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第13章 児玉進一の幼少期
2話
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隣家と言うことでナルミも珠子もお互いの家に行ってはとりとめのない話をした。珠子の夫・進太郎は食品会社に勤務している。珠子とは職場恋愛で結婚した。そんな珠子の生い立ち、思い出話が、ナルミの記憶に少しずつ増えた。平和でとりとめのない平凡な退屈な日常の繰り返し。そういう生活を楽しめる心がナルミにはうらやましかった。
「ナルミさんって、とてもプロポーションがいいわね、うらやましいわ。何かトレーニングなさっているの?」
珠子はナルミの腕を取り、まじまじと見つめる。ナルミたち、アラビアーナ人は太陽の光を浴びていないから、肌が透き通るように白かった。洞窟の中で、筋トレ、格闘技、超能力増幅トレーニングをすることで、誰もが筋肉質、強じんな体に鍛えていた。ナルミと安田の特別なトレーニング。ナルミと安田の夜の営みは秘密で人に言えるような行為ではない。特に、日本人はセックスに関しては閉鎖的な民族である。握手、抱擁、キスなど、お互いの皮膚を合わせる行動は習慣としていない。
「ねえ、あたしもできることなら教えてくださらない?」
そう言った珠子はプロポーションがいいというより、やや肉付きがいい、ふくよかな、抱き心地のいい、ぬいぐるみのような体付きである。
「そうね、簡単に心拍数も上昇するから、新陳代謝も上がって、贅肉が適度に燃焼されるわ。あたしたち夫婦は毎日欠かさずするのよ。でも、珠子さんにはきついかも?」
思わせぶりにナルミが珠子の体をなめ回すように見て言う。
「あら、何かしら? ねえ、できるか分からないけど試したいわ。どんな感じなの?」
「では、試してみる?」
「ええ、是非、お願いしますわ」
珠子はにっこり白い歯を見せて快活に言う。ナルミは少し考えてから、珠子には絶対に無理だと思った。
「もう、はまる人ははまるのよね」
しかし、珠子は絶対にはまらない。それどころか、そんな行為をするナルミを嫌うだろう。むちで人を、攻撃する、される、ことによる快感を理解できないだろう。
「でも、これって、1回くらいでは駄目なの。連続して毎日、最低3日間くらい、やらないと駄目かもね」
そう言うと、珠子は3日くらいなら、進一のサッカークラブの合宿の時、教えてほしいと頼んだ。冬が過ぎ、夏がきた。珠子もそんなトレーニングの話をすっかり忘却していた。進一はサッカークラブの合宿の案内が書いてあるチラシを見ながら、ナルミとの会話を思い出した。
「そうだわ、サッカークラブの時、何か約束があったような?」
珠子はチラシを見ながら記憶をたどり、ナルミとのトレーニングを教えてもらう話を思い出したた。珠子がナルミに訊いてみた。
「ええ、そんな約束していたわね。でも、おなかの赤ちゃんが大きくなってきて、トレーニングは厳しいわ、ごめんなさいね」
ナルミもまた忘却していたが、それで、珠子は救われた。ナルミを恐ろしい性癖の世界に引き込まれずに済み安堵した。だからこそ、隣家にナルミがいても珠子の息子・進一はごく普通の生活を送ることができたかに見えた。しかし、ナルミを上回る尚子という女の子が誕生し、自分を上回る能力を備えていることに、ナルミも想定外だった。それも、能力者であるナルミにもその能力を感知されない能力は無敵かもしれない。
翌年、安田ナルミは尚子という娘を出産した。ナルミの長女・尚子は、生まれたばかりというのに、隣家の進一の存在を本能で捕食した。仰向けでベビーベッドに寝ていた尚子は、あどけない顔を隣家の児玉家に向けて、顔を向けると、進一をじっと見つめた。庭でモンシロチョウを追いかけていた進一は、急に立ち止まり、遠くに見える安田邸の窓を見た。
「オギャーオギャー」
赤ちゃんの泣き声が進一に届いた。5歳の進一はにっこり笑うと、窓に向かって言った。
「あ、尚ちゃんって言うの? 僕、進一だよ、よろしくね……」
「ナルミさんって、とてもプロポーションがいいわね、うらやましいわ。何かトレーニングなさっているの?」
珠子はナルミの腕を取り、まじまじと見つめる。ナルミたち、アラビアーナ人は太陽の光を浴びていないから、肌が透き通るように白かった。洞窟の中で、筋トレ、格闘技、超能力増幅トレーニングをすることで、誰もが筋肉質、強じんな体に鍛えていた。ナルミと安田の特別なトレーニング。ナルミと安田の夜の営みは秘密で人に言えるような行為ではない。特に、日本人はセックスに関しては閉鎖的な民族である。握手、抱擁、キスなど、お互いの皮膚を合わせる行動は習慣としていない。
「ねえ、あたしもできることなら教えてくださらない?」
そう言った珠子はプロポーションがいいというより、やや肉付きがいい、ふくよかな、抱き心地のいい、ぬいぐるみのような体付きである。
「そうね、簡単に心拍数も上昇するから、新陳代謝も上がって、贅肉が適度に燃焼されるわ。あたしたち夫婦は毎日欠かさずするのよ。でも、珠子さんにはきついかも?」
思わせぶりにナルミが珠子の体をなめ回すように見て言う。
「あら、何かしら? ねえ、できるか分からないけど試したいわ。どんな感じなの?」
「では、試してみる?」
「ええ、是非、お願いしますわ」
珠子はにっこり白い歯を見せて快活に言う。ナルミは少し考えてから、珠子には絶対に無理だと思った。
「もう、はまる人ははまるのよね」
しかし、珠子は絶対にはまらない。それどころか、そんな行為をするナルミを嫌うだろう。むちで人を、攻撃する、される、ことによる快感を理解できないだろう。
「でも、これって、1回くらいでは駄目なの。連続して毎日、最低3日間くらい、やらないと駄目かもね」
そう言うと、珠子は3日くらいなら、進一のサッカークラブの合宿の時、教えてほしいと頼んだ。冬が過ぎ、夏がきた。珠子もそんなトレーニングの話をすっかり忘却していた。進一はサッカークラブの合宿の案内が書いてあるチラシを見ながら、ナルミとの会話を思い出した。
「そうだわ、サッカークラブの時、何か約束があったような?」
珠子はチラシを見ながら記憶をたどり、ナルミとのトレーニングを教えてもらう話を思い出したた。珠子がナルミに訊いてみた。
「ええ、そんな約束していたわね。でも、おなかの赤ちゃんが大きくなってきて、トレーニングは厳しいわ、ごめんなさいね」
ナルミもまた忘却していたが、それで、珠子は救われた。ナルミを恐ろしい性癖の世界に引き込まれずに済み安堵した。だからこそ、隣家にナルミがいても珠子の息子・進一はごく普通の生活を送ることができたかに見えた。しかし、ナルミを上回る尚子という女の子が誕生し、自分を上回る能力を備えていることに、ナルミも想定外だった。それも、能力者であるナルミにもその能力を感知されない能力は無敵かもしれない。
翌年、安田ナルミは尚子という娘を出産した。ナルミの長女・尚子は、生まれたばかりというのに、隣家の進一の存在を本能で捕食した。仰向けでベビーベッドに寝ていた尚子は、あどけない顔を隣家の児玉家に向けて、顔を向けると、進一をじっと見つめた。庭でモンシロチョウを追いかけていた進一は、急に立ち止まり、遠くに見える安田邸の窓を見た。
「オギャーオギャー」
赤ちゃんの泣き声が進一に届いた。5歳の進一はにっこり笑うと、窓に向かって言った。
「あ、尚ちゃんって言うの? 僕、進一だよ、よろしくね……」
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