蜃気楼の女

窓野枠

文字の大きさ
上 下
84 / 134
第31章 成功した発明と失敗した発明

2話

しおりを挟む
「さあ、何もかも忘れて…… 身も心もあたしたちに委ねるのよ」
  男は女たちに何度となく言い含められ、あがなうことを諦めさせられる。日の出とともに5人目の女が男の精を女の体の奥深く受け入れたとき、男を生涯の性奴隷とする儀式が終わる。一晩で5人の美女の股の奥深く射精し満足を与えた男だけが、5人の女から性奴隷としての地位を与えられ、自国の時空間・  蜃気楼しんきろうへ強制連行され、大切な家族として扱われ、グループの柱となる。5人の女たちは性奴隷として男を拘束しながらも、心では男を愛し、崇拝し、大切に扱うことを誓う。
「あたしたちは家族よ」  
 女たちは男にそう言って、全裸の男の全身に舌を使った愛ぶを絶え間なく与え続けていく。  
 女たちの男への扱いを客観的に俯瞰すると、アラビアーナ国に拉致された男は、5人の女たちの性奴隷として、グループの住む洞窟で24時間拘束され、一生を女たちの性欲の処理をするためだけに生かされる。毎日、男は5人の女たちを満足にさせることが男の日課となる。そのためだけに、生かされることで、男に失望感、喪失感が生まれてもいいはずだが、女たちの巧みな話術と性技によって、いつしか、女たちが喜びを感じるようにするという使命感が生まれてくるよう、飴と鞭を与えながら調教されていく。
  周辺諸国から隠れて暮らす虐げられた民族の怨念が作った悪魔のような性暴力が国是として、今日まで平然と続けられている。
 また、隣国で拉致されて行方不明になっている男の家族が、なぜ騒がないのか、という疑問が起こるが、隣国の政府は、拉致を黙認していた。隣国はアラビアーナ国の屈強な女たちに攻め込まれ、自国の男たちのすべてがレイプされて廃人にされてしまう恐怖を感じていた。隣国の男である首脳も例外ではなく、いつ、拉致されるか分からない恐怖をいつも感じていた。それほど、強靱で邪悪な女たち、と恐れられた。自分たちの目でその民の存在を実際認識できないということが、余計恐怖を増加させた。どこに存在するかも分からない国からの攻撃ほど、怖いことはなかった。どこへ反撃すればいいか分からない  蜃気楼しんきろうの国に住む得体の知れない屈強の女軍団が、いつ攻撃をしてくるか分からないという恐怖。隣国政府はそんな超能力を持った魔性の女がいる国に勝てるわけがない。女たちに対するレイプのうわさが語り継がれてきた。  
 その結果、  蜃気楼しんきろうの女とは一切関わらないこと。多少の生けにえは仕方ないという考えに落ち着いた。だから、隣国の首長たちは拉致された家族から捜索願が出されても捜索中として、騒ぎが大きくならないよう統制した。この隣国首脳の悩みは、国際的に共有され、最高機密として受け継がれた。  
 このようにして、アラビアーナ国の存在が隠され続けられてきたことは、アラビアーナ国王の超能力が、いかに驚異的か、ということである。  
 しかし、その国王も恐怖するラービア女王妃の存在は国際的な恐怖である。彼女が乱心したとき、世界は終末を迎えることになる。
  5人の女たちに拉致された男は不運とはいえ、女たちから死ぬまで大切にされるので、男たちは拉致された直後こそ、抵抗するが、やがて、5人から毎日受け続ける官能攻めに対し、体が刺激に対し順応し、極楽浄土の快楽生活に身を委ねていく。拉致された男たちはすべて、数日間で、抵抗する気力を消失し、女たちの下僕となり、従順な性奴隷として調教されたことに感謝する。彼女たちの能力はそういう境遇に甘んじることのできる男を探す力にも長けていた。
 隣国の庶民の間では、男が拉致されて消息を絶つと、  蜃気楼しんきろうの女に連れ去られた、とうわさになるが、誰も騒がない。なぜなら、  蜃気楼しんきろうで生活することを望む男が多かった。アラビアーナ人の女は男を毎日、幸福に導いてくれ、天国にいるような生活を送れる、とうわさされた。実態の分からない陽炎かげろうのごとく存在する、  蜃気楼しんきろうの女は、男たちの憧れのシンボルだった。  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

アレンジ可シチュボ等のフリー台本集77選

上津英
大衆娯楽
シチュエーションボイス等のフリー台本集です。女性向けで書いていますが、男性向けでの使用も可です。 一人用の短い恋愛系中心。 【利用規約】 ・一人称・語尾・方言・男女逆転などのアレンジはご自由に。 ・シチュボ以外にもASMR・ボイスドラマ・朗読・配信・声劇にどうぞお使いください。 ・個人の使用報告は不要ですが、クレジットの表記はお願い致します。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

処理中です...