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第2章 魔性の女・安田尚子
7話
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ピピピーー
午後2時、尚子の部屋の目覚まし時計が鳴った。それと同時に、机に向かっていた尚子が、両手を上に上げ、大きく背伸びをした。大きく後ろに反って、小さいと思っていた尚子の胸が意外に大きいことに児玉は気が付いた。尚子は、そのまま、椅子を後ろに押して、両足を大きく伸ばした。ミニスカートがまくれて、太ももが現れた。尚子はそのまま両手、両足をばたつかせていた。ひとしきり動かして落ち着くと、姿勢を正面に戻してから進一に体を向けた。
「先生、ありがとうございました。尚子は明日死ぬ気で頑張ります!」
そう言った尚子は両手をももの上に置いて頭を深く下げた。その時、部屋のドアをノックする音がした。
「失礼しますねー」
尚子の母・ 安田鳴海が差し入れを持って入ってきた。
「進一さん、お疲れ様でしたねー」
鳴海は40代であるが、体は美容の手入れを怠らないと見え、ナイスバディーの色香を漂わせていた。鳴海はコーヒー、ケーキを机の上に置くと、部屋から出て行った。
「きみのお母さんって、奇麗だよねえ。きみはお母さんの血を引いているんだな……」
進一は尚子の顔をまじまじと見つめてからコーヒーカップを口に付ける。
「そんなこと言ってくれる進ちゃんって、うれしいな…… あたしの母って、アラビアーナ国籍なのよ、ちょっと、アジア人ぽくないでしょ?」
「え? そうなの? アラビアーナ国? へえ?」
進一は地理は得意だが、そんな国を記憶していない。少し慌てた。あたかも知っているかのように振る舞う。
「だからか、日本人の厳かさ、しめやかさ、落ち着きを持った、なんか、そういうのとは違った魅力があるのはそのせいなんだ……」
進一は鳴海の姿を改めてイメージした。しかし、アラビアーナ国って何処に位置しているのだろう。一度も聴いたことのない国名があるなんて、勉強不足もいいところだな、そう思った。
「進ちゃん、あたしもその血を引いているのよ」
「うんうん、なるほどね、分かるよ。でも、ごめん、随分昔に勉強したきりで、アラビアーナ国ってどの辺にあったんだっけ?」
尚子は椅子から立ち上がると、本棚から本を引き抜いて持ってきて広げた。
「ここよ……」
尚子が指で指し示すところを見た。
「え? クウェート、サウジアラビア、イラクの接している場所?」
児玉が見た場所は3国が接している交点に当たるところにアラビアーナ国と手書きで記載があった。
「え? これ国土って言えるの?」
「あるのよ、あっても、肉眼では見えないだけ。だから、 蜃気楼の国と言われているわ」
「そんな話、僕は今まで聴いたことないよ。尚ちゃん、自分が何言ってるか、分かってるの?」
「あたしも母もその国の血を引いているわ。魔性の女の血をね……」
そう言った尚子は児玉の頬を右手で触れた。
「進ちゃん、すごいわ、血筋でもないのに魔性の能力を手に入れることができたんですもの……」
「え? 今までの幻想じゃなかったの?」
「まあ、幻想かもしれないね。今までのは進ちゃんが作った幻想よ。それがあなたの超能力よ。でも、今は、あたしのほうが力はちょっと上かな。だから、この場限りであなたの記憶は一時的に消してあげる。そのほうが、いいと思うの。あたしがあなたを必要になったとき、お願いすることにする。それまでは、我慢するわ。あたしの愛おしい、親愛なる進ちゃん……」
進一の頬に手を置いていた尚子は、唇を近づけていくと進一の唇に重ねた。この瞬間、進一は今までの記憶の一部を失った。
午後2時、尚子の部屋の目覚まし時計が鳴った。それと同時に、机に向かっていた尚子が、両手を上に上げ、大きく背伸びをした。大きく後ろに反って、小さいと思っていた尚子の胸が意外に大きいことに児玉は気が付いた。尚子は、そのまま、椅子を後ろに押して、両足を大きく伸ばした。ミニスカートがまくれて、太ももが現れた。尚子はそのまま両手、両足をばたつかせていた。ひとしきり動かして落ち着くと、姿勢を正面に戻してから進一に体を向けた。
「先生、ありがとうございました。尚子は明日死ぬ気で頑張ります!」
そう言った尚子は両手をももの上に置いて頭を深く下げた。その時、部屋のドアをノックする音がした。
「失礼しますねー」
尚子の母・ 安田鳴海が差し入れを持って入ってきた。
「進一さん、お疲れ様でしたねー」
鳴海は40代であるが、体は美容の手入れを怠らないと見え、ナイスバディーの色香を漂わせていた。鳴海はコーヒー、ケーキを机の上に置くと、部屋から出て行った。
「きみのお母さんって、奇麗だよねえ。きみはお母さんの血を引いているんだな……」
進一は尚子の顔をまじまじと見つめてからコーヒーカップを口に付ける。
「そんなこと言ってくれる進ちゃんって、うれしいな…… あたしの母って、アラビアーナ国籍なのよ、ちょっと、アジア人ぽくないでしょ?」
「え? そうなの? アラビアーナ国? へえ?」
進一は地理は得意だが、そんな国を記憶していない。少し慌てた。あたかも知っているかのように振る舞う。
「だからか、日本人の厳かさ、しめやかさ、落ち着きを持った、なんか、そういうのとは違った魅力があるのはそのせいなんだ……」
進一は鳴海の姿を改めてイメージした。しかし、アラビアーナ国って何処に位置しているのだろう。一度も聴いたことのない国名があるなんて、勉強不足もいいところだな、そう思った。
「進ちゃん、あたしもその血を引いているのよ」
「うんうん、なるほどね、分かるよ。でも、ごめん、随分昔に勉強したきりで、アラビアーナ国ってどの辺にあったんだっけ?」
尚子は椅子から立ち上がると、本棚から本を引き抜いて持ってきて広げた。
「ここよ……」
尚子が指で指し示すところを見た。
「え? クウェート、サウジアラビア、イラクの接している場所?」
児玉が見た場所は3国が接している交点に当たるところにアラビアーナ国と手書きで記載があった。
「え? これ国土って言えるの?」
「あるのよ、あっても、肉眼では見えないだけ。だから、 蜃気楼の国と言われているわ」
「そんな話、僕は今まで聴いたことないよ。尚ちゃん、自分が何言ってるか、分かってるの?」
「あたしも母もその国の血を引いているわ。魔性の女の血をね……」
そう言った尚子は児玉の頬を右手で触れた。
「進ちゃん、すごいわ、血筋でもないのに魔性の能力を手に入れることができたんですもの……」
「え? 今までの幻想じゃなかったの?」
「まあ、幻想かもしれないね。今までのは進ちゃんが作った幻想よ。それがあなたの超能力よ。でも、今は、あたしのほうが力はちょっと上かな。だから、この場限りであなたの記憶は一時的に消してあげる。そのほうが、いいと思うの。あたしがあなたを必要になったとき、お願いすることにする。それまでは、我慢するわ。あたしの愛おしい、親愛なる進ちゃん……」
進一の頬に手を置いていた尚子は、唇を近づけていくと進一の唇に重ねた。この瞬間、進一は今までの記憶の一部を失った。
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