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第29章 初めての学園
3話
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尚子の説明はシンプルで橋本にも原理が分かったほど簡単だ。
「おい、そんなすごいことが、この小さなカプセルを使って、たった、60分で、できるのか? このカプセルは、君が開発したのか? 田所が君みたいなのを集めようとしている理由が分かるよ……」
「ほめてくれて、ありがとうございます…… おじさんにそう言っていただけると、すごくうれしいわ…… じゃ、おじさん…… そこのベッドに寝てくれる。もう、学園長の血液はおじさんに説明している間に、採取したから、今度はおじさんの血液を採取するね」
橋本がベッドに仰向けに寝ると、橋本の胸に尚子がほおを押しつけてきた。
「おじさんの心臓の音が聞こえる…… この装置使うの、初めてなんだ…… テストはしていないけど、絶対…… 大丈夫だからね」
尚子はほおを橋本の胸に当てたまま、橋本の首に腕を伸ばしてカプセルを当てた。
「ちょっと、チクッとするわ……」
尚子が言った直後、なるほど、チクリと言う痛みを感じた程度だった。血液を抜き取られているという感覚すら感じない。無痛である。手のひらサイズのカプセルだから少量の血液しか採取しないのであろう。もし、1週間後、田所の思考、記憶が俺に感じることができたら、すごい体験をすることになる。しかし、田所に俺の体を乗っ取られると言うことはないのであろうか? 橋本にわずかな不安が起きた。
「おじさん、大丈夫よ…… 学園長はそんな人じゃないから安心して…… おじさんはおじさんよ、あたしの大好きなおじさんのままよ」
尚子は橋本の顔を見つめていた。しばらくしてから、あっ、と声を上げた。
「おじさん、ご、ごめんなさい。また、おじさんの脳に入った…………」
橋本の胸に顔をつけていた尚子が飛び跳ねて上半身を起こした。
「尚子、いいよ、僕の脳を読んでもいいよ…… もう、君ならいいよ……きみになら何でも俺の考えを理解しておいてほしい……」
橋本は一回りも違う年齢の尚子に、心からそう思った。年齢なんて関係ないな。この子はそう言う選ばれた子なんだ。この子なら何でも許せる。何をしても許せる。悪魔が尚子を侵略しなければ、こんなに純情で、すべての人を愛することのできる美少女はいないだろう。尚子は橋本を慕ってすべてをささげてくれるつもりなのだろう。俺も尚子のためなら、すべて…… 俺の命を捨てられる。
尚子が橋本に2度目のカプセルを首に当てがってから20分が経過した。その間、尚子は寝ている橋本の横に並んで寝ていた。尚子はずっと仰向けになって寝ていた橋本を横で見つめながら励ますように言った。
「おじさん、大丈夫よ…… 大丈夫よ……」
尚子は橋本に大丈夫と言いながら、自分に向けて心を静めていたのだろう。橋本の手を尚子の手がいつの間にか握っていた。橋本に、電車に乗っていた数日前とは違って、尚子の手には安らぎを与えてくれる暖かさが生まれたように感じた。きっと、この子はこれから、どんな人にもこの手の温かさを感じさせることができるのだろう。俺はそう言う子を幸福な未来に導くことのできる教育者にならなければならない。
「田所さん、そういうことでいいんだろ?」
橋本は橋本の顔を見つめている尚子の手をしっかり握りしめた。
「おい、そんなすごいことが、この小さなカプセルを使って、たった、60分で、できるのか? このカプセルは、君が開発したのか? 田所が君みたいなのを集めようとしている理由が分かるよ……」
「ほめてくれて、ありがとうございます…… おじさんにそう言っていただけると、すごくうれしいわ…… じゃ、おじさん…… そこのベッドに寝てくれる。もう、学園長の血液はおじさんに説明している間に、採取したから、今度はおじさんの血液を採取するね」
橋本がベッドに仰向けに寝ると、橋本の胸に尚子がほおを押しつけてきた。
「おじさんの心臓の音が聞こえる…… この装置使うの、初めてなんだ…… テストはしていないけど、絶対…… 大丈夫だからね」
尚子はほおを橋本の胸に当てたまま、橋本の首に腕を伸ばしてカプセルを当てた。
「ちょっと、チクッとするわ……」
尚子が言った直後、なるほど、チクリと言う痛みを感じた程度だった。血液を抜き取られているという感覚すら感じない。無痛である。手のひらサイズのカプセルだから少量の血液しか採取しないのであろう。もし、1週間後、田所の思考、記憶が俺に感じることができたら、すごい体験をすることになる。しかし、田所に俺の体を乗っ取られると言うことはないのであろうか? 橋本にわずかな不安が起きた。
「おじさん、大丈夫よ…… 学園長はそんな人じゃないから安心して…… おじさんはおじさんよ、あたしの大好きなおじさんのままよ」
尚子は橋本の顔を見つめていた。しばらくしてから、あっ、と声を上げた。
「おじさん、ご、ごめんなさい。また、おじさんの脳に入った…………」
橋本の胸に顔をつけていた尚子が飛び跳ねて上半身を起こした。
「尚子、いいよ、僕の脳を読んでもいいよ…… もう、君ならいいよ……きみになら何でも俺の考えを理解しておいてほしい……」
橋本は一回りも違う年齢の尚子に、心からそう思った。年齢なんて関係ないな。この子はそう言う選ばれた子なんだ。この子なら何でも許せる。何をしても許せる。悪魔が尚子を侵略しなければ、こんなに純情で、すべての人を愛することのできる美少女はいないだろう。尚子は橋本を慕ってすべてをささげてくれるつもりなのだろう。俺も尚子のためなら、すべて…… 俺の命を捨てられる。
尚子が橋本に2度目のカプセルを首に当てがってから20分が経過した。その間、尚子は寝ている橋本の横に並んで寝ていた。尚子はずっと仰向けになって寝ていた橋本を横で見つめながら励ますように言った。
「おじさん、大丈夫よ…… 大丈夫よ……」
尚子は橋本に大丈夫と言いながら、自分に向けて心を静めていたのだろう。橋本の手を尚子の手がいつの間にか握っていた。橋本に、電車に乗っていた数日前とは違って、尚子の手には安らぎを与えてくれる暖かさが生まれたように感じた。きっと、この子はこれから、どんな人にもこの手の温かさを感じさせることができるのだろう。俺はそう言う子を幸福な未来に導くことのできる教育者にならなければならない。
「田所さん、そういうことでいいんだろ?」
橋本は橋本の顔を見つめている尚子の手をしっかり握りしめた。
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