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第27章 後継者・橋本浩一
4話
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「キスはもういいわ…… おじさんとあたしはずっと友だちでしょ? あたしたちのことを助けてほしい、そういう子がアラビアーナ国にはまだいっぱいいるみたいなの。その子たちは隣国の男性をひそかに拉致しては、レイプして廃人にしているって聞くわ…… あたしも隣の家の進ちゃんにひどいことをするところだった……」
「ウーーーン…… ひょっとすると、田所はそういう子をこの学園に集め、更生させるつもりなのかもな?」
「更生? あたしのこの気持ちはいけないことなの? 進ちゃんとたくさん気持ちのいいことしたいと思うのはいけないの?」
尚子が言うように、生物は本能的にする行為だが、尚子にはそうとは言えなかった。レイプはまさに邪悪な心に支配された亜種生物、野蛮生物の行為である。野生動物であっても、雄は雌に求愛行動をし、気に入られなければ、雄は諦める。レイプなんてことをする動物は人間だけだ。
そのとき、橋本のスマホが着信した。モニターに田所と表示されていた。今まで、こちらから掛けることはあっても、掛かってきたことのない相手だった。スマホの受話ボタンを押した。
「橋本さん、どうですか? 私の学園がどういうことをしているのか安田さんからお話を伺ったかと思います。わたしの目指す事業が日本を救う、世界を救うことを目的としていることがお分かりいただけましたか?」
田所の低い声がいつになく冷静に聞こえた。
「こんな能力を持った人間が現実社会に存在するなんて…… 俺は、信じられない……」
橋本は田所に率直な感想を述べた。
「そうでしょう。もっともな話です。しかし、現実にこのような能力者を集めている国があります。中国です。わが国も緊急に対応しなければ日本や世界は、 蜃気楼の女を配下にした中国に侵略されて、やがて、世界が支配される恐れがあります。
あなたもご存じのように、わたしは病気を患い長くありません。わたしはあなたの行動、思考、正義感など、3年間、調査し検証して参りました。わたしはあなたを知る唯一無二の存在です。だから、私を良く知る唯一無二のあなたに、お願いがあります…… わたしの後継者になっていただきたい。あなたなら、できます。学園長として、世界を救っていただきたいのです……狭義で言えば、安田尚子さんのような子どもたちの将来を救うことになるのです……彼女たち民族は虐げられてきた過去の蓄積が心をゆがませているのはないかと、わたしは考えています。どうか、この思いを継承していただけないでしょうか? だんだんと体の自由がきかなくなるにつれ、私の心は焦るばかりです。すぐにとは言いません。どうか、考えていただきたい。いい返事をお待ちします、では」
一方的に話された田所からの思いがけない提案に、橋本は返す言葉を失った。俺には田所みたいにりっぱな大志は抱けない。橋本は電源の落ちた黒くなったスマホの画面をいつまでも見続けていた。
「ウーーーン…… ひょっとすると、田所はそういう子をこの学園に集め、更生させるつもりなのかもな?」
「更生? あたしのこの気持ちはいけないことなの? 進ちゃんとたくさん気持ちのいいことしたいと思うのはいけないの?」
尚子が言うように、生物は本能的にする行為だが、尚子にはそうとは言えなかった。レイプはまさに邪悪な心に支配された亜種生物、野蛮生物の行為である。野生動物であっても、雄は雌に求愛行動をし、気に入られなければ、雄は諦める。レイプなんてことをする動物は人間だけだ。
そのとき、橋本のスマホが着信した。モニターに田所と表示されていた。今まで、こちらから掛けることはあっても、掛かってきたことのない相手だった。スマホの受話ボタンを押した。
「橋本さん、どうですか? 私の学園がどういうことをしているのか安田さんからお話を伺ったかと思います。わたしの目指す事業が日本を救う、世界を救うことを目的としていることがお分かりいただけましたか?」
田所の低い声がいつになく冷静に聞こえた。
「こんな能力を持った人間が現実社会に存在するなんて…… 俺は、信じられない……」
橋本は田所に率直な感想を述べた。
「そうでしょう。もっともな話です。しかし、現実にこのような能力者を集めている国があります。中国です。わが国も緊急に対応しなければ日本や世界は、 蜃気楼の女を配下にした中国に侵略されて、やがて、世界が支配される恐れがあります。
あなたもご存じのように、わたしは病気を患い長くありません。わたしはあなたの行動、思考、正義感など、3年間、調査し検証して参りました。わたしはあなたを知る唯一無二の存在です。だから、私を良く知る唯一無二のあなたに、お願いがあります…… わたしの後継者になっていただきたい。あなたなら、できます。学園長として、世界を救っていただきたいのです……狭義で言えば、安田尚子さんのような子どもたちの将来を救うことになるのです……彼女たち民族は虐げられてきた過去の蓄積が心をゆがませているのはないかと、わたしは考えています。どうか、この思いを継承していただけないでしょうか? だんだんと体の自由がきかなくなるにつれ、私の心は焦るばかりです。すぐにとは言いません。どうか、考えていただきたい。いい返事をお待ちします、では」
一方的に話された田所からの思いがけない提案に、橋本は返す言葉を失った。俺には田所みたいにりっぱな大志は抱けない。橋本は電源の落ちた黒くなったスマホの画面をいつまでも見続けていた。
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