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第27章 後継者・橋本浩一
3話
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「あっ、そう、あたしの悩みを橋本さんに相談するといい、と学園長に言われていたわ。すっかり忘れていた…… もう、やんなっちゃうな…… こら、ダメな尚子……」
尚子は小さな拳を作ると、自分の側頭部に軽く当てた。おどけてみせるどこにでもいる高校生の顔だった。尚子の顔に明るさが戻った。16歳の健康であどけない少女の顔つきそのものだった。
「おじさんはあたしみたいなおちゃめな美少女って、好きでしょ?」
「えっ? 自分のこと、おちゃめな美少女って言っちゃうんだ?」
橋本は笑って言った。
「えっ? 言っちゃダメなの? よくあたし、人から言われるから、おじさんにも思われたいな…… それに、あの学園の入園条件は容姿端麗なのよ、あと多少の問題があってもほぼオッケー、まあ、容姿が良ければ誰でも入れるわ。だから、美人であればすぐ入学して、勉強は学園ですればいいことですもの」
「しかし、誰でもは難しいんじゃないか? 美人で勉強のできる子って、そうそういないだろ?」
橋本の問い掛けに尚子は笑って手のひらを顔の前で振った。
「ない…… ない…… 」
どこにでもいる高校生に見えるが、橋本は尚子の話を聞いていて、尚子の 嗜好、思考が一般人と違うような気がした。そのことについて、聞いてみた。すると、尚子の言うことには、尚子の両親は自分たちの性的嗜好が子どもの教育に良くないと考え、秘密の部屋まで作って隠してきた。それの秘密の部屋の様子を尚子が、幼い頃から壁を透視できる能力で見てきたことを、両親は予想することが困難だった。尚子の父・安田仁はアラビアーナ人の妻の父から継承した魔性能力を使う機会がなかった。安田は純粋な日本人であった。その日本人が魔性の力を出すために、妻であるナオミのちつに安田のペニスを挿入した状態でなければ、超能力を使えない。二人が合体したときだけ使える超能力なんて、まったく使えない超能力だった。
しかし、安田はそんな使えない能力を使うまでもなく、自分の持つ知識と洞察力、想像力、一生懸命、人々に貢献したい、役に立ちたい一心で、官僚のトップの地位を築いた。こんな父親に育てられた尚子の心がゆがみことなどよほどのことがないと考えられない。
尚子はこの両親の家で、人より突出した愛の行為を見続けてきただけに一般人の感覚と違うのは仕方ないことだった。尚子は長く抱えていた悩みを橋本に全部打ち明けた。愛する人に、自分も好かれたい、という思いからだった。
「ねえ、ひどい性癖を持つあたし、嫌いになった? キスに深い意味はないの、あたしにはただ気持ちよくなるための行為なのよ…… だから…… おじさん…… あたしに…… キスしてくれる?」
「また言ってる…… 本当にきみの心の中にすむ悪魔が言ってるのか? それは愛の行為なんだ、きみのお父さんとお母さんを見てきたんだろ? それを思い出してみなさい……」
そう言われた尚子は両親の姿を思い出そうとした。お父さんはお母さんをむちで打っていた。あんなものでたたいてもお母さんの体はいつも美しかった。尚子は橋本にたたかれた手の甲を観た。赤く少し腫れていた。お父さんはお母さんの体を気遣ってたたいていたことに思い当たった。思わず尚子は声を上げた。
「お父さんはお母さんのためにたたいていた。だから、いつも冷静だった」
進一もそうだ。あたしを愛してくれるからあたしが傷つかないよう接してくれていたのだ、と思い当たった。
「進ちゃん…… ごめんね……気が付かなくて……」
橋本は尚子の言う魔性能力を持つ民族の存在に驚いた。田所の 花魁疑惑など、子どものけんかのような、たわいないことのように思えた。そんなことの追求に3年間も自分はエネルギーを費やしてきたかと思うと、時間を無駄にしたようで悔しかった。尚子みたいな民族をこのまま放置することのほうが、日本が、否、世界が危ない! 橋本は改めて尚子の能力に恐怖を感じた。今までこの美少女に感じていた恐怖は、この子の魔性能力を誰かに悪用され、利用されることである。橋本はそれを本能的に感じた。だから、美少女に会ったときから違和感を抱いていたのだろう。しかし、そんな能力があるなんて、信じられないことだった。超能力があるという尚子は、橋本には能力が使えないと言うから、見るまでは信じられない。
尚子は小さな拳を作ると、自分の側頭部に軽く当てた。おどけてみせるどこにでもいる高校生の顔だった。尚子の顔に明るさが戻った。16歳の健康であどけない少女の顔つきそのものだった。
「おじさんはあたしみたいなおちゃめな美少女って、好きでしょ?」
「えっ? 自分のこと、おちゃめな美少女って言っちゃうんだ?」
橋本は笑って言った。
「えっ? 言っちゃダメなの? よくあたし、人から言われるから、おじさんにも思われたいな…… それに、あの学園の入園条件は容姿端麗なのよ、あと多少の問題があってもほぼオッケー、まあ、容姿が良ければ誰でも入れるわ。だから、美人であればすぐ入学して、勉強は学園ですればいいことですもの」
「しかし、誰でもは難しいんじゃないか? 美人で勉強のできる子って、そうそういないだろ?」
橋本の問い掛けに尚子は笑って手のひらを顔の前で振った。
「ない…… ない…… 」
どこにでもいる高校生に見えるが、橋本は尚子の話を聞いていて、尚子の 嗜好、思考が一般人と違うような気がした。そのことについて、聞いてみた。すると、尚子の言うことには、尚子の両親は自分たちの性的嗜好が子どもの教育に良くないと考え、秘密の部屋まで作って隠してきた。それの秘密の部屋の様子を尚子が、幼い頃から壁を透視できる能力で見てきたことを、両親は予想することが困難だった。尚子の父・安田仁はアラビアーナ人の妻の父から継承した魔性能力を使う機会がなかった。安田は純粋な日本人であった。その日本人が魔性の力を出すために、妻であるナオミのちつに安田のペニスを挿入した状態でなければ、超能力を使えない。二人が合体したときだけ使える超能力なんて、まったく使えない超能力だった。
しかし、安田はそんな使えない能力を使うまでもなく、自分の持つ知識と洞察力、想像力、一生懸命、人々に貢献したい、役に立ちたい一心で、官僚のトップの地位を築いた。こんな父親に育てられた尚子の心がゆがみことなどよほどのことがないと考えられない。
尚子はこの両親の家で、人より突出した愛の行為を見続けてきただけに一般人の感覚と違うのは仕方ないことだった。尚子は長く抱えていた悩みを橋本に全部打ち明けた。愛する人に、自分も好かれたい、という思いからだった。
「ねえ、ひどい性癖を持つあたし、嫌いになった? キスに深い意味はないの、あたしにはただ気持ちよくなるための行為なのよ…… だから…… おじさん…… あたしに…… キスしてくれる?」
「また言ってる…… 本当にきみの心の中にすむ悪魔が言ってるのか? それは愛の行為なんだ、きみのお父さんとお母さんを見てきたんだろ? それを思い出してみなさい……」
そう言われた尚子は両親の姿を思い出そうとした。お父さんはお母さんをむちで打っていた。あんなものでたたいてもお母さんの体はいつも美しかった。尚子は橋本にたたかれた手の甲を観た。赤く少し腫れていた。お父さんはお母さんの体を気遣ってたたいていたことに思い当たった。思わず尚子は声を上げた。
「お父さんはお母さんのためにたたいていた。だから、いつも冷静だった」
進一もそうだ。あたしを愛してくれるからあたしが傷つかないよう接してくれていたのだ、と思い当たった。
「進ちゃん…… ごめんね……気が付かなくて……」
橋本は尚子の言う魔性能力を持つ民族の存在に驚いた。田所の 花魁疑惑など、子どものけんかのような、たわいないことのように思えた。そんなことの追求に3年間も自分はエネルギーを費やしてきたかと思うと、時間を無駄にしたようで悔しかった。尚子みたいな民族をこのまま放置することのほうが、日本が、否、世界が危ない! 橋本は改めて尚子の能力に恐怖を感じた。今までこの美少女に感じていた恐怖は、この子の魔性能力を誰かに悪用され、利用されることである。橋本はそれを本能的に感じた。だから、美少女に会ったときから違和感を抱いていたのだろう。しかし、そんな能力があるなんて、信じられないことだった。超能力があるという尚子は、橋本には能力が使えないと言うから、見るまでは信じられない。
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