櫻子や尚子は、どうしたのか、首を傾げた。
櫻子に至っては、尚子から手術で老体でがんを患った田所は、健康体になって、多少若返る、と言うことを聞かされていただけだったから、筋肉が隆起した肉体をみて、すごく興奮した。
尚子も同じようなもので、橋本の肉体を覚えていたが、顔の容貌は正確に覚えていなかった。もともと、尚子が作った施術プログラムには顔の変更など入っていなかったし、田所の記憶がプラスされるだけの施術だった。橋本の耳に顔を近づけ、小声で聞いてみた。
「おじさん、どう? 学園長の記憶が移ったぁ?」
「尚子くんは橋本くんをおじさんと呼んでいるのか?」
尚子はその一言で顔面が蒼白(そうはく)になった。
「うそよねぇー 学園長ですかぁ? エェー 入れ替わってないぃー?」
「私もびっくりしている。橋本くんの記憶がまったくないのだ。移植されていない。というより、橋本くんに私の記憶が移植されるはずだったろ?」
「櫻子さん、ちょっと自分の顔を見たいんだ。そこの机の引き出しから手鏡を持ってきてくれないか?」
櫻子に言ってから、田所はベッドから上半身を上げようとすると、腹筋だけで上体が軽快に上がった。今まで腕で支えながら、ゆっくりでないと上体が起こせなかったことがうそのような体の変化に驚いた。起き上がってから寝間着の襟を持ち上げ胸を見た。盛り上がった大胸筋、くびれた腹筋が見えた。
(そうだ、これは橋本くんの体だ。えっ? なぜ? 私が生きているんだ? 確か、橋本くんに後継者としてここを任せると話した。だから、この体は橋本くんの体であるはず。施術が失敗した? この結果は? 橋本くんはどうした?)
「はい…… どうぞ」
田所の前に、手鏡を差し出された。思いがけないところから出された手鏡の先を見た。安田尚子だった。いつのまにか、田所の脇に立っていた。櫻子が怖い尚子はベッドから離れて隠れていた。尚子は口を橋本の耳に寄せてきた。
「おじさん…… どう? 学園長の記憶がちゃんと入ってる?」
尚子が櫻子に聞こえないように小声で話す。その様子を見て、気が付いた櫻子が尚子をにらんだ。
「あんた、何してるの? 平八さんはあたしが最初だからね! 順位が分かってるのぉ?」
「も、もちろんです、櫻子様を差し置いてそんな大それた事などいたしませんから……」
尚子は心底櫻子に恐怖を感じた。先日、櫻子の怒りを静め、東京の破壊は食い止めたが、いつ、この人の気まぐれの逆鱗(げきりん)に触れ、すべてが破壊されるか気が気ではない。超危険な女だ。そうは思ったが、尚子は櫻子を好きになっていく。なぜなら、櫻子は宮殿で大切に育てられている。 蜃気楼の女とは言え、ラービアこと櫻子は国の女たちのように幼少の頃から体を鍛えていない。自分と同じ華奢(きゃしゃ)な体なのだ。だから、体力、筋力のない櫻子は、橋本と数時間にわたり愛し合えない、と見た。
「おじさんの筋肉、すごいよねぇー 記者なのに、宝の持ち腐れとはこのことよね。アァー でも、取材で駆け回るには必要な筋肉よねぇ、でも、これからはあたしも存分に活用してあげるからぁー ここの筋肉もねぇ」
尚子はフフッと軽く笑いながら、掛け布団に差し入れた手で橋本の局部を握った。櫻子から見えない位置で、橋本の局部を握りしめている。案の定、橋本の局部は反応が早く固さをすぐに増していく。
何事もないような顔で、尚子から渡された手鏡を手にした田所は、顔の前に持って行く。鏡の中に、橋本の顔が写っていた。超イケメンの顔ではない、そのまま、橋本の顔だ。
「顔が変わっていないぞぉ!」
期待していた田所は思わず失望の声を張り上げた。それを聞いた櫻子や尚子は、どうしたのか、首を傾げた。
櫻子に至っては、尚子から手術で老体でがんを患った田所は、健康体になって、多少若返る、と言うことを聞かされていただけだったから、筋肉が隆起した肉体をみて、すごく興奮した。
尚子も同じようなもので、橋本の肉体を覚えていたが、顔の容貌は正確に覚えていなかった。もともと、尚子が作った施術プログラムには顔の変更など入っていなかったし、田所の記憶がプラスされるだけの施術だった。橋本の耳に顔を近づけ、小声で聞いてみた。
「おじさん、どう? 学園長の記憶が移ったぁ?」
「尚子くんは橋本くんをおじさんと呼んでいるのか?」
尚子はその一言で顔面が蒼白(そうはく)になった。
「うそよねぇー 学園長ですかぁ? エェー 入れ替わってないぃー?」
「私もびっくりしている。橋本くんの記憶がまったくないのだ。移植されていない。というより、橋本くんに私の記憶が移植されるはずだったろ?」
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