窓野枠 短編傑作集 7

窓野枠

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ポジティブとは

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 皆生きている。生きているんだ、不幸せなんだ。って、何なんだ。お前、異端児だな。これは、ネガティブな人生を積極的に謳歌おうかするポジティブな負の大王の物語である。
「ふふふ、俺様は、異端児、負の大王だ! ものども、頭が高い」
 ポジティブなエリート集団の1人、営業成績世界1のポジティブ思考男が尋ねた。
「何だ、その、ふのだいおう、って? 」
 大王は顔をしかめていった。
「知らぬなら、教えて上げよう、ホトトギス。負はネガティブ思考のすすめ、教本による。どうだ、恐れ入ったか?」
「どうだって、何なんだ? ネガティブでどうすんだよ。そんな思考で進まないではないか」
「まったくもって、そちは、愚かだのう」
「何だって、ポジティブで何が悪い?」
 大王は一呼吸を置いて、言った。
「明るい奴は死刑にしたらどうだ。そして、暗い奴だけにする。しかし、真の闇なんてないのだよ。闇の中に、光明がある。明るいから闇が際立つ。だから、ネガティブでもいいんだよ。所詮、みな、比較するからに他ならない。比較せねば、同じ」
 ポジティブ営業男は自分の愚かさに気付いた。自分は暗い奴がいるから明るいだけだと。暗い奴がいなければ、自分は暗い奴かも知れないと、悟るのであった。

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