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第33章 再生細胞移植術後
1話
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田所平八郎のメモリ(脳細胞)が移植された橋本浩一は、平八郎に体を乗っ取られるだけでは済まず、顔も変貌した。最も変わったのは思考、嗜好だった。邪心に支配された田所の脳が移植されたのだから、最悪の状態になってしまった。だから、尚子の発明は、カプセルそのものは目標通り正常に機能したが、総合的には、大失敗という結果になった。
失敗の原因は、尚子がカプセルで田所の脳細胞を注出したとき、彼の脳は腐り切っていた。彼の脳は、日本の青少年の明るい未来を夢見ていた頃と比較し、邪心の発症により、耐えがたいほど、ゆがんだ思考に変異した。
以前から田所本人も邪心の発症を恐れていたが、早い段階で邪心が発症を開始した。邪心は巧妙に田所の脳を阻止されないよう浸食していった。だから、尚子に落ち度はない。
尚子の発明した医療用再生細胞移植術カプセルは、人類が誕生してから30万年経過した中で、画期的な発明だった、と言える。どんな細胞をも他の人間に、外科的な手術をすることもなく正常な細胞として移植できる。高度な外科的手術が可能な医師を全く必要としない革新的な術式なのだ。
「あたし、失敗しないんでぇー」
人気テレビドラマ「ドクターX」の名せりふであるが、そのドラマはこの尚子の発明品が発表されていれば、製作されることはなかっただろう。なにしろ外科的な手術を一切しないのであるから、失敗など起こりようがない。
しかし、この医療用再生細胞移植術カプセルの発明は公表されなかった。
尚子は、田所の脳が邪悪な脳に支配され、橋本が全く意図しない人間に変身してしまったことでショックを受けた。尚子の大好きな優しい橋本が、別人になってしまった。だから、責任を感じた尚子はこの偉大な発明を封印した。この発明品は諸刃の剣とも言えた。正義にも悪にもなる。学園長によって、悪に使われた。
しかし、この大発明を、後からカプセルの存在を知った山野櫻子が世界征服の野望のため、利用しようともくろむ。世界征服というと何か良からぬ活用をし、人類を支配して私利私欲に走ることを想像してしまう。
しかし、故郷アラビアーナ国の宮殿で大切に育てられたラービアは違う。このカプセルを使って、人類から邪心を取り除けないか、と考えた。平八郎一人のレベルではなかった。地球規模で邪心を取り除こうと考えていたのだ。彼女のスケールの大きさは桁違いだった。彼女が怒れば、怒りのパワーは東京都全域を1時間で消滅させることができるパワーを秘めているのである。
彼女は、このカプセルのサイズを大型にし、細胞を気体から原子に変換し、原子を大気中に放出させる。原子は呼吸により体内、肌への吸着などの方法により人体に浸透される。浸透し体内に取り込まれた原子は、体内に一定期間、全身にくまなく均一に潜伏すると、一気に、原子から液体に戻り、個体となり、人体に新たな細胞を作り、1秒で人体が変貌する。櫻子はそういうプログラムを計画した。
1回の大気中への放出で、半径数キロメートル内にいる人体をこの装置で変異させる。人類皆脳移植術プログラムである。人類は変異させられたことを知らないうち、1秒というわずかな時間で善良な民族になるのだ。暴力、虐待、いじめ、差別、ハラスメント、支配のない国が、今までにない平和だけの人類愛に満たされた新生国が1秒で誕生する。
再生細胞原子を注入したカプセルをミサイルに搭載し、日本各地にある防衛軍のミサイル基地から各国に向けて発射し、着弾と同時、原子が大気中に放出される。着弾地点は各国のミサイルを備えた軍事基地を標的にする。各国から日本へ向けた報復攻撃を防ぐためだ。原子を取り込んだ人類は、1週間後、今までの脳が善良な脳へ変異する。地球上の人類を、アラビアーナ国の民を虐げない優しい人類に作り替える。そうすれば、自分が世界の人々を魔性力を使って支配する必要はなくなる。ここまで達成できれば、もう、世界は平和だ。平和になっては困る利益を追求する軍需大国がこぞって妨害してくるだろう。そんな妨害はアラビアーナ国で十分苦汁をなめてきた。その対策も練らねばならないことは承知している。そのためには反撃を許さない一斉ミサイル攻撃しかない。尚子の父・安田仁には総理大臣になってもらい、この壮大な準備をしてもらうのだ。彼と妻は仲間を皆殺しにしたという贖罪を持って生きているから、櫻子の願いを聞いてくれると確信している。いざとなれば、尚子に頼めばいいことでもある。
失敗の原因は、尚子がカプセルで田所の脳細胞を注出したとき、彼の脳は腐り切っていた。彼の脳は、日本の青少年の明るい未来を夢見ていた頃と比較し、邪心の発症により、耐えがたいほど、ゆがんだ思考に変異した。
以前から田所本人も邪心の発症を恐れていたが、早い段階で邪心が発症を開始した。邪心は巧妙に田所の脳を阻止されないよう浸食していった。だから、尚子に落ち度はない。
尚子の発明した医療用再生細胞移植術カプセルは、人類が誕生してから30万年経過した中で、画期的な発明だった、と言える。どんな細胞をも他の人間に、外科的な手術をすることもなく正常な細胞として移植できる。高度な外科的手術が可能な医師を全く必要としない革新的な術式なのだ。
「あたし、失敗しないんでぇー」
人気テレビドラマ「ドクターX」の名せりふであるが、そのドラマはこの尚子の発明品が発表されていれば、製作されることはなかっただろう。なにしろ外科的な手術を一切しないのであるから、失敗など起こりようがない。
しかし、この医療用再生細胞移植術カプセルの発明は公表されなかった。
尚子は、田所の脳が邪悪な脳に支配され、橋本が全く意図しない人間に変身してしまったことでショックを受けた。尚子の大好きな優しい橋本が、別人になってしまった。だから、責任を感じた尚子はこの偉大な発明を封印した。この発明品は諸刃の剣とも言えた。正義にも悪にもなる。学園長によって、悪に使われた。
しかし、この大発明を、後からカプセルの存在を知った山野櫻子が世界征服の野望のため、利用しようともくろむ。世界征服というと何か良からぬ活用をし、人類を支配して私利私欲に走ることを想像してしまう。
しかし、故郷アラビアーナ国の宮殿で大切に育てられたラービアは違う。このカプセルを使って、人類から邪心を取り除けないか、と考えた。平八郎一人のレベルではなかった。地球規模で邪心を取り除こうと考えていたのだ。彼女のスケールの大きさは桁違いだった。彼女が怒れば、怒りのパワーは東京都全域を1時間で消滅させることができるパワーを秘めているのである。
彼女は、このカプセルのサイズを大型にし、細胞を気体から原子に変換し、原子を大気中に放出させる。原子は呼吸により体内、肌への吸着などの方法により人体に浸透される。浸透し体内に取り込まれた原子は、体内に一定期間、全身にくまなく均一に潜伏すると、一気に、原子から液体に戻り、個体となり、人体に新たな細胞を作り、1秒で人体が変貌する。櫻子はそういうプログラムを計画した。
1回の大気中への放出で、半径数キロメートル内にいる人体をこの装置で変異させる。人類皆脳移植術プログラムである。人類は変異させられたことを知らないうち、1秒というわずかな時間で善良な民族になるのだ。暴力、虐待、いじめ、差別、ハラスメント、支配のない国が、今までにない平和だけの人類愛に満たされた新生国が1秒で誕生する。
再生細胞原子を注入したカプセルをミサイルに搭載し、日本各地にある防衛軍のミサイル基地から各国に向けて発射し、着弾と同時、原子が大気中に放出される。着弾地点は各国のミサイルを備えた軍事基地を標的にする。各国から日本へ向けた報復攻撃を防ぐためだ。原子を取り込んだ人類は、1週間後、今までの脳が善良な脳へ変異する。地球上の人類を、アラビアーナ国の民を虐げない優しい人類に作り替える。そうすれば、自分が世界の人々を魔性力を使って支配する必要はなくなる。ここまで達成できれば、もう、世界は平和だ。平和になっては困る利益を追求する軍需大国がこぞって妨害してくるだろう。そんな妨害はアラビアーナ国で十分苦汁をなめてきた。その対策も練らねばならないことは承知している。そのためには反撃を許さない一斉ミサイル攻撃しかない。尚子の父・安田仁には総理大臣になってもらい、この壮大な準備をしてもらうのだ。彼と妻は仲間を皆殺しにしたという贖罪を持って生きているから、櫻子の願いを聞いてくれると確信している。いざとなれば、尚子に頼めばいいことでもある。
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