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第一章 その結婚、皇帝陛下の勅命につき
25 夜が明けて
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夢を見た。とても優しい夢を。
夢の中で私は幼い少女で、あの離宮で父と母に囲まれて食事をとっているのだ。とても幸せなはずなのに、私はこれが夢であることに気付いている。終ぞ叶わなかった家族の光景は、余りにも温かく、切なかった。
*
小鳥のさえずりが、泥に沈み込んだ意識をゆっくりと引き上げていくようだった。
セラフィナはそっと目を開ける。妙に瞼が腫れぼったかったものの、視界は順調に朝の光に満たされていった。
夢だと判る夢だなんて、随分と珍しい経験をしたものだ。
未だに現実感を得ることができず、セラフィナは徐々に鮮明になる景色を確かめようと視線を彷徨わせる。すると窓辺に立つ大きな人影に気付いて、反射的に飛び起きることとなった。
「ああ、起きたか。おはよう」
「お、はよう、ございます……?」
こちらを振り向いたのはやはりランドルフだった。まったく状況についていけないながらも挨拶を返し、回り始めた頭で周囲を観察する。彼はどうやら今起きたばかりという様子で、白いシャツに黒のトラウザーズという姿で髪は下ろされたままだ。そしてこの大きな寝台と家具の配置を見るに、ここは昨夜案内された寝室だろう。
昨夜?
セラフィナの脳裏に、堰を切った川のごとく昨夜の記憶が蘇ってきた。そうだ、昨日は結婚式があったのだ。夜になって屋敷に帰り、そこでランドルフに秘密について話をすることになって。
そして最終的に無様に泣きわめく結果となったのである。
そこまで思い出して、セラフィナはこれ以上ないというくらいに顔を紅潮させた。
なんという失態、そして無礼。あんな姿を晒しただけでも恥ずかしくて死にそうだというのに、加えて抱きしめられ、宥めすかしてもらい、その後の記憶がないということはそのまま眠ってしまったらしい。もしかしなくてもベッドに運んでくれたのはランドルフだろう。そうつまり、夫婦の務めすら果たさず、自分のことばかり優先させてしまったのだ。
穴があったら入りたいとはこの事だった。しかし、兎にも角にもまずは謝罪をして然るべきだろう。
「さ、昨夜は、その、随分とご迷惑をおかけいたしました! 本当に、申し訳ございません!」
「そんなことは気にしていない」
「え……?」
口上の後は頭を下げるつもりだったセラフィナは、ランドルフがとても優しい目をしていることに気付いて動きを止めた。彼はゆっくりとこちらに歩み寄り、ベッドの側で片膝をついて視線を合わせるようにした。
「気は楽になったか?」
「……は、はい」
「なら良い。貴女はこれからも何か言いたいことがあるなら言えばいい」
ランドルフは本当に気にしていないとばかりに微笑んでくれている。
なんということだろう、本当にどこまでも寛大な人だ。昨夜の振る舞いを許すばかりか気遣いの言葉まで掛けてくれるとは。
セラフィナは申し訳なくなって、ネグリジェのレースを握り込んだ。
「……はい。ありがとう、ございます」
「ああ。……さて、そろそろ朝食にするか。といってももう昼に近い時間だがな。私は食べたら出る」
「お仕事ですか?」
「ああ、今日は半休を取っているんだ」
時計は既に十時半を指し示していた。昨日何時に寝たのか全く見当がつかないが、あまり長い時間は眠れていないはずだ。こんなに忙しいのに長話に付き合わせて、本当に悪い事をしてしまった。
「さぞお疲れでしょうに」
「これくらいどうということはない。むしろ、結婚式の翌日なのに何もしてやれずすまないな。できればどこか旅行にでも連れて行ってやりたかったが」
「旅行、ですか?」
それは何とも楽しげな響きだった。アルーディアにいた頃は遠方の公務に引っ張り出されることはあっても旅を楽しむ余裕などなく、ヴェーグラントに来てからはブリストルを出たことすら無い。旅行らしい旅行を経験したことなど実は一度もなかったのだと、セラフィナはこの時初めて気が付いたのだった。
「昨日の話を聞いたら余計に連れて行きたくなってしまった。貴女はあまり遠出をしたことがないんだろう? ヴェーグラントには美しい景色がたくさんあるんだ。……もちろん、貴女さえ良ければ、だが」
「はい! 行きたい、です」
つい即答してしまってから、しかし彼は迷惑ではないのかと考える。勅命でしかたなく娶った妻を、わざわざ旅行に連れて行かなくてはならない決まりなどどこにもないのだ。だが、夫となった男はどこか安堵したように息を吐いたようだった。
「良かった。では、レナータ様の戴冠式が終わったら、必ず行こう。何処へだって連れて行ってやるから」
「……はい。楽しみにしています」
温かい胸の内を確かめるようにしてセラフィナはゆっくりと頷く。何だか恵まれすぎてバチが当たりそうだと、かなり真剣に考えながら。
ランドルフを見送った後、セラフィナはディルクに仕事を申し出たのだが、今日くらいは休んで欲しいときっぱり断られてしまった。
手持ち無沙汰になって自室に戻り、ならば整頓でもしようかとベッドサイドの引き出しを開けてみる。するとそこにアウラから譲り受けたお守りを見つけて顔を緩ませた。昨日は複数回着替える予定があったので、失くさないようここにしまっておいたのだ。
当時から経年劣化を感じさせていたそれは、今見るとさらに所々ほつれて薄汚れてしまっていた。時間のある今こそ補修して洗うといいかもしれない。思い立ったセラフィナは、早速実行に移すことにした。
複数の小さなボタンを外して慎重に中身を机の上に出していく。初めて目にするシヤリの実は黒くしわがれており、石のように硬い代物だった。やはり見たことのない形状のそれを眺めているうちに、母の言葉を思い出す。
——そのお守りは誰かに渡したくなったらシヤリの実を半分だけ出して、新しく作り直したお守り袋に入れてあげるの。本当なら両方に新しくシヤリの実を足さなきゃいけないのだけど、今は手に入らないから何か別の物で代用したらいいわ。幸せを願って大切に縫うのよ。
新しく作ったお守りをランドルフに渡したいという思いは、あまりにも自然に湧き上がってきた。
昨夜かけてもらった言葉に一体どれほど救われたことか。ハイルング人であるセラフィナを認めてくれた。よく頑張ったと頭を撫でてくれた。そのどれもがあまりにも嬉しくて、安心して、気が付いたら涙を零してしまっていた。
思い出すとやはり恥ずかしくて仕方がないが、感謝の気持ちを示したいという思いの方が遥かに大きいのも確かだ。
しかし、と躊躇する。政略結婚の妻からお守りを貰ったところで、迷惑に思いこそすれ喜ぶことは無いのではないだろうか。
だが今セラフィナを駆り立てているのは、少しでも彼の優しさに報いたいという思いだった。侯爵夫人の仕事をこなすだけでなく、自分にできることならなんだってしたい。
それに、例え受け取ってもらえなくとも夫の幸せを願って針を刺すのは悪いことではないし、それは幸せな時間なのではないか。
セラフィナは決意を固めると、まずはお守り袋の洗濯をするべく洗面所へと向かった。
夢の中で私は幼い少女で、あの離宮で父と母に囲まれて食事をとっているのだ。とても幸せなはずなのに、私はこれが夢であることに気付いている。終ぞ叶わなかった家族の光景は、余りにも温かく、切なかった。
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小鳥のさえずりが、泥に沈み込んだ意識をゆっくりと引き上げていくようだった。
セラフィナはそっと目を開ける。妙に瞼が腫れぼったかったものの、視界は順調に朝の光に満たされていった。
夢だと判る夢だなんて、随分と珍しい経験をしたものだ。
未だに現実感を得ることができず、セラフィナは徐々に鮮明になる景色を確かめようと視線を彷徨わせる。すると窓辺に立つ大きな人影に気付いて、反射的に飛び起きることとなった。
「ああ、起きたか。おはよう」
「お、はよう、ございます……?」
こちらを振り向いたのはやはりランドルフだった。まったく状況についていけないながらも挨拶を返し、回り始めた頭で周囲を観察する。彼はどうやら今起きたばかりという様子で、白いシャツに黒のトラウザーズという姿で髪は下ろされたままだ。そしてこの大きな寝台と家具の配置を見るに、ここは昨夜案内された寝室だろう。
昨夜?
セラフィナの脳裏に、堰を切った川のごとく昨夜の記憶が蘇ってきた。そうだ、昨日は結婚式があったのだ。夜になって屋敷に帰り、そこでランドルフに秘密について話をすることになって。
そして最終的に無様に泣きわめく結果となったのである。
そこまで思い出して、セラフィナはこれ以上ないというくらいに顔を紅潮させた。
なんという失態、そして無礼。あんな姿を晒しただけでも恥ずかしくて死にそうだというのに、加えて抱きしめられ、宥めすかしてもらい、その後の記憶がないということはそのまま眠ってしまったらしい。もしかしなくてもベッドに運んでくれたのはランドルフだろう。そうつまり、夫婦の務めすら果たさず、自分のことばかり優先させてしまったのだ。
穴があったら入りたいとはこの事だった。しかし、兎にも角にもまずは謝罪をして然るべきだろう。
「さ、昨夜は、その、随分とご迷惑をおかけいたしました! 本当に、申し訳ございません!」
「そんなことは気にしていない」
「え……?」
口上の後は頭を下げるつもりだったセラフィナは、ランドルフがとても優しい目をしていることに気付いて動きを止めた。彼はゆっくりとこちらに歩み寄り、ベッドの側で片膝をついて視線を合わせるようにした。
「気は楽になったか?」
「……は、はい」
「なら良い。貴女はこれからも何か言いたいことがあるなら言えばいい」
ランドルフは本当に気にしていないとばかりに微笑んでくれている。
なんということだろう、本当にどこまでも寛大な人だ。昨夜の振る舞いを許すばかりか気遣いの言葉まで掛けてくれるとは。
セラフィナは申し訳なくなって、ネグリジェのレースを握り込んだ。
「……はい。ありがとう、ございます」
「ああ。……さて、そろそろ朝食にするか。といってももう昼に近い時間だがな。私は食べたら出る」
「お仕事ですか?」
「ああ、今日は半休を取っているんだ」
時計は既に十時半を指し示していた。昨日何時に寝たのか全く見当がつかないが、あまり長い時間は眠れていないはずだ。こんなに忙しいのに長話に付き合わせて、本当に悪い事をしてしまった。
「さぞお疲れでしょうに」
「これくらいどうということはない。むしろ、結婚式の翌日なのに何もしてやれずすまないな。できればどこか旅行にでも連れて行ってやりたかったが」
「旅行、ですか?」
それは何とも楽しげな響きだった。アルーディアにいた頃は遠方の公務に引っ張り出されることはあっても旅を楽しむ余裕などなく、ヴェーグラントに来てからはブリストルを出たことすら無い。旅行らしい旅行を経験したことなど実は一度もなかったのだと、セラフィナはこの時初めて気が付いたのだった。
「昨日の話を聞いたら余計に連れて行きたくなってしまった。貴女はあまり遠出をしたことがないんだろう? ヴェーグラントには美しい景色がたくさんあるんだ。……もちろん、貴女さえ良ければ、だが」
「はい! 行きたい、です」
つい即答してしまってから、しかし彼は迷惑ではないのかと考える。勅命でしかたなく娶った妻を、わざわざ旅行に連れて行かなくてはならない決まりなどどこにもないのだ。だが、夫となった男はどこか安堵したように息を吐いたようだった。
「良かった。では、レナータ様の戴冠式が終わったら、必ず行こう。何処へだって連れて行ってやるから」
「……はい。楽しみにしています」
温かい胸の内を確かめるようにしてセラフィナはゆっくりと頷く。何だか恵まれすぎてバチが当たりそうだと、かなり真剣に考えながら。
ランドルフを見送った後、セラフィナはディルクに仕事を申し出たのだが、今日くらいは休んで欲しいときっぱり断られてしまった。
手持ち無沙汰になって自室に戻り、ならば整頓でもしようかとベッドサイドの引き出しを開けてみる。するとそこにアウラから譲り受けたお守りを見つけて顔を緩ませた。昨日は複数回着替える予定があったので、失くさないようここにしまっておいたのだ。
当時から経年劣化を感じさせていたそれは、今見るとさらに所々ほつれて薄汚れてしまっていた。時間のある今こそ補修して洗うといいかもしれない。思い立ったセラフィナは、早速実行に移すことにした。
複数の小さなボタンを外して慎重に中身を机の上に出していく。初めて目にするシヤリの実は黒くしわがれており、石のように硬い代物だった。やはり見たことのない形状のそれを眺めているうちに、母の言葉を思い出す。
——そのお守りは誰かに渡したくなったらシヤリの実を半分だけ出して、新しく作り直したお守り袋に入れてあげるの。本当なら両方に新しくシヤリの実を足さなきゃいけないのだけど、今は手に入らないから何か別の物で代用したらいいわ。幸せを願って大切に縫うのよ。
新しく作ったお守りをランドルフに渡したいという思いは、あまりにも自然に湧き上がってきた。
昨夜かけてもらった言葉に一体どれほど救われたことか。ハイルング人であるセラフィナを認めてくれた。よく頑張ったと頭を撫でてくれた。そのどれもがあまりにも嬉しくて、安心して、気が付いたら涙を零してしまっていた。
思い出すとやはり恥ずかしくて仕方がないが、感謝の気持ちを示したいという思いの方が遥かに大きいのも確かだ。
しかし、と躊躇する。政略結婚の妻からお守りを貰ったところで、迷惑に思いこそすれ喜ぶことは無いのではないだろうか。
だが今セラフィナを駆り立てているのは、少しでも彼の優しさに報いたいという思いだった。侯爵夫人の仕事をこなすだけでなく、自分にできることならなんだってしたい。
それに、例え受け取ってもらえなくとも夫の幸せを願って針を刺すのは悪いことではないし、それは幸せな時間なのではないか。
セラフィナは決意を固めると、まずはお守り袋の洗濯をするべく洗面所へと向かった。
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